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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 初めて知る概念と選択
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「え?大学って───────」
通ってるんですか、と俺が訊くと先輩は首を振った。
「通信じゃけぇの。家でええんじゃ」
通信!?
大学にも通信講座みたいなのがあるのか!?
進研ゼミ的な感じなんだろうか。
俺が驚いていると、概史がすかさず質問を重ねてくる。
「通信の大学ってあるんスか!?それって、学歴とかどうなるんスか!?」
それとも、ただの趣味の講座みたいな感じなんスか、という概史の質問に対し、鈴木先輩は順番に答えていく。
「今回、入学するに当たって色々調べたんじゃがのう。結構沢山の大学に『通信制』が導入されとるみたいじゃぞ」(※1)
あの有名な早稲田や慶応にも通信制があるみたいじゃ、という鈴木先輩の言葉に概史が食い付く。
「え!早稲田慶応にもそういうのあるんスか!?じゃあ卒業したら早稲田卒とか慶応卒とか名乗れるんスか!?」(※2)
そうだね~と佑ニーサンが頷く。
「ただ、卒業するのは凄く大変みたいだよ~。芸能人や有名アスリートなんかだと卒業生もチラホラいるみたいだけど~」
けどのう、と鈴木先輩が補足するように付け加える。
「頑張って無事に卒業したら最終学歴は大卒になって────── 大卒資格、学士を取得できるんじゃ」(※3)
マジか。
通信の大学。(※4)
そういうのもあるのか!
初めて知る概念に俺は衝撃を受ける。
「昼は仕事して、空いた時間に勉強出来るんが有難いんじゃ。チビらの世話も大変な時期なんじゃがのう、キヨ婆ちゃんや八宇も協力してくれとるけぇ───────」
大卒の資格取るのに挑戦してみよう思うたんじゃ、という鈴木先輩は物凄くカッコ良く見える。
鈴木先輩、ガタイがいいだけじゃ無くて頭の回転もめっちゃ早くてさ。地頭がいいんだろうな。そこがまた凄いんだよな。
「でもめっちゃお金掛かるんじゃないんスか!?さっき奨学金とかの話がありましたけど─────」
何百万も掛かって大変なんじゃないスか!?と概史がいつになく真剣に尋ねる。
ああ、と鈴木先輩はスマホの画面を俺達に見せてくる。
「通信じゃったら普通に通うより安い場合が多いんじゃ。ワシのとこのS大学は一年で20万くらいじゃけぇのう。1ヶ月じゃと──────」(※5)
鈴木先輩はスマホの電卓アプリの画面を開く。
「16000円とちょっとくらいになるかのう。それくらいじゃったら捻出出来んこともないけぇ─────」
ええ!と鈴木先輩の話を遮って概史が感嘆の声を上げた。
「1ヶ月16000円くらいだったら頑張って働いたら払えそう感あるっスね!!!マジすか!?この金額で大卒の学歴が手に入るんスか!?」
ソシャゲとかにこれ以上の額をブッ込んでる人も居るじゃないスかwwそれに比べたらwwwめっちゃリーズナブルじゃないスかwwwと概史は興奮気味に感心する。
───────確かに。
小泉なんか、オンラインくじだのスパチャだのトレーディング商品の箱買いだのにとんでもない金額をブッ込んでるからな。
それに比べたら控えめな金額にすら思えてくる。
ましてや。
自分の人生を変えるかもしれない『大卒の学歴』がこの金額で手に入るなんて。
初めて知った制度に────────────俺は俄然興味が出てきた。
通ってるんですか、と俺が訊くと先輩は首を振った。
「通信じゃけぇの。家でええんじゃ」
通信!?
大学にも通信講座みたいなのがあるのか!?
進研ゼミ的な感じなんだろうか。
俺が驚いていると、概史がすかさず質問を重ねてくる。
「通信の大学ってあるんスか!?それって、学歴とかどうなるんスか!?」
それとも、ただの趣味の講座みたいな感じなんスか、という概史の質問に対し、鈴木先輩は順番に答えていく。
「今回、入学するに当たって色々調べたんじゃがのう。結構沢山の大学に『通信制』が導入されとるみたいじゃぞ」(※1)
あの有名な早稲田や慶応にも通信制があるみたいじゃ、という鈴木先輩の言葉に概史が食い付く。
「え!早稲田慶応にもそういうのあるんスか!?じゃあ卒業したら早稲田卒とか慶応卒とか名乗れるんスか!?」(※2)
そうだね~と佑ニーサンが頷く。
「ただ、卒業するのは凄く大変みたいだよ~。芸能人や有名アスリートなんかだと卒業生もチラホラいるみたいだけど~」
けどのう、と鈴木先輩が補足するように付け加える。
「頑張って無事に卒業したら最終学歴は大卒になって────── 大卒資格、学士を取得できるんじゃ」(※3)
マジか。
通信の大学。(※4)
そういうのもあるのか!
初めて知る概念に俺は衝撃を受ける。
「昼は仕事して、空いた時間に勉強出来るんが有難いんじゃ。チビらの世話も大変な時期なんじゃがのう、キヨ婆ちゃんや八宇も協力してくれとるけぇ───────」
大卒の資格取るのに挑戦してみよう思うたんじゃ、という鈴木先輩は物凄くカッコ良く見える。
鈴木先輩、ガタイがいいだけじゃ無くて頭の回転もめっちゃ早くてさ。地頭がいいんだろうな。そこがまた凄いんだよな。
「でもめっちゃお金掛かるんじゃないんスか!?さっき奨学金とかの話がありましたけど─────」
何百万も掛かって大変なんじゃないスか!?と概史がいつになく真剣に尋ねる。
ああ、と鈴木先輩はスマホの画面を俺達に見せてくる。
「通信じゃったら普通に通うより安い場合が多いんじゃ。ワシのとこのS大学は一年で20万くらいじゃけぇのう。1ヶ月じゃと──────」(※5)
鈴木先輩はスマホの電卓アプリの画面を開く。
「16000円とちょっとくらいになるかのう。それくらいじゃったら捻出出来んこともないけぇ─────」
ええ!と鈴木先輩の話を遮って概史が感嘆の声を上げた。
「1ヶ月16000円くらいだったら頑張って働いたら払えそう感あるっスね!!!マジすか!?この金額で大卒の学歴が手に入るんスか!?」
ソシャゲとかにこれ以上の額をブッ込んでる人も居るじゃないスかwwそれに比べたらwwwめっちゃリーズナブルじゃないスかwwwと概史は興奮気味に感心する。
───────確かに。
小泉なんか、オンラインくじだのスパチャだのトレーディング商品の箱買いだのにとんでもない金額をブッ込んでるからな。
それに比べたら控えめな金額にすら思えてくる。
ましてや。
自分の人生を変えるかもしれない『大卒の学歴』がこの金額で手に入るなんて。
初めて知った制度に────────────俺は俄然興味が出てきた。
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