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ep9
ep9『夢千夜』 “偽りの花嫁” 第二夜
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「は……?」
なんだこれ。
ゼク◯ィって書いてあるが───────────
「なんだよセンセェ。作画資料か?」
センセェ、意外にまともに作業とかしてんだな、と俺が言うと小泉は無言でそれを引ったくった。
「……か……勝手にアレコレ触るんじゃない!」
鈍器のように重く分厚い本の隙間からポトリ、と何かが落ちる。
てか、この本で物理的に人が殺せそうだな。もはや武器じゃん。
俺は落ちた物を床から拾い上げる。
薄いダンボールの箱と、何冊かの冊子。
「これってこの雑誌の付録なのか?」
ダンボールの箱の外装には『可愛すぎる!花嫁にピッタリなブランドトート!』と書かれている。
フリルの付いたピンクのトートバッグらしき物が箱から飛び出しているのが見えた。
「なんだ。アレか?付録とかほしくてこういうの買ってるんだろ?」
最近の付録って限定のブランドコラボとかあって後でプレミアが付いたりするって言うもんな、と概史から聞いた話の受け売りを得意げにしていた俺だったが────────何かがおかしい。
小泉は黙ったままだ。
その、と小泉は蚊の鳴くような小さな声で呟いた。
「……ハァ!?」
その単語を聞いた俺は思わず大声で叫んでしまう。
「挙式!?」
小泉は慌てて俺の口を塞ぐ。
「馬鹿!声が大きい!!」
小泉の顔は耳まで真っ赤になっている。
「……誰かに知られたら困るじゃないか!」
いやいやいや……………
挙式ってなんだよ!?小泉の奴、彼氏とか居た訳か!?
いや、彼氏じゃ無くね!?新郎だよな!?
「え、待って。センセェ、マジなん───────」
何故だかよく分からないが、俺は滅茶苦茶ショックを受けていた。
なんで小泉は今までそのことを俺に教えてくれなかったんだろう。
彼氏が居るとか知ってたらこんな無茶で意味不明な呪いだとかに付き合わせたりしなかったのに。
てかさ、小泉が結婚しちまったら────────もう処女じゃ無くなる訳じゃん?
え、じゃあ巫女の仕事も引退すんのか?
それってさ、やっぱどの道、俺は一人で呪いに向き合わなきゃなんねぇってっこと?
そこまで考えた俺は途端にとてつもない不安に襲われた。
親のいない俺は────────佑ニーサンと小泉を親代わりみたいに思い込んでいた節があるかもしれない。それは認める。
いや。
俺のせいで小泉はそのポジションに居ざるを得なかったって面もある気がする。
でも、それって本来は駄目なんだよな。
だって小泉だって一人の女なんだし。
普通に結婚して幸せな人生を歩む権利があるんだ。
俺のお守(も)りみたいな事をさせてちゃいけないんだよな。
祝福してやらなきゃいけない。
だけど。
何故か俺は───────小泉になんと声を掛けていいか分からず黙り込んでしまった。
「……」
俺が何も言えないでいると、顔を真っ赤にした小泉がブンブンと首を振った。
「おい!?佐藤!?お前何か勘違いしてないか!?」
小泉の次の言葉を聞いた俺は再び叫んでしまう。
「──────はぁ!?模擬挙式!???」
なんだこれ。
ゼク◯ィって書いてあるが───────────
「なんだよセンセェ。作画資料か?」
センセェ、意外にまともに作業とかしてんだな、と俺が言うと小泉は無言でそれを引ったくった。
「……か……勝手にアレコレ触るんじゃない!」
鈍器のように重く分厚い本の隙間からポトリ、と何かが落ちる。
てか、この本で物理的に人が殺せそうだな。もはや武器じゃん。
俺は落ちた物を床から拾い上げる。
薄いダンボールの箱と、何冊かの冊子。
「これってこの雑誌の付録なのか?」
ダンボールの箱の外装には『可愛すぎる!花嫁にピッタリなブランドトート!』と書かれている。
フリルの付いたピンクのトートバッグらしき物が箱から飛び出しているのが見えた。
「なんだ。アレか?付録とかほしくてこういうの買ってるんだろ?」
最近の付録って限定のブランドコラボとかあって後でプレミアが付いたりするって言うもんな、と概史から聞いた話の受け売りを得意げにしていた俺だったが────────何かがおかしい。
小泉は黙ったままだ。
その、と小泉は蚊の鳴くような小さな声で呟いた。
「……ハァ!?」
その単語を聞いた俺は思わず大声で叫んでしまう。
「挙式!?」
小泉は慌てて俺の口を塞ぐ。
「馬鹿!声が大きい!!」
小泉の顔は耳まで真っ赤になっている。
「……誰かに知られたら困るじゃないか!」
いやいやいや……………
挙式ってなんだよ!?小泉の奴、彼氏とか居た訳か!?
いや、彼氏じゃ無くね!?新郎だよな!?
「え、待って。センセェ、マジなん───────」
何故だかよく分からないが、俺は滅茶苦茶ショックを受けていた。
なんで小泉は今までそのことを俺に教えてくれなかったんだろう。
彼氏が居るとか知ってたらこんな無茶で意味不明な呪いだとかに付き合わせたりしなかったのに。
てかさ、小泉が結婚しちまったら────────もう処女じゃ無くなる訳じゃん?
え、じゃあ巫女の仕事も引退すんのか?
それってさ、やっぱどの道、俺は一人で呪いに向き合わなきゃなんねぇってっこと?
そこまで考えた俺は途端にとてつもない不安に襲われた。
親のいない俺は────────佑ニーサンと小泉を親代わりみたいに思い込んでいた節があるかもしれない。それは認める。
いや。
俺のせいで小泉はそのポジションに居ざるを得なかったって面もある気がする。
でも、それって本来は駄目なんだよな。
だって小泉だって一人の女なんだし。
普通に結婚して幸せな人生を歩む権利があるんだ。
俺のお守(も)りみたいな事をさせてちゃいけないんだよな。
祝福してやらなきゃいけない。
だけど。
何故か俺は───────小泉になんと声を掛けていいか分からず黙り込んでしまった。
「……」
俺が何も言えないでいると、顔を真っ赤にした小泉がブンブンと首を振った。
「おい!?佐藤!?お前何か勘違いしてないか!?」
小泉の次の言葉を聞いた俺は再び叫んでしまう。
「──────はぁ!?模擬挙式!???」
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