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ep.9.5
ep9.5『夢千夜』 “かりそめの花嫁” 第十三夜 二人で天国に至る方法
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狂ったように打ち鳴らされた鐘の音が遠ざかる。
耳鳴りが緩やかに開始される。
どうした?
無抵抗の小泉は────────身じろぎ一つせず、ただ俺にされるがままになっていた。
疲れて抵抗する気力も無くなったのか?
それとも───────────
少し考えて俺は首を振った。
まあ、そんなことはあり得ないよな。
だけど。
俺は小泉に何かを伝えたかった気がする。
不意に巨大な感情が噴出するかのように湧き上がってくる。
そうだ。
どうしてこれを忘れていたんだろう。
一番大事なことじゃないか。
多分、セックスすることよりも。
不可思議な力によって押さえ込まれていた感情。
そうだ、俺は小泉のことを───────────
俺は小泉の身体を抱きしめたまま─────────恐る恐るそれを告げる。
「なあ、センセェ。ちょっと聞いて欲しいことがあるんだ」
もしかしたらセンセェは嫌かもしれねぇけど、と俺がそれを口にした瞬間──────────不意に違和感を覚える。
「……え?」
驚いたように小泉が目を丸くしている。
気付くと、俺達の頭上に───────真っ白な天使のような羽根がハラハラと舞い落ちていた。
「……なんだこれ?」
鳴り止んだ鐘の音と入れ替わりに聖歌隊のコーラスとパイプオルガンの音色が聞こえる。
何処からだ?
何処からこれが?
天井を見上げるがそれらしいものが見つけられない。
だけど、なんとなく心当たりはある。
さっき俺が壊してしまった装置────────挙式演出用のものだろう。
制御不能に陥った装置が暴走している。
貰ったパンフレットをパラパラと見たんだが、挙式のクライマックスで天使の羽根を降らせるオプションも存在してた筈だ。
恐らく、聖歌隊のコーラスも。
この世のものとは思えない、まるで天国に送られるみたいな光景に──────────俺と小泉はただ言葉を失っていた。
降り積もる天使の羽根。
純白のウェディングドレスを身に纏った小泉はどこまでも綺麗だ。
何故だか理由はわからない。
俺は────────言い知れない多幸感に包まれていた。
俺だけかもしれない。
小泉はそんなことは微塵も思っちゃいないかもしれない。
けど、俺はひたすら幸せだった。
理由なんかわからない。
俺はもう一度小泉の身体を抱き寄せた。
小泉はまた不思議そうな表情を浮かべる。
「……綺麗だな」
小泉は少し笑って天井を見上げた。
いつの間にか周囲はすっかり真っ暗になり、幾千もの星が瞬いていた。
広大な星空の中に浮かび上がる花嫁。
俺達はいつの間にか夜空の中に浮かんでいた。
「……!?」
意味がわからず動揺する俺に対し、小泉は笑ってみせる。
「ああ、確か────────」
更にオプション代金を積めばプラネタリウム演出が可能な式場もあると聞いたことがあるな、と小泉は呟く。
プラネタリウム?
なるほど、これも機器類の故障による誤作動ってことか?
「もっとも、この式場でプラネタリウム演出が導入されたって話は聞いてなかったんだが─────────」
そう言いながらも小泉は穏やかな笑みを浮かべた。
ああ、綺麗だなあ。
俺はそう思いながらただその身体を全てに委ねた。
意識がゆっくりと遠のきそうな気配がする。
だけど、俺、きっと今が人生で一番幸せだ。
そんな気がする。
小泉を抱き締めてもう一度その唇を重ねる。
甘くて体と意識がとろけそうだ。
星空に溶け込んでいく俺達の意識。
そこで目が覚めた。
耳鳴りが緩やかに開始される。
どうした?
無抵抗の小泉は────────身じろぎ一つせず、ただ俺にされるがままになっていた。
疲れて抵抗する気力も無くなったのか?
それとも───────────
少し考えて俺は首を振った。
まあ、そんなことはあり得ないよな。
だけど。
俺は小泉に何かを伝えたかった気がする。
不意に巨大な感情が噴出するかのように湧き上がってくる。
そうだ。
どうしてこれを忘れていたんだろう。
一番大事なことじゃないか。
多分、セックスすることよりも。
不可思議な力によって押さえ込まれていた感情。
そうだ、俺は小泉のことを───────────
俺は小泉の身体を抱きしめたまま─────────恐る恐るそれを告げる。
「なあ、センセェ。ちょっと聞いて欲しいことがあるんだ」
もしかしたらセンセェは嫌かもしれねぇけど、と俺がそれを口にした瞬間──────────不意に違和感を覚える。
「……え?」
驚いたように小泉が目を丸くしている。
気付くと、俺達の頭上に───────真っ白な天使のような羽根がハラハラと舞い落ちていた。
「……なんだこれ?」
鳴り止んだ鐘の音と入れ替わりに聖歌隊のコーラスとパイプオルガンの音色が聞こえる。
何処からだ?
何処からこれが?
天井を見上げるがそれらしいものが見つけられない。
だけど、なんとなく心当たりはある。
さっき俺が壊してしまった装置────────挙式演出用のものだろう。
制御不能に陥った装置が暴走している。
貰ったパンフレットをパラパラと見たんだが、挙式のクライマックスで天使の羽根を降らせるオプションも存在してた筈だ。
恐らく、聖歌隊のコーラスも。
この世のものとは思えない、まるで天国に送られるみたいな光景に──────────俺と小泉はただ言葉を失っていた。
降り積もる天使の羽根。
純白のウェディングドレスを身に纏った小泉はどこまでも綺麗だ。
何故だか理由はわからない。
俺は────────言い知れない多幸感に包まれていた。
俺だけかもしれない。
小泉はそんなことは微塵も思っちゃいないかもしれない。
けど、俺はひたすら幸せだった。
理由なんかわからない。
俺はもう一度小泉の身体を抱き寄せた。
小泉はまた不思議そうな表情を浮かべる。
「……綺麗だな」
小泉は少し笑って天井を見上げた。
いつの間にか周囲はすっかり真っ暗になり、幾千もの星が瞬いていた。
広大な星空の中に浮かび上がる花嫁。
俺達はいつの間にか夜空の中に浮かんでいた。
「……!?」
意味がわからず動揺する俺に対し、小泉は笑ってみせる。
「ああ、確か────────」
更にオプション代金を積めばプラネタリウム演出が可能な式場もあると聞いたことがあるな、と小泉は呟く。
プラネタリウム?
なるほど、これも機器類の故障による誤作動ってことか?
「もっとも、この式場でプラネタリウム演出が導入されたって話は聞いてなかったんだが─────────」
そう言いながらも小泉は穏やかな笑みを浮かべた。
ああ、綺麗だなあ。
俺はそう思いながらただその身体を全てに委ねた。
意識がゆっくりと遠のきそうな気配がする。
だけど、俺、きっと今が人生で一番幸せだ。
そんな気がする。
小泉を抱き締めてもう一度その唇を重ねる。
甘くて体と意識がとろけそうだ。
星空に溶け込んでいく俺達の意識。
そこで目が覚めた。
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