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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 キラキラ キラーパス
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「え~!?」
佑ニーサンが困惑したような声を上げる。
「プレゼントって言っても~10代の女の子が喜ぶ物とか思い浮かばないなあ~」
無難にジルスチュアートとかディオールのコスメだと外さない気もするけど~と佑ニーサンは少し考え込むような素振りを見せた。
そうは言ってもスゲェな、と俺は少し感心してしまう。
咄嗟に聞かれても俺には何が何だかサッパリだ。
さっき佑ニーサンが挙げたブランドの名前も全然ピンと来ねぇし。
「ディオールってさ~買ったコスメに名前入れてくれるサービスがあるみたいよ~?リップとかコンパクトとかに~」
えーまじスかwwなんかカッコいいスねwwと概史が反応する。
「やっぱ高いんスかww?」
なんかさ~名入れ自体は無料みたいよ~と佑ニーサンが答えると鈴木先輩も感心する。
「タダなんか?!けど、それは元の値段が高いんじゃろうけど───────」
ディオールの店舗なら市内駅前のデパートにギリまだあるよね~と佑ニーサンが付け加える。
なるほど。
衰退する一方の地方都市でしかないこのエリアだが、有名ブランドのショップはまだ撤退せずに頑張っているようだ。
「まあ、パッケージの可愛さで選ぶんならジルスチュアートって感じだろうし~」
僕には10代の女の子の趣味とか若過ぎてわかんないよ~と佑ニーサンがぼやく。
「またまたww露骨な年寄りアピやめてくださいよwww佑ニーサンだってまだ20代じゃないスかww」
はは……と佑ニーサンは少しテンションを落とす。
「そう言われると逆に自分の実年齢を突きつけられるようで落ち込むねぇ~」
なんだかんだで僕もアラサーだしねぇ~と佑ニーサンはポケットから煙草の箱を取り出し掛ける。
「おっと……つい癖でねぇ~」
いやいや、歳取るとなかなかポンコツになってダメだねぇ~と佑ニーサンはため息をついた。
それを聞いた概史がゲラゲラ笑い始める。
「ホントにwwお爺ちゃんみたいだからwwそういうのやめてくださいよww」
まあともかく~と佑ニーサンは少し困ったような表情を浮かべた。
「同じ10代なんだから概史やガックンに聞いた方が近くない~?」
おいおいおい、唐突にこっちにパスが回って来たんだが!?
しかも、彼女とか居たことのない俺からしたらキラーパス以外の何物でもない。
「お……俺は彼女とか居たことねぇし……そういうのはやっぱ概史だろ?」
俺は自分がボロを出す前に早々にパスを概史に回した。
俺に聞くなっつーの。
女子にプレゼントとか俺には一生無理だし。
「え?オレっスかwww」
概史はまたゲラゲラと笑った。
「撫子のやつww着せ替え人形が欲しいとか言ってたんでwww多分参考にはならないと思うっスよwww」
「え~?人形~?」
佑ニーサンが怪訝そうに聞き返す。
「球体関節人形とかの高いやつ~?何万とか何十万とかの限定品とか~?」
いやいやwwと概史が首を振る。
「なんかwwトイザらスとかで売ってる感じの奴が欲しいって言ってましたww小さい頃に買ってもらえなかったからってwww」
なるほどな。
家に金がなくて──────ガキの頃に玩具も何も買ってもらえなかったらしいもんな。
それどころか、断片的な話から察するに着る物や食べる物にすら困っていた節もある。
今になって撫子がそんな事を言い出したってことはさ、やっぱ概史の力量なんだろうか。
固く閉ざされていた心を概史が開いて───────心情を吐露したり甘えられるまでの関係性を築いたって事だもんな。
概史は巫山戯ているように見えて、実はちゃんとした真摯なヤツなんだ。
そこまで考えて俺はふと一抹の不安に駆られた。
