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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 Talking about SEX and LIFE その⑨
しおりを挟むえwどゆことっスかw?と概史が俺に聞き返してくる。
うん、と俺は頷き─────────こう切り出した。
「セックスってさ。そんなに大事かなって思うんだよな。いや、大事じゃないって意味じゃなくてさ。優先順位っていうか─────────」
もしかしてさ、セックスより大事なことが実はあるんじゃないかって……そう思うんだよな、と俺は続けた。
「それより前にさ、まず最初に誰かを好きになる訳だろ?そんでさ、話し掛けたりして距離縮めてからさ、手応えとかあったら告白してさ──────それで相手にOK貰ったらやっと付き合えるようになる訳じゃん?」
室内にエアコンの音が響く。
「そんでデートとか行くだろ?ゲーセンとか買い物とか、あとはなんか飯食いに行くだとか───────」
そんでさ、と俺は更に一人で話を続ける。
「何ヶ月か付き合ってさ、やっと手とか繋いで───────そのあとにようやくキスとか出来る訳じゃん?」
俺がそう言うと、佑ニーサンが驚いたように目をパチクリとさせる。
「……だからさ。セックスだけが急に出てこないじゃん?ピラミッドみたいに信頼とか時間とかを積み重ねてってさ。その途中にセックスがあるんだろ?」
え、ちょっと待ってくださいよ、と概史が真面目な表情で俺に訊ねてくる。
「ピラミッドみたいに関係性を積み重ねていくってのは解ったんスけど……セックスすんのは途中なんスか?」
ピラミッドのてっぺんじゃなくて?と真顔で質問してくる概史に対し、俺はこう続けた。
「セックスってのはゴールじゃないだろ?一回ヤッて終わり、みたいなヤリ捨て目的の男なら兎も角さ──────────」
付き合ってたらさ、日常のルーティンとかデートの中に自然に入ってくるんだろ?知らんけどさ、と俺は答えた。
「セックスも積み重ねる関係性の中に含まれてるってことっスか?」
じゃあピラミッドのてっぺんって何なんスか?と概史が割とガチ目に聞いてくる。
「てっぺんか……なんていうか、上手く言ぇねぇんだけどさ……」
俺は暫く考えてから口を開いた。
「うーん。『死』……とか?」
「突然の『死』wwww」
概史がゲラゲラと笑い出した。
「ウケるwwwなんで『死』なんスかwwwテライミフwww」
だってさ、と俺はぼんやりとした思考を言葉にしていく。
「結婚式の時の誓いの言葉とかにさ、『健やかなる時も病める時も…… 死がふたりを分かつまで』みたいな文言があるじゃん?」
だからさ、最後は『死』かなって思ってさ、と俺が言うと─────────概史はハッとしたような表情を見せた。
「……!」
「最後まで添い遂げるってのがピラミッドのてっぺんって考えたらさ。セックスなんてのはその途中にあるモンだろ?」
上手く考えが纏まらない。俺は口下手だからな。
それでも俺は自分の思っていることを必死になって話す。
どうしてもそうしなきゃいけない気がしたからな。
今、この場で。
「もしも俺に好きな女子が居たとしてさ。その子も俺のことを好きで居てくれたとして───────その子が怖がってたり、そういうのは嫌だって思ってたとしたら……やっぱりやるべきじゃないと思うし」
相手のことを考えずに無理矢理するセックスとか、騙したり流されたりしただけのセックスとかは嫌なんだ、と俺は続けた。
「童貞の俺が言っても説得力無いかもだけどさ。相手もその気になってくれて初めて成立するし、だから価値があるんじゃないかって気がするんだよ」
だってそうだろ?無理矢理やったら婦女暴行じゃねぇか。
「なんて言うかさ。自分が好きな相手が自分のことを受け入れてくれる、求めてくれる的な事に意味があってさ─────────それこそが真髄なんじゃないかって思ってて───────」
佑ニーサンの手の中でグラスの氷がカランと音を立てる。
「だってさ。金さえ払えばオッサンでもパパ活とかで若い女とヤレるだろ?でもそれってTENGAとかとどう違うんだよ?そこに気持ちも感情も無いんじゃねぇの?」
射精するだけなら一人でもオナホとかでも一緒じゃねぇか。そこに意味なんか無くてさ、と俺が言うと鈴木先輩は黙ってレッドブルの缶をグラスに注いだ。
