[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない！〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる！？

ep10.

ep10.『聖母と道化、その支配人』 死者と生者の体温

俺達はゆっくりと歩き、水森の家に向かう。

このままもう少し二人で歩いてもいいかもしれない。

そんな気すらしてくる不思議な気分だった。

人が死んでるって言うのに────────それも二人もだぜ？─────────どうしてそう思っちまったんだろうな？

ああ、俺はやっぱり人でなしなのかもしれない。いや、きっとそうだ。

だってそうだろ？クラスの女子────────しかも、クラスで一番大人しくて目立たない女子をさ、俺の好きなように連れ回せるんだ。

厳密に言えばそうじゃないって事くらいわかってる。けど、実際はそんな気分だったんだ。

あり得ない事ではあるんだがな、どうしてだか俺はちょっとだけ興味が湧いてきちまってたんだな、正直なところさ。

水森唯。

俺はこいつの事を知ってるようで何も知らないんだ。

いや、前回の件があるだろ？だから少しばかり知った気になってはいたんだ。けど、実際はそうじゃないんだよな。

小さなガラスの小瓶にキラキラしたカケラだのビーズだを入れて部屋にズラッと並べてる。ずっとそれを集めてるんだな、水森唯はさ。そんな女子ではあるんだが俺が知ってるのは断片的な情報だけなんだよ。

きっと本当のコイツはもっと別の何かを抱えてる。

それは前回のあの件の時に俺に吐露した心情とは別の場所にある。そんな気がするんだ。

じゃあどうする？どうやってそれを聞き出せばいい？










俺達は歩きながら───────それぞれの距離と体温をどう測ればいいか考えあぐねていた。