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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 僕らまたそれぞれの道をさ
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目をゆっくりと開けた俺は周囲を見渡した。
俺の部屋だ。
なんの変化もない。
─────────さっきのは夢か?
壁の時計をぼんやりと見る。
朝の6時。
俺は枕元にあるスマホを確認した。
連絡は何もなかった。
はっきりしない頭で考えを巡らせる。
まあ、夢だよな──────?
起き上がった俺は制服のズボンのポケットにある銀色のケースを取り出した。
何も考えずに無造作に開けるが──────中身はギッチリと詰まっている。
まあ、当たり前だよな。
あれは夢だったんだから。
だけど。
この気持ちはなんだろう?
不思議な感覚だ。
心地よい疲労感と安堵とそれから────────
言い知れぬ不安感と罪悪感が自分の中にあるのが不可解だった。
どうして俺はこんな気分になってるんだろう?
なんだかすごく悲しいんだ。
理由はわからない。
夢の中で感じた体温がまだ自分の中に残っているかのように錯覚してしまう。
変だよな。
温もりを感じてるのに悲しいってのは奇妙じゃないか。
自分の感情に整合性が無くて混乱してしまう。
ポケットの中に銀色のケースを仕舞おうとした俺はドキリとした。
畳の上に──────何かある。
見慣れない何かがそこに転がっている。
それを指で摘んだ俺は絶句した。
そこにあったのは───────真っ白な真珠だった。
「……!?」
ギョッとした俺はそれを凝視する。
なんでだよ!?
なんでこれがここに、と俺はパニックになりかけた。
バクバクと心臓が音を立てて跳ねる。
夢の中で弾け飛んで宙を舞っていた真珠の粒。
ドキリとした瞬間───────俺の視界に別の物が飛び込んでくる。
死んだ婆さんが飾っていたレトロなポーズ人形が箪笥の上から俺を見下ろしていた。
フランス人形みたいな風貌なんだけどさ、婆さんのお気に入りだった物だ。
そうか。
よく見れば─────人形の耳飾りのパーツが片方無くなっている。
「なんだ。驚かせんなよ」
そう言いながら俺は人形の足元にそれを置いた。
またボンドか何かでくっ付けとけばいいだろう。
そう考えながらふと───────自分の感情の起伏に対して自分自身が戸惑っていることに気付く。
さっきの真珠、ガチだと思ってビビってたんだよな俺。
結果的に人形のパーツだったって訳だけど─────────
もしもこれがマジなヤツだったら俺はどうするつもりだったんだろう。
俺の部屋だ。
なんの変化もない。
─────────さっきのは夢か?
壁の時計をぼんやりと見る。
朝の6時。
俺は枕元にあるスマホを確認した。
連絡は何もなかった。
はっきりしない頭で考えを巡らせる。
まあ、夢だよな──────?
起き上がった俺は制服のズボンのポケットにある銀色のケースを取り出した。
何も考えずに無造作に開けるが──────中身はギッチリと詰まっている。
まあ、当たり前だよな。
あれは夢だったんだから。
だけど。
この気持ちはなんだろう?
不思議な感覚だ。
心地よい疲労感と安堵とそれから────────
言い知れぬ不安感と罪悪感が自分の中にあるのが不可解だった。
どうして俺はこんな気分になってるんだろう?
なんだかすごく悲しいんだ。
理由はわからない。
夢の中で感じた体温がまだ自分の中に残っているかのように錯覚してしまう。
変だよな。
温もりを感じてるのに悲しいってのは奇妙じゃないか。
自分の感情に整合性が無くて混乱してしまう。
ポケットの中に銀色のケースを仕舞おうとした俺はドキリとした。
畳の上に──────何かある。
見慣れない何かがそこに転がっている。
それを指で摘んだ俺は絶句した。
そこにあったのは───────真っ白な真珠だった。
「……!?」
ギョッとした俺はそれを凝視する。
なんでだよ!?
なんでこれがここに、と俺はパニックになりかけた。
バクバクと心臓が音を立てて跳ねる。
夢の中で弾け飛んで宙を舞っていた真珠の粒。
ドキリとした瞬間───────俺の視界に別の物が飛び込んでくる。
死んだ婆さんが飾っていたレトロなポーズ人形が箪笥の上から俺を見下ろしていた。
フランス人形みたいな風貌なんだけどさ、婆さんのお気に入りだった物だ。
そうか。
よく見れば─────人形の耳飾りのパーツが片方無くなっている。
「なんだ。驚かせんなよ」
そう言いながら俺は人形の足元にそれを置いた。
またボンドか何かでくっ付けとけばいいだろう。
そう考えながらふと───────自分の感情の起伏に対して自分自身が戸惑っていることに気付く。
さっきの真珠、ガチだと思ってビビってたんだよな俺。
結果的に人形のパーツだったって訳だけど─────────
もしもこれがマジなヤツだったら俺はどうするつもりだったんだろう。
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