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ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』 幽霊船の処女航海
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俺はそろりと気配を殺しつつ廊下を歩き──────────この家を後にした。
水森唯は相変わらずゾンビのような有様でただ立ち尽くしている。
自分の家だぞ?わからないのか?
俺は水森の右手をグイと引っ張る。
行こう、と声を掛けるとコクンと頷く。
何処に行くかなんて聞いてこないんだな。
まあいいか。その方が都合がいいもんな。
俺は再びゾンビの手を引いて道を歩き始める。
側から見れば中学生カップルの微笑ましいデートみたいに見えるか?
まあ、違うんだなこれが。
これから俺達が何をするかなんて誰にもわかんねぇだろうな。
俺だってそうだ。
この状況で首尾良くやり遂げられるかなんて自信はない。
だけど。
乗り掛かった船じゃねぇか。
まあ俺がこれから乗るのは船じゃないんだけどな。
そういえば────────新しい船が初めて海に出るのを[処女航海]って言うんだろ?
なんかちょっとどっかで聞いたんだけどさ、外国じゃ船はみんな女って考えらしいじゃねぇか。
なんで女なんだろうな?
じゃあなにか?[乗り掛かった船]の船ってのはやっぱ女なのか?
結局の所さ、男が乗っかるのは無機物だろうが生物だろうが関係なく女ってこと?
いや待てよ。必ずしも男が上に乗るとも限らなくね?逆もまた然りだろ?
俺は考えを巡らせる。
船。船かあ。
じゃあ今の水森はさしずめ幽霊船ってトコか?
まあ難破しないようにせいぜい気をつけるしかねぇよな。沈んじまったらシャレになんねぇ。
俺は後ろの水森にチラリと視線を送る。
─────────なあ水森。打ち上がる時は俺も一緒だ。そうだろ?
水森唯は相変わらずゾンビのような有様でただ立ち尽くしている。
自分の家だぞ?わからないのか?
俺は水森の右手をグイと引っ張る。
行こう、と声を掛けるとコクンと頷く。
何処に行くかなんて聞いてこないんだな。
まあいいか。その方が都合がいいもんな。
俺は再びゾンビの手を引いて道を歩き始める。
側から見れば中学生カップルの微笑ましいデートみたいに見えるか?
まあ、違うんだなこれが。
これから俺達が何をするかなんて誰にもわかんねぇだろうな。
俺だってそうだ。
この状況で首尾良くやり遂げられるかなんて自信はない。
だけど。
乗り掛かった船じゃねぇか。
まあ俺がこれから乗るのは船じゃないんだけどな。
そういえば────────新しい船が初めて海に出るのを[処女航海]って言うんだろ?
なんかちょっとどっかで聞いたんだけどさ、外国じゃ船はみんな女って考えらしいじゃねぇか。
なんで女なんだろうな?
じゃあなにか?[乗り掛かった船]の船ってのはやっぱ女なのか?
結局の所さ、男が乗っかるのは無機物だろうが生物だろうが関係なく女ってこと?
いや待てよ。必ずしも男が上に乗るとも限らなくね?逆もまた然りだろ?
俺は考えを巡らせる。
船。船かあ。
じゃあ今の水森はさしずめ幽霊船ってトコか?
まあ難破しないようにせいぜい気をつけるしかねぇよな。沈んじまったらシャレになんねぇ。
俺は後ろの水森にチラリと視線を送る。
─────────なあ水森。打ち上がる時は俺も一緒だ。そうだろ?
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