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ep.9.5
ep9.5『夢千夜』 “かりそめの花嫁” 第十一夜 生き急ぐ海賊と背徳の人魚姫
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俺は王子様なんかじゃない。
じゃあ誰なんだ?
人魚姫を奪いに来ただけの海賊?
そうだな。きっとそうなんだろう。
俺は財宝の在処を探すかのように────────その深い部分に指を沈み込ませた。
小さな真珠は触れられた瞬間、水飛沫と共に露わになる。
横たわった人魚姫は初めての世界に身悶えていた。
更に深く潜りたい。
俺は更に侵入を試みる。
成す術のない人魚姫はされるがままになっていた。
哀願するような潤んだ瞳には俺の背後、ステンドグラスの神が映っている。
何もかも知ったこっちゃない。
だってそうだろう?
ここで躊躇するような理由なんか無いんだ。
深い深海、海水の匂いが俺を包み込む。
進んでいる方向に間違いは無い、と確信した俺は深い部分に探りを入れる。
無言で身体を捩り、小さく震える人魚姫の呼吸は荒くなっていく。
「悪ィ、痛かったか?」
俺がそう尋ねると──────────人魚姫は黙ったまま首を横に振った。
まあ、今更逃げらんねぇしここまで来て止める馬鹿はいねぇよな。
昂りが最高潮に達している自覚のある俺は、ポケットからチェーンを引っ張って銀色のケースを乱暴に出した。
震える手で蓋を開ける。
脳内麻薬の放出量もきっと今が最大出力だろう。
意識は全て身体に引っ張られている。
俺を動かしているのは理性じゃなくておぼつかない本能なんだろうか。
ケースから一つ包みを出し、熱に浮かされたような状態のまま封を切る。
白昼夢のような高熱に支配されたまま─────────俺はその準備を終えた。
時間はどれくらい経ったのかもわからない。
あらゆる感覚も、感情も、理性や倫理観ですら────────────何もかもが音を立てて壊れ、狂っていく。
それは俺だけじゃない。
ハッとしたように息を飲み、瞼をギュッと閉じる花嫁。
その頰は赤く染まり────────ただ何かを待っているかのような恥じらいを見せていた。
答えは聞かなくてもわかってるんだ。
理由なんか今は何も必要ないんだからな。
口づけを交わし、ゆっくりとその身体は深く重なる。
暴力的な快楽が身体中を駆け巡る。
誰も抗うなんて出来ない────────かつて楽園にいた人類が皆、陶酔した禁断の果実。
それは洪水のように全てを破滅させ、無に返すだろう。
俺達は本能に支配されたまま─────────この果肉を貪り続けた。
じゃあ誰なんだ?
人魚姫を奪いに来ただけの海賊?
そうだな。きっとそうなんだろう。
俺は財宝の在処を探すかのように────────その深い部分に指を沈み込ませた。
小さな真珠は触れられた瞬間、水飛沫と共に露わになる。
横たわった人魚姫は初めての世界に身悶えていた。
更に深く潜りたい。
俺は更に侵入を試みる。
成す術のない人魚姫はされるがままになっていた。
哀願するような潤んだ瞳には俺の背後、ステンドグラスの神が映っている。
何もかも知ったこっちゃない。
だってそうだろう?
ここで躊躇するような理由なんか無いんだ。
深い深海、海水の匂いが俺を包み込む。
進んでいる方向に間違いは無い、と確信した俺は深い部分に探りを入れる。
無言で身体を捩り、小さく震える人魚姫の呼吸は荒くなっていく。
「悪ィ、痛かったか?」
俺がそう尋ねると──────────人魚姫は黙ったまま首を横に振った。
まあ、今更逃げらんねぇしここまで来て止める馬鹿はいねぇよな。
昂りが最高潮に達している自覚のある俺は、ポケットからチェーンを引っ張って銀色のケースを乱暴に出した。
震える手で蓋を開ける。
脳内麻薬の放出量もきっと今が最大出力だろう。
意識は全て身体に引っ張られている。
俺を動かしているのは理性じゃなくておぼつかない本能なんだろうか。
ケースから一つ包みを出し、熱に浮かされたような状態のまま封を切る。
白昼夢のような高熱に支配されたまま─────────俺はその準備を終えた。
時間はどれくらい経ったのかもわからない。
あらゆる感覚も、感情も、理性や倫理観ですら────────────何もかもが音を立てて壊れ、狂っていく。
それは俺だけじゃない。
ハッとしたように息を飲み、瞼をギュッと閉じる花嫁。
その頰は赤く染まり────────ただ何かを待っているかのような恥じらいを見せていた。
答えは聞かなくてもわかってるんだ。
理由なんか今は何も必要ないんだからな。
口づけを交わし、ゆっくりとその身体は深く重なる。
暴力的な快楽が身体中を駆け巡る。
誰も抗うなんて出来ない────────かつて楽園にいた人類が皆、陶酔した禁断の果実。
それは洪水のように全てを破滅させ、無に返すだろう。
俺達は本能に支配されたまま─────────この果肉を貪り続けた。
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