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ep.9.5
ep9.5『夢千夜』 “かりそめの花嫁” 第五夜 悪魔と処女(おとめ)、そして塞がれたもの。
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大聖堂の中に転がり込んだ俺達は急いで扉を閉め、閂(かんぬき)を内側から掛ける。
「センセェ、足首大丈夫か?」
俺がそう声を掛けると、小泉は小さく頷く。
「さっきのハイヒール……中庭に落としてきてしまったな」
まあ、そんなことはどうでもいいだろ、と俺は答える。
だって時間が戻りさえすれば───────それらも全て無かった事になるんだからな。
俺は小泉を抱き上げたまま、中央のバージンロードを歩く。
「てかさ、“バージンロード”って直訳したら“処女の通り道”ってこと?なんかエグいネーミングじゃね?」
口に出したつもりはなかったんだが───────それを聞きつけた小泉が小さく呟く。
「バージンロードってのは和製英語らしいぞ。英語ではウエディング・アイル(Wedding Aisle)と呼ばれているらしい」
ふうん、そうなのか、と俺はぼんやりと相槌を打つ。
あ、そういや渡されたパンフレット、チラッと見た時に書いてあったな。
『バージンロードは花嫁の人生(過去・現在・未来)を表しています。扉から祭壇までは今までの人生です』
『バージンロードにはお清めの意味もあります。幸せいっぱいの花嫁は悪魔にその身を狙われる危険があるという言い伝えから、布を敷いた道を花嫁が歩く事で悪魔からその身を守るという意味合いもあります』
“悪魔から身を守る”か。
処女の小泉を強引に拐(さら)って来てさ、悪魔なのは俺の方なんだろうな。
悪魔が純白のウェディングドレスの花嫁を拐ってバージンロードを歩く。
なんて皮肉なんだろう。
まあ、そうだよな。
これから俺が小泉にやることを考えれば────────悪魔以外の何者でもないよな。
中央の祭壇のような場所までたどり着いた俺は、一旦小泉をその場に下ろす。
周囲を見渡した俺は、ある事に気付いた。
「あれ?出入り口ってもう一箇所あるんじゃね?」
大聖堂の右手後方部分に────────目立たないが小さめのドアが見える。
確かに、普通に考えればこの規模の大聖堂の出入り口が一箇所だけってのは有り得ないよな。
俺はその扉に近づき、ノブに手を掛けた。
鍵穴が見える。
外から鍵を開けることは可能なんだろう。
スタッフは鍵束やマスターキーを持っている事を考えれば───────ここは塞いでおいた方が賢明だろう。
少し考えた後、俺は中央にあった祭壇のようなものを押し、ドアの前まで移動させた。
まあまあ重い祭壇で、途中で内側の棚に入っていた何かの機材がガシャンという音を立てて落ちたがそのまま放っておいた。
今はそれどころじゃ無いからな。
こうしてこの大聖堂は────────────完璧な密室として完成したのだった。
「センセェ、足首大丈夫か?」
俺がそう声を掛けると、小泉は小さく頷く。
「さっきのハイヒール……中庭に落としてきてしまったな」
まあ、そんなことはどうでもいいだろ、と俺は答える。
だって時間が戻りさえすれば───────それらも全て無かった事になるんだからな。
俺は小泉を抱き上げたまま、中央のバージンロードを歩く。
「てかさ、“バージンロード”って直訳したら“処女の通り道”ってこと?なんかエグいネーミングじゃね?」
口に出したつもりはなかったんだが───────それを聞きつけた小泉が小さく呟く。
「バージンロードってのは和製英語らしいぞ。英語ではウエディング・アイル(Wedding Aisle)と呼ばれているらしい」
ふうん、そうなのか、と俺はぼんやりと相槌を打つ。
あ、そういや渡されたパンフレット、チラッと見た時に書いてあったな。
『バージンロードは花嫁の人生(過去・現在・未来)を表しています。扉から祭壇までは今までの人生です』
『バージンロードにはお清めの意味もあります。幸せいっぱいの花嫁は悪魔にその身を狙われる危険があるという言い伝えから、布を敷いた道を花嫁が歩く事で悪魔からその身を守るという意味合いもあります』
“悪魔から身を守る”か。
処女の小泉を強引に拐(さら)って来てさ、悪魔なのは俺の方なんだろうな。
悪魔が純白のウェディングドレスの花嫁を拐ってバージンロードを歩く。
なんて皮肉なんだろう。
まあ、そうだよな。
これから俺が小泉にやることを考えれば────────悪魔以外の何者でもないよな。
中央の祭壇のような場所までたどり着いた俺は、一旦小泉をその場に下ろす。
周囲を見渡した俺は、ある事に気付いた。
「あれ?出入り口ってもう一箇所あるんじゃね?」
大聖堂の右手後方部分に────────目立たないが小さめのドアが見える。
確かに、普通に考えればこの規模の大聖堂の出入り口が一箇所だけってのは有り得ないよな。
俺はその扉に近づき、ノブに手を掛けた。
鍵穴が見える。
外から鍵を開けることは可能なんだろう。
スタッフは鍵束やマスターキーを持っている事を考えれば───────ここは塞いでおいた方が賢明だろう。
少し考えた後、俺は中央にあった祭壇のようなものを押し、ドアの前まで移動させた。
まあまあ重い祭壇で、途中で内側の棚に入っていた何かの機材がガシャンという音を立てて落ちたがそのまま放っておいた。
今はそれどころじゃ無いからな。
こうしてこの大聖堂は────────────完璧な密室として完成したのだった。
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