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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 “ナイト・オブ・ファイヤー”
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俺と概史は2ケツで夕暮れの道を走った。
いつも日常的にやってる事だが、今日は違う。
背中に冷や汗が流れる。
未曾有の危機。
暴走族同士の抗争だなんて、漫画やアニメの中の世界の出来事じゃねぇか。
まさか自分達が巻き込まれるなんて─────────
俺の不安を感じたのか、概史は後ろで何やらゴソゴソと妙な動きをしている。
コイツも落ち着かないんだろう。なんと言ってもごく普通の男子小学生なんだからな。
空き地まではそう遠くなく、15分ほどバイクを走らせると現場に着いた。
だが。
到着するなり、俺達はその目を疑った。
めっちゃ人多くね?
ズラリと並んだ兵隊の数に圧倒される。
野次馬だのオーディエンスだのが混ざってる可能性もあるが───────── 愚羅淫怒(グラインド)側の人間と見てほぼ間違いないだろう。
てか、羽威刄闇(ワイバーン)側のメンバーは居ねぇのかよ!?
どうすんだよコレ!?
まあ、体験希望の外国人留学生が総長になってる時点で、人手不足なのは判ってた事ではあるんだが───────────
俺達が到着したのに気付いたからか、鈴木先輩がゆっくりと振り返った。
「おう。お前らか。ようこの場所が判ったのう?」
危ないけぇ近付くな、と鈴木先輩は俺達に静かにそう言った。
え!?
『近付くな』って──────────
周囲はすっかり暗くなっている。
相手側陣営の総数は判らない。
ただ、1クラスか2クラス程度の人間がこちらを取り囲んで対峙している状況は馬鹿でも理解できる。
どうすんだよコレ!?
「コレはワシ個人の問題じゃけぇ───────人を巻き込む訳にはいかんのじゃ」
鈴木先輩はそう言うと、手に持った長く太い鉄パイプでドンと地面を叩いた。
なんだアレは?武器か?
しかし、いくら鈴木先輩がかつての『紅蓮の内藤』であったとしても、この人数を一人でってのは無理なんじゃないか?
無双シリーズのゲームじゃあるまいし、単騎でこの人数を片付けて行くってのは無理がありすぎる。
「いや、あの、鈴木先輩……」
俺がそう言いかけた瞬間だった。
周囲にどよめきが起こる。
「……え?」
鈴木先輩の持つ棒状の武器の量端が燃えている。
「な……!?」
流石の概史も驚きを隠せない表情でそれを見つめる。
「コレを使うんは久しぶりじゃけぇのう。上手ういくか判らんかったが───────」
鈴木先輩がその武器を大きく振り回し、回転させると、暗闇の空き地に大きな炎の輪が浮かんだ。
敵陣営のどよめきがより一層強くなり、どこかで小さく悲鳴が上がる。
手慣れた様子で鈴木先輩は炎の輪を身に纏ったまま、相手側の方にゆっくりと歩いて行く。
武器が空を切る音と炎が燃える音がこちらにまで伝わってくる。
え?
は?
何これ?
俺達は一体、何を見せられてるんだ──────────!?
格ゲーじゃん。
格ゲーの世界じゃん。見た事あるぞ、こういう技!?
てか、技ってレベル超えて超必殺技じゃねぇか。
まさか現実にこんな技を使う生身の人間が居るなんて────────しかも、目の前で!?
これが『紅蓮の内藤』って言われた所以なのか──────────
復活した『伝説』を目の当たりにして、俺達はただ圧倒されるしかなかった。
いつも日常的にやってる事だが、今日は違う。
背中に冷や汗が流れる。
未曾有の危機。
暴走族同士の抗争だなんて、漫画やアニメの中の世界の出来事じゃねぇか。
まさか自分達が巻き込まれるなんて─────────
俺の不安を感じたのか、概史は後ろで何やらゴソゴソと妙な動きをしている。
コイツも落ち着かないんだろう。なんと言ってもごく普通の男子小学生なんだからな。
空き地まではそう遠くなく、15分ほどバイクを走らせると現場に着いた。
だが。
到着するなり、俺達はその目を疑った。
めっちゃ人多くね?
ズラリと並んだ兵隊の数に圧倒される。
野次馬だのオーディエンスだのが混ざってる可能性もあるが───────── 愚羅淫怒(グラインド)側の人間と見てほぼ間違いないだろう。
てか、羽威刄闇(ワイバーン)側のメンバーは居ねぇのかよ!?
どうすんだよコレ!?
まあ、体験希望の外国人留学生が総長になってる時点で、人手不足なのは判ってた事ではあるんだが───────────
俺達が到着したのに気付いたからか、鈴木先輩がゆっくりと振り返った。
「おう。お前らか。ようこの場所が判ったのう?」
危ないけぇ近付くな、と鈴木先輩は俺達に静かにそう言った。
え!?
『近付くな』って──────────
周囲はすっかり暗くなっている。
相手側陣営の総数は判らない。
ただ、1クラスか2クラス程度の人間がこちらを取り囲んで対峙している状況は馬鹿でも理解できる。
どうすんだよコレ!?
「コレはワシ個人の問題じゃけぇ───────人を巻き込む訳にはいかんのじゃ」
鈴木先輩はそう言うと、手に持った長く太い鉄パイプでドンと地面を叩いた。
なんだアレは?武器か?
しかし、いくら鈴木先輩がかつての『紅蓮の内藤』であったとしても、この人数を一人でってのは無理なんじゃないか?
無双シリーズのゲームじゃあるまいし、単騎でこの人数を片付けて行くってのは無理がありすぎる。
「いや、あの、鈴木先輩……」
俺がそう言いかけた瞬間だった。
周囲にどよめきが起こる。
「……え?」
鈴木先輩の持つ棒状の武器の量端が燃えている。
「な……!?」
流石の概史も驚きを隠せない表情でそれを見つめる。
「コレを使うんは久しぶりじゃけぇのう。上手ういくか判らんかったが───────」
鈴木先輩がその武器を大きく振り回し、回転させると、暗闇の空き地に大きな炎の輪が浮かんだ。
敵陣営のどよめきがより一層強くなり、どこかで小さく悲鳴が上がる。
手慣れた様子で鈴木先輩は炎の輪を身に纏ったまま、相手側の方にゆっくりと歩いて行く。
武器が空を切る音と炎が燃える音がこちらにまで伝わってくる。
え?
は?
何これ?
俺達は一体、何を見せられてるんだ──────────!?
格ゲーじゃん。
格ゲーの世界じゃん。見た事あるぞ、こういう技!?
てか、技ってレベル超えて超必殺技じゃねぇか。
まさか現実にこんな技を使う生身の人間が居るなんて────────しかも、目の前で!?
これが『紅蓮の内藤』って言われた所以なのか──────────
復活した『伝説』を目の当たりにして、俺達はただ圧倒されるしかなかった。
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