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ep.9.5

ep9.5『夢千夜』 “かりそめの花嫁” 第九夜 気の触れた輪廻に委ねる快楽

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密室の大聖堂はまるで大きな卵だ。

そこに俺達は自ら引き籠り─────────自分達だけの世界を完結させようとしている。

それはきっとウロボロスのようなものなんだろう。

自らを犯し生殖し、そして自ら滅ぶ。

永遠の輪廻のような行為はまだ一巡目の筈なのに──────────精神も身体も既に瓦解しそうだ。

容易く崩れ去って行きそうな脆い肉片。

崩壊寸前のそれらを繋いでいるのは快感という神経だった。

それは身体中を駆け巡り、俺の中の熱量を小刻みに爆発させ続ける。

もうなりふり構ってなんていられなかった。

俺は小泉のドレスの裾をたくし上げた。

波打ち際のように幾重にも重ねられたレースのフリルは一つの風景、それ自体が別の世界のように思える。

ウェディングドレスに使われてる布地ってボリュームがあり過ぎるんだな。

水面に引き込まれた俺は身体ごと自由を失って溺れそうだ。

寄せては返す夜明けの波のようなレースのフリルのその後ろには─────────魔法を掛けられた人魚姫のようなスラリと伸びた脚が見える。

それを太腿まで覆う白いストッキングはガーターベルトに吊るされていた。

「……なんだこれ?どうやって取んの?」

俺は誰に言うでもなく呟く。

小泉は無言のまま身体を捩る。

俺の指がベルトに触れると小泉の身体がビクリと反応した。

暫く弄っているとパチンという音と共に片側のそれは外れる。

ただ、よく見ると─────────これって無理に外さなくてもいい構造なのか?

まあ普通に考えてさ。“”がスムースに行きさえすれば双方の衣類の着脱の有無は二の次なんだよな。

仮に服を全部脱がずとも─────────最後まで遂げられたならそれで良い訳で。

そう思った俺は、もう片側のガーターベルトを外さないままその指を更に上部に滑らせた。

固く閉ざされたその場所に指先が意図せず触れる。

小泉が堪らず小さく悲鳴を漏らした。

俺の身体中をとてつもない何かが駆け巡っているのが自覚出来る。

現時点で既に気が狂いそうだ。




















そんなのは最初から?そうだな。俺達は狂ってるしこの呪われた世界はもっと狂ってるんだ。




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