佑ニーサンも、鈴木先輩も概史も。
プレゼントをあげる相手がいる。
みんな彼女なり嫁が居るんだ。
俺だけが誰も居ない。一人ぼっちなんだ。
佑ニーサンが困惑したような声を上げる。
「プレゼントって言っても~10代の女の子が喜ぶ物とか思い浮かばないなあ~」
無難にジルスチュアートとかディオールのコスメだと外さない気もするけど~と佑ニーサンは少し考え込むような素振りを見せた。
そうは言ってもスゲェな、と俺は少し感心してしまう。
咄嗟に聞かれても俺には何が何だかサッパリだ。
さっき佑ニーサンが挙げたブランドの名前も全然ピンと来ねぇし。
「ディオールってさ~買ったコスメに名前入れてくれるサービスがあるみたいよ~?リップとかコンパクトとかに~」
えーまじスかwwなんかカッコいいスねwwと概史が反応する。
「やっぱ高いんスかww?」
なんかさ~名入れ自体は無料みたいよ~と佑ニーサンが答えると鈴木先輩も感心する。
「タダなんか?!けど、それは元の値段が高いんじゃろうけど───────」
ディオールの店舗なら市内駅前のデパートにギリまだあるよね~と佑ニーサンが付け加える。
なるほど。
衰退する一方の地方都市でしかないこのエリアだが、有名ブランドのショップはまだ撤退せずに頑張っているようだ。
「まあ、パッケージの可愛さで選ぶんならジルスチュアートって感じだろうし~」
僕には10代の女の子の趣味とか若過ぎてわかんないよ~と佑ニーサンがぼやく。
「またまたww露骨な年寄りアピやめてくださいよwww佑ニーサンだってまだ20代じゃないスかww」
はは……と佑ニーサンは少しテンションを落とす。
「そう言われると逆に自分の実年齢を突きつけられるようで落ち込むねぇ~」
なんだかんだで僕もアラサーだしねぇ~と佑ニーサンはポケットから煙草の箱を取り出し掛ける。
「おっと……つい癖でねぇ~」
いやいや、歳取るとなかなかポンコツになってダメだねぇ~と佑ニーサンはため息をついた。
それを聞いた概史がゲラゲラ笑い始める。
「ホントにwwお爺ちゃんみたいだからwwそういうのやめてくださいよww」
まあともかく~と佑ニーサンは少し困ったような表情を浮かべた。
「同じ10代なんだから概史やガックンに聞いた方が近くない~?」
おいおいおい、唐突にこっちにパスが回って来たんだが!?
しかも、彼女とか居たことのない俺からしたらキラーパス以外の何物でもない。
「お……俺は彼女とか居たことねぇし……そういうのはやっぱ概史だろ?」
俺は自分がボロを出す前に早々にパスを概史に回した。
俺に聞くなっつーの。
女子にプレゼントとか俺には一生無理だし。
「え?オレっスかwww」
概史はまたゲラゲラと笑った。
「撫子のやつww着せ替え人形が欲しいとか言ってたんでwww多分参考にはならないと思うっスよwww」
「え~?人形~?」
佑ニーサンが怪訝そうに聞き返す。
「球体関節人形とかの高いやつ~?何万とか何十万とかの限定品とか~?」
いやいやwwと概史が首を振る。
「なんかwwトイザらスとかで売ってる感じの奴が欲しいって言ってましたww小さい頃に買ってもらえなかったからってwww」
なるほどな。
家に金がなくて──────ガキの頃に玩具も何も買ってもらえなかったらしいもんな。
それどころか、断片的な話から察するに着る物や食べる物にすら困っていた節もある。
今になって撫子がそんな事を言い出したってことはさ、やっぱ概史の力量なんだろうか。
固く閉ざされていた心を概史が開いて───────心情を吐露したり甘えられるまでの関係性を築いたって事だもんな。
概史は巫山戯ているように見えて、実はちゃんとした真摯なヤツなんだ。
そこまで考えて俺はふと一抹の不安に駆られた。
佑ニーサンも、鈴木先輩も概史も。
プレゼントをあげる相手がいる。
みんな彼女なり嫁が居るんだ。
俺だけが誰も居ない。一人ぼっちなんだ。
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