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ep9
ep9『夢千夜』 “偽りの花嫁” 第二十七夜
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「……最っ低」
小泉が軽蔑したような表情でそう吐き捨てる。
ハァ!?
何を言ってるんだ小泉は!?
なんだろう、俺って何か悪いこと言ったか?
「は……?」
意味がわからず、俺はしばらく無言になる。
アレか?マナー的な何かか?
何かのマナー違反があった?
マナー講師かよめんどくせぇな。
いや、それ以前にセックス中にマナーもクソもなくね?
それよかさ、俺って人助けをしようとしてるだろ?
褒められることはあっても罵倒されるようなことってしてなくね?
俺をキッと睨み付ける小泉に対し─────────若干の苛立ちが芽生えてくる。
てかさ、そもそもさっきの大聖堂での小泉─────────
苛立ちが連鎖するように少し前の感情が引き摺り出される。
社員ぽい花婿役の男と普通にキスしてたじゃん。
人前でさ。
なんなの?
女優とか俳優とかさ、演劇や舞台での仕事だっていうんならわかるぜ?
けど小泉ってただの臨時バイトじゃねぇか。
そこまでやる必要あるか?
「─────センセェさ。さっきの模擬挙式で知らん男とキスしてたじゃん?」
なんなの?やれって誰かに言われたら知らねぇ男とでもキス出来るんだ?と俺はイライラした気分を小泉の身体にぶつけた。
今まで遠慮し、手加減していた力のリミッターが解放される。
更に奥まで容赦なく突き上げられ、掻き回される内部が生き物のように反応している。
中の臓器がぐちゃぐちゃに絡み合っているかのような感覚。
「……なっ!?」
小泉は驚いたように目を見開き───────その顔をさらに歪ませた。
「……佐藤、あれは──────」
小泉がそう言い掛けた瞬間、反射的に渾身の力でヒクヒクと震える弱そうな部分を責める。
言い訳とか聞きたくねぇんだよ。
「……ヒッ!?」
刺されたような悲鳴が室内に響く。
てか、静かにしろってさっき言ったじゃねぇか。
けどまあ、さっきのは確実に痛かったんだろうな、とは思った。
なんかすっげぇめり込んだ感触したからな。
ほんの一瞬、俺の中に嗜虐心にも似た感情が芽生える。
「……なあ」
俺は小泉の身体を少し手荒く掴んだ。
その瞬間。
金具がどこかに引っ掛かってしまったんだろう。
プチリ、という音が周囲に響いた。
「……あ!」
小泉の胸元にあった真珠の首飾りが────────音を立てて引きちぎれ、涙のような雫が周囲に飛び散る。
──────────それは幻想的な光景だった。
純白のドレスとレースのヴェールを身に纏った小泉の胸元や首筋、たくし上げたボリュームのあるスカートの布地に真珠の雫が散らばっている。
その姿はさながら、深海の人魚姫のようにも思えた。
「センセェ、綺麗だな」
思わず自然に口を突いて出た言葉に、俺自身が一番驚いていた。
「……っ?!」
俺は咄嗟に自分の口元を覆った。
??????
なんだこの台詞は。
こんな場面で言うような事じゃないだろう。
何を言ってるんだ俺は。
確かに、夕貴さんや佑ニーサンに『先生にちゃんと綺麗だって伝えろ』とは言われたけど──────────
だけど、よりにもよってセックスの最中に言うような言葉じゃないことだけは俺にも理解できる。
だってさ、そんなの嘘みたいじゃねぇか。
やってる時はチヤホヤしてさ、やり終わった後は冷めた対応って男は五万といるんだろ?
なんかそういうの嫌なんだよ。俺的にはさ。
嘘みたいな台詞をこんな場面で言うのって俺のガラじゃねぇ気がするんだよな。
俺は小泉の顔をもう一度見た。
耳まで真っ赤になった小泉は顔を両手で覆いながら───────ただ一言、こう言った。
「……佐藤の馬鹿」
その言葉と同時だった。
俺の心臓と体の中心部はキュッと握られるように切ない感覚に襲われ─────────その直後、俺はその役目を果たした。
小泉が軽蔑したような表情でそう吐き捨てる。
ハァ!?
