[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない！〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる！？

ep10.

ep10.『聖母と道化、その支配人』 ブゥードゥの呪術師と死者蘇生

水森の家は2度目だった気もする。そうだな、きっと2度目だ。

前に来たって言ってもさ、あれから何回も時間を戻ってる訳だし──────────けどまあ、家の中に入るのは初めてなのには違いない。

古びた平屋の木造建築。

俺の家と同じくらいの年季の入りようだ。

周囲はシンと静まり返っている。

大通りも閑散としてるんだけどさ、もうこのエリアまで来たらマジで過疎ってんだよ。

周囲にあるのは田んぼか畑ばっかりだ。

そういうとこなんだよ、俺らの住んでる近辺ってのはさ。

俺は水森に玄関の前で待つように念押しする。

水森は呆然とした様子でコクンと頷いた。

ビックリするくらい素直な状態はゾンビというより─────────ブゥードゥの呪いで操られている死者のようだ。

俺は玄関で靴を脱ぎ、そろりと廊下を進んだ。

人が死んでるって？しかも二人？

まあ、怖くないって言ったら嘘になるよ。そりゃあさ。

俺だってこんなんビビるしさ、なんならこっちもチビりかねない。誰だってそうだろ？

死体を確認するだなんて警察に任せるべきなんだ。

或いは。

キチンと死亡確認出来た訳じゃないってなら─────────救急車を呼ぶ選択肢だって当然あるだろう。

そうだ。まだそうと決まった訳じゃない。

まだ助かる道は残ってる筈だ。

そうだろ？そうだって誰か言ってくれよ。

俺は祈るような気持ちで教えられた突き当たりの部屋の襖を開ける。

しかし、願いも虚しく俺が目にした光景は───────────思わず目を覆いたくなるようなものだった。

淀んだ空気の部屋の中、ツンとした匂いが鼻をつく。

天井からぶら下がる水森唯の母親。













その顔色は────────────確実に生者のものでは無いことだけ理解出来た。