「セックスってさ。目的じゃなくて手段だろ?少なくとも俺はそう思ってる」
うん、と俺は頷き─────────こう切り出した。
「セックスってさ。そんなに大事かなって思うんだよな。いや、大事じゃないって意味じゃなくてさ。優先順位っていうか─────────」
もしかしてさ、セックスより大事なことが実はあるんじゃないかって……そう思うんだよな、と俺は続けた。
「それより前にさ、まず最初に誰かを好きになる訳だろ?そんでさ、話し掛けたりして距離縮めてからさ、手応えとかあったら告白してさ──────それで相手にOK貰ったらやっと付き合えるようになる訳じゃん?」
室内にエアコンの音が響く。
「そんでデートとか行くだろ?ゲーセンとか買い物とか、あとはなんか飯食いに行くだとか───────」
そんでさ、と俺は更に一人で話を続ける。
「何ヶ月か付き合ってさ、やっと手とか繋いで───────そのあとにようやくキスとか出来る訳じゃん?」
俺がそう言うと、佑ニーサンが驚いたように目をパチクリとさせる。
「……だからさ。セックスだけが急に出てこないじゃん?ピラミッドみたいに信頼とか時間とかを積み重ねてってさ。その途中にセックスがあるんだろ?」
え、ちょっと待ってくださいよ、と概史が真面目な表情で俺に訊ねてくる。
「ピラミッドみたいに関係性を積み重ねていくってのは解ったんスけど……セックスすんのは途中なんスか?」
ピラミッドのてっぺんじゃなくて?と真顔で質問してくる概史に対し、俺はこう続けた。
「セックスってのはゴールじゃないだろ?一回ヤッて終わり、みたいなヤリ捨て目的の男なら兎も角さ──────────」
付き合ってたらさ、日常のルーティンとかデートの中に自然に入ってくるんだろ?知らんけどさ、と俺は答えた。
「セックスも積み重ねる関係性の中に含まれてるってことっスか?」
じゃあピラミッドのてっぺんって何なんスか?と概史が割とガチ目に聞いてくる。
「てっぺんか……なんていうか、上手く言ぇねぇんだけどさ……」
俺は暫く考えてから口を開いた。
「うーん。『死』……とか?」
「突然の『死』wwww」
概史がゲラゲラと笑い出した。
「ウケるwwwなんで『死』なんスかwwwテライミフwww」
だってさ、と俺はぼんやりとした思考を言葉にしていく。
「結婚式の時の誓いの言葉とかにさ、『健やかなる時も病める時も…… 死がふたりを分かつまで』みたいな文言があるじゃん?」
だからさ、最後は『死』かなって思ってさ、と俺が言うと─────────概史はハッとしたような表情を見せた。
「……!」
「最後まで添い遂げるってのがピラミッドのてっぺんって考えたらさ。セックスなんてのはその途中にあるモンだろ?」
上手く考えが纏まらない。俺は口下手だからな。
それでも俺は自分の思っていることを必死になって話す。
どうしてもそうしなきゃいけない気がしたからな。
今、この場で。
「もしも俺に好きな女子が居たとしてさ。その子も俺のことを好きで居てくれたとして───────その子が怖がってたり、そういうのは嫌だって思ってたとしたら……やっぱりやるべきじゃないと思うし」
相手のことを考えずに無理矢理するセックスとか、騙したり流されたりしただけのセックスとかは嫌なんだ、と俺は続けた。
「童貞の俺が言っても説得力無いかもだけどさ。相手もその気になってくれて初めて成立するし、だから価値があるんじゃないかって気がするんだよ」
だってそうだろ?無理矢理やったら婦女暴行じゃねぇか。
「なんて言うかさ。自分が好きな相手が自分のことを受け入れてくれる、求めてくれる的な事に意味があってさ─────────それこそが真髄なんじゃないかって思ってて───────」
佑ニーサンの手の中でグラスの氷がカランと音を立てる。
「だってさ。金さえ払えばオッサンでもパパ活とかで若い女とヤレるだろ?でもそれってTENGAとかとどう違うんだよ?そこに気持ちも感情も無いんじゃねぇの?」
射精するだけなら一人でもオナホとかでも一緒じゃねぇか。そこに意味なんか無くてさ、と俺が言うと鈴木先輩は黙ってレッドブルの缶をグラスに注いだ。
「セックスってさ。目的じゃなくて手段だろ?少なくとも俺はそう思ってる」
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