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ep9
ep9『夢千夜』 “偽りの花嫁” 第十五夜
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「さっきのおねーさんの事ですか?」
先生の先輩って話ですけど、と俺が答えると夕貴さんはまたクスクスと笑った。
「ううん。君達のことだよ。なんか可愛いなって思って」
「……?」
俺達は大ホールから少し離れた場所にあるレストランに向かった。
ここの結婚式場には外部からでもアクセスできるレストランが併設されている。
少人数挙式や家族式の場合はここで食事会や1・5次会を開催可能って話だ。
勿論、貸し切りでない日や時間帯には一般客も利用可能らしい。
ここで挙式を挙げたカップルが結婚記念日や特別な日に訪れて食事をしていく事も多いとの事だ。
なるほど、式を挙げてそれで終わりって訳じゃないんだな。
何度もこの場所に戻ってきて───────その度に想い出を二人で反芻出来る。
それはなんとなく意義のあることのように感じられた。
そもそも結婚ってさ、式を挙げるのがゴールじゃないんだろ?むしろスタートだし。
だとしたら。
1日で莫大な額の金を使うってのは無駄だって思ってたけど────────そうじゃないって事なのか。
いや。
寧ろ、金では買えないような特別な“何か”。
それを積み重ねていく第一歩、土台を作る1日ってことなんだろうか?
なんとなくだが─────────────俺にもそれがぼんやりと見えてきたような気がしてきた。
係員に案内され、俺と夕貴さんは席につく。
席には『Happy Wedding TAKERU &YUKI』というカードがセットされていた。
そうか。夕貴さんの旦那はタケルっていうのか。
俺がぼんやりとそのカードを眺めていると夕貴さんが口を開いた。
「彼と私が出会ったのはね─────────教育実習がキッカケだったの」
「教育実習?」
俺は驚いて聞き返す。
「それって─────旦那さんは大学生だったってことですか?」
確か、以前に藤川さんや小泉が話してたよな。
教育実習ってのは大学生の時にやるんだろ?
ええ、と夕貴さんは頷いた。
「教育実習ってのは母校でやるのが原則らしくてね。だから、都内から一時的にこっちに戻って来てたの」
そうだったのか。
母校でやるってのは知らなかったな。
「え、それでどうして付き合う事になったんですか?」
俺はつい、踏み込んだ質問をしてしまう。
でも気になるよな?だって聞きたいじゃねぇか。
ふふ、と夕貴さんはまた小さく笑った。
「私の方からね、彼に猛アタックしたのよ。彼ったらなんか放っておけなくて」
だからつい、と夕貴さんは続けた。
「なんか君達のこと───────昔の自分達と重ね合わせちゃって」
先生の先輩って話ですけど、と俺が答えると夕貴さんはまたクスクスと笑った。
「ううん。君達のことだよ。なんか可愛いなって思って」
「……?」
俺達は大ホールから少し離れた場所にあるレストランに向かった。
ここの結婚式場には外部からでもアクセスできるレストランが併設されている。
少人数挙式や家族式の場合はここで食事会や1・5次会を開催可能って話だ。
勿論、貸し切りでない日や時間帯には一般客も利用可能らしい。
ここで挙式を挙げたカップルが結婚記念日や特別な日に訪れて食事をしていく事も多いとの事だ。
なるほど、式を挙げてそれで終わりって訳じゃないんだな。
何度もこの場所に戻ってきて───────その度に想い出を二人で反芻出来る。
それはなんとなく意義のあることのように感じられた。
そもそも結婚ってさ、式を挙げるのがゴールじゃないんだろ?むしろスタートだし。
だとしたら。
1日で莫大な額の金を使うってのは無駄だって思ってたけど────────そうじゃないって事なのか。
いや。
寧ろ、金では買えないような特別な“何か”。
それを積み重ねていく第一歩、土台を作る1日ってことなんだろうか?
なんとなくだが─────────────俺にもそれがぼんやりと見えてきたような気がしてきた。
係員に案内され、俺と夕貴さんは席につく。
席には『Happy Wedding TAKERU &YUKI』というカードがセットされていた。
そうか。夕貴さんの旦那はタケルっていうのか。
俺がぼんやりとそのカードを眺めていると夕貴さんが口を開いた。
「彼と私が出会ったのはね─────────教育実習がキッカケだったの」
「教育実習?」
俺は驚いて聞き返す。
「それって─────旦那さんは大学生だったってことですか?」
確か、以前に藤川さんや小泉が話してたよな。
教育実習ってのは大学生の時にやるんだろ?
ええ、と夕貴さんは頷いた。
「教育実習ってのは母校でやるのが原則らしくてね。だから、都内から一時的にこっちに戻って来てたの」
そうだったのか。
母校でやるってのは知らなかったな。
「え、それでどうして付き合う事になったんですか?」
俺はつい、踏み込んだ質問をしてしまう。
でも気になるよな?だって聞きたいじゃねぇか。
ふふ、と夕貴さんはまた小さく笑った。
「私の方からね、彼に猛アタックしたのよ。彼ったらなんか放っておけなくて」
だからつい、と夕貴さんは続けた。
「なんか君達のこと───────昔の自分達と重ね合わせちゃって」
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