何を言ってるんだ小泉は!?
なんだろう、俺って何か悪いこと言ったか?
「は……?」
意味がわからず、俺はしばらく無言になる。
アレか?マナー的な何かか?
何かのマナー違反があった?
マナー講師かよめんどくせぇな。
いや、それ以前にセックス中にマナーもクソもなくね?
それよかさ、俺って人助けをしようとしてるだろ?
褒められることはあっても罵倒されるようなことってしてなくね?
俺をキッと睨み付ける小泉に対し─────────若干の苛立ちが芽生えてくる。
てかさ、そもそもさっきの大聖堂での小泉─────────
苛立ちが連鎖するように少し前の感情が引き摺り出される。
社員ぽい花婿役の男と普通にキスしてたじゃん。
人前でさ。
なんなの?
女優とか俳優とかさ、演劇や舞台での仕事だっていうんならわかるぜ?
けど小泉ってただの臨時バイトじゃねぇか。
そこまでやる必要あるか?
「─────センセェさ。さっきの模擬挙式で知らん男とキスしてたじゃん?」
なんなの?やれって誰かに言われたら知らねぇ男とでもキス出来るんだ?と俺はイライラした気分を小泉の身体にぶつけた。
今まで遠慮し、手加減していた力のリミッターが解放される。
更に奥まで容赦なく突き上げられ、掻き回される内部が生き物のように反応している。
中の臓器がぐちゃぐちゃに絡み合っているかのような感覚。
「……なっ!?」
小泉は驚いたように目を見開き───────その顔をさらに歪ませた。
「……佐藤、あれは──────」
小泉がそう言い掛けた瞬間、反射的に渾身の力でヒクヒクと震える弱そうな部分を責める。
言い訳とか聞きたくねぇんだよ。
「……ヒッ!?」
刺されたような悲鳴が室内に響く。
てか、静かにしろってさっき言ったじゃねぇか。
けどまあ、さっきのは確実に痛かったんだろうな、とは思った。
なんかすっげぇめり込んだ感触したからな。
ほんの一瞬、俺の中に嗜虐心にも似た感情が芽生える。
「……なあ」
俺は小泉の身体を少し手荒く掴んだ。
その瞬間。
金具がどこかに引っ掛かってしまったんだろう。
プチリ、という音が周囲に響いた。
「……あ!」
小泉の胸元にあった真珠の首飾りが────────音を立てて引きちぎれ、涙のような雫が周囲に飛び散る。
──────────それは幻想的な光景だった。
純白のドレスとレースのヴェールを身に纏った小泉の胸元や首筋、たくし上げたボリュームのあるスカートの布地に真珠の雫が散らばっている。
その姿はさながら、深海の人魚姫のようにも思えた。
「センセェ、綺麗だな」
思わず自然に口を突いて出た言葉に、俺自身が一番驚いていた。
「……っ?!」
俺は咄嗟に自分の口元を覆った。
??????
なんだこの台詞は。
こんな場面で言うような事じゃないだろう。
何を言ってるんだ俺は。
確かに、夕貴さんや佑ニーサンに『先生にちゃんと綺麗だって伝えろ』とは言われたけど──────────
だけど、よりにもよってセックスの最中に言うような言葉じゃないことだけは俺にも理解できる。
だってさ、そんなの嘘みたいじゃねぇか。
やってる時はチヤホヤしてさ、やり終わった後は冷めた対応って男は五万といるんだろ?
なんかそういうの嫌なんだよ。俺的にはさ。
嘘みたいな台詞をこんな場面で言うのって俺のガラじゃねぇ気がするんだよな。
俺は小泉の顔をもう一度見た。
耳まで真っ赤になった小泉は顔を両手で覆いながら───────ただ一言、こう言った。
「……佐藤の馬鹿」
その言葉と同時だった。
俺の心臓と体の中心部はキュッと握られるように切ない感覚に襲われ─────────その直後、俺はその役目を果たした。
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