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ep9『夢千夜』 “偽りの花嫁” 第十七夜
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「ハァ!?」
俺がリアクションする間もなく────────根本さんはその場を離れる。
「……それじゃね。鏡花のこと頼んだわよ少年」
なんなんだよ!?
なんかまるで俺が小泉の花嫁姿を見たくてたまらないみたいに思われてるじゃねぇか?
おいおい。冗談じゃねぇっつぅの。
別に小泉なんか毎日見てんだしさ、そう珍しいモンでもねぇじゃねぇか。
……なんだよ。
根本さんも夕貴さんも───────────
俺のこと揶揄ってるのか?
けど。
どうする?
折角、根本さんが気を利かせてくれたんだし───────ここは行くべきだろうか。
なんかさっき小泉の様子がおかしかったって話だしな。
考えを纏められないでいるとタイミングを逃してしまったのか──────料理が運ばれて来てしまった。
「……あれ?」
運ばれた皿を見た俺は固まってしまう。
載ってる料理が──────めっちゃ小さい。
え?
試食だからこんなケチケチした量なのか?
ご大層な更にちょこんと乗っかってる菓子みたいな物体。
俺が怪訝そうな顔をしていたからか夕貴さんがこう教えてくれた。
「あ、これはね。『アミューズ』って言って……前菜の前に出てくる料理のなのよ」
居酒屋のお通しみたいな物ですか、と俺が尋ねると夕貴さんは頷いた。
「そうそう。突き出しみたいなものって思ってくれていいわ」
なるほど。
それにしても、こんなちっこい料理が皿に一個ずつ載っけられて出てくんのか?
ずいぶん勿体ぶってるんだな、と思いつつ一口でそれを頬張る。
「……え?なにこれ、めっちゃ美味いんだけど」
思わずそう呟くと夕貴さんがまた笑った。
「これはミニサイズのキッシュね……うん。アンチョビとチョリソーの塩気が効いてるわ」
キッシュ?アンチョビ?チョリソー?
全く聞いたこともない単語のオンパレードだ。
その後も前菜だ、スープだ、魚料理だと次々と料理が運ばれてくる。
それらは全てとんでもなく絶品だった。
しかし。
美味いんだがどうも量が少ない気がする。
なんかさ、面倒くせぇからいっぺんにドカンと持ってきてくんねぇかな?
あと、量が足りんからこの5倍は欲しいとこだよな。
美味いんだがどうも物足りない。
茶碗に山盛りの白飯があれば尚いいんだが────────────
やっぱ俺ってこういう場所に向いてない人種なんだろうか?
美味くて量の少ない飯よりとにかく沢山腹に入れたい派なんだよな。
やっぱ俺は────────ここに居るべきじゃない人間なんだな。
順調にその後も口直しと肉料理が運ばれ、〆のコーヒーと菓子を口にしながらぼんやりとしている時だった。
「……あ、私ちょっとお手洗いに行ってくるわね」
佐藤君も一緒に向こうまで行ってみない?という夕貴さんの提案に俺は面食らう。
え?やっぱどうしても俺を向こうに行かせたい訳なのか?
なんなんだよ。夕貴さんも根本さんもさ。
俺をなんだと思ってるんだろう?
「……わかりましたよ……行きますよ」
根負けした俺は半ばヤケクソ気味でそう答える。
「ふふ……素直じゃないんだから」
夕貴さんはまたクスクスと笑う。
二人とも俺が小泉の花嫁姿を見る事に何かの意義を見出してるっていうんだろうか。
女子の考えてることはやっぱり何も分からない。
なんだかよく分からないまま────────俺は花嫁控室の方向に向かって歩き始めた。
俺がリアクションする間もなく────────根本さんはその場を離れる。
「……それじゃね。鏡花のこと頼んだわよ少年」
なんなんだよ!?
なんかまるで俺が小泉の花嫁姿を見たくてたまらないみたいに思われてるじゃねぇか?
おいおい。冗談じゃねぇっつぅの。
別に小泉なんか毎日見てんだしさ、そう珍しいモンでもねぇじゃねぇか。
……なんだよ。
根本さんも夕貴さんも───────────
俺のこと揶揄ってるのか?
けど。
どうする?
折角、根本さんが気を利かせてくれたんだし───────ここは行くべきだろうか。
なんかさっき小泉の様子がおかしかったって話だしな。
考えを纏められないでいるとタイミングを逃してしまったのか──────料理が運ばれて来てしまった。
「……あれ?」
運ばれた皿を見た俺は固まってしまう。
載ってる料理が──────めっちゃ小さい。
え?
試食だからこんなケチケチした量なのか?
ご大層な更にちょこんと乗っかってる菓子みたいな物体。
俺が怪訝そうな顔をしていたからか夕貴さんがこう教えてくれた。
「あ、これはね。『アミューズ』って言って……前菜の前に出てくる料理のなのよ」
居酒屋のお通しみたいな物ですか、と俺が尋ねると夕貴さんは頷いた。
「そうそう。突き出しみたいなものって思ってくれていいわ」
なるほど。
それにしても、こんなちっこい料理が皿に一個ずつ載っけられて出てくんのか?
ずいぶん勿体ぶってるんだな、と思いつつ一口でそれを頬張る。
「……え?なにこれ、めっちゃ美味いんだけど」
思わずそう呟くと夕貴さんがまた笑った。
「これはミニサイズのキッシュね……うん。アンチョビとチョリソーの塩気が効いてるわ」
キッシュ?アンチョビ?チョリソー?
全く聞いたこともない単語のオンパレードだ。
その後も前菜だ、スープだ、魚料理だと次々と料理が運ばれてくる。
それらは全てとんでもなく絶品だった。
しかし。
美味いんだがどうも量が少ない気がする。
なんかさ、面倒くせぇからいっぺんにドカンと持ってきてくんねぇかな?
あと、量が足りんからこの5倍は欲しいとこだよな。
美味いんだがどうも物足りない。
茶碗に山盛りの白飯があれば尚いいんだが────────────
やっぱ俺ってこういう場所に向いてない人種なんだろうか?
美味くて量の少ない飯よりとにかく沢山腹に入れたい派なんだよな。
やっぱ俺は────────ここに居るべきじゃない人間なんだな。
順調にその後も口直しと肉料理が運ばれ、〆のコーヒーと菓子を口にしながらぼんやりとしている時だった。
「……あ、私ちょっとお手洗いに行ってくるわね」
佐藤君も一緒に向こうまで行ってみない?という夕貴さんの提案に俺は面食らう。
え?やっぱどうしても俺を向こうに行かせたい訳なのか?
なんなんだよ。夕貴さんも根本さんもさ。
俺をなんだと思ってるんだろう?
「……わかりましたよ……行きますよ」
根負けした俺は半ばヤケクソ気味でそう答える。
「ふふ……素直じゃないんだから」
夕貴さんはまたクスクスと笑う。
二人とも俺が小泉の花嫁姿を見る事に何かの意義を見出してるっていうんだろうか。
女子の考えてることはやっぱり何も分からない。
なんだかよく分からないまま────────俺は花嫁控室の方向に向かって歩き始めた。
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