775 / 1,060
ep8
ep8『我が逃走』 Not Gonna Get Us その⑧
しおりを挟む
肩で大きく呼吸をしながら脱力した様子の少年は素早くその身体の先端を引き抜く。
「……っ!」
放心した詐欺師は壁に寄りかかったままその場を動くことが出来ずにいた。
「……結構出たな」
独り言のように呟きながらゴムの端を結んで地面に放り投げた少年を詐欺師が詰る。
「……く……この変態……頭おかしいんじゃない!?」
最っ低、と詐欺師は乱れた呼吸のまま少年に向かって悪態をついた。
「……まあ……そうカリカリすんなって」
もうすぐベーコンみてぇにカリカリになんのは俺らの方なんだしさ、と少年は乱れた着衣を整えながらポケットからウェットティッシュを出す。
「……うわ。なんかベッタベタだな」
やっぱローション2袋は多かったか、と呟きながら少年は自身の身体の先端をざっくりと拭く。
「ほら。アンタも使いなよ。血が出てるしベタベタしてるだろ?」
少年は詐欺師にウェットティッシュを手渡す。
「……は?」
呆然としながら詐欺師はそれを受け取った。
「……てか僕、目が見えなくなって間がないし?見えないからよくわかんないよ」
結構血、出てんだろ?と詐欺師は恨めしそうな表情で少年の方を向いた。
「……ついでだから俺が拭いといてやるよ。死ぬ前に身なりはキチンと整えたいもんだろ?心情的にさ」
少年はそう言いながらウェットティッシュを詐欺師の局部にそっと押し当てる。
「……っ!痛いな?!もうちょっと丁寧に扱ってくれる?」
この変態、と詐欺師は更に悪態をついた。
「はいはい。わーったよ」
俺が悪かったし、と言いながら少年は詐欺師の出血した部分をそろりと拭く。
「あー。結構、血ィ出ちゃってるじゃん?てか、やっぱ初めて?」
ウェットティッシュに深い血の色がじんわりと広がっていた。
少年が何気なくそう口にすると詐欺師は脱力したようにため息をつく。
「……知ってるくせに。僕の過去、全部見たんだろ?」
まあな、と少年は返事をしながらずり下がった詐欺師のボクサーパンツを上に引き上げた。
「ほら、ベルトも」
少年は幼子の世話をするかのように詐欺師にズボンをきちんと履かせ、ベルトの金具を締めている。
「まあ、俺も初めてだったし。見ての通り童貞だぜ?」
その言葉に対し、詐欺師は呆れたようにこう返す。
「てか、もう童貞じゃなくない?さっき捨てたでしょ?」
少年は詐欺師のワイシャツのボタンを留め、ネクタイを締め直すとこう答えた。
「ま、お互いこれから死ぬんだしさ。ちゃんとしときたいじゃん?」
さも当然のように言ってのける少年に対し──────詐欺師は心底わからないと言った風に問いかけた。
「君、本当になんなの?本気で死ぬつもり?だからさっき無理矢理、童貞を捨てたの?」
まあな、と少年は適当に答えながらポケットから煙草の箱を取り出した。
「ちょっと一服、吸っていいか?最後くらいいいだろ?」
詐欺師の返事を待たず、少年は煙草に火を着けた。
「君、気は確かなの?こんな状況で?」
そう言いながら眉をひそめる詐欺師に対し、少年はこう言ってのける。
「……狂わなきゃ正気を保てない。アンタもそうだったんだろ?」
一本吸うか?と少年は詐欺師に煙草の箱を差し出した。
「……」
沈黙の後、詐欺師は小さく頷いた。
震える手が少年の手に重なる。
「─────────そうだな。じゃあ、一本貰おうか」
咥えた煙草に火を着けて貰った詐欺師は大きく息を吸い込んだ。
「……」
沈黙がその場を支配する。
遠くで花火のように何かが燃えて爆発する音とサイレンが響いていた。
二人はお互い無言のまま煙草をふかしている。
沈黙したまま、詐欺師は静かに一筋の涙を膝に落とした。
「君の言う通り─────────最初から狂ってたのは僕の方だったのか」
「……っ!」
放心した詐欺師は壁に寄りかかったままその場を動くことが出来ずにいた。
「……結構出たな」
独り言のように呟きながらゴムの端を結んで地面に放り投げた少年を詐欺師が詰る。
「……く……この変態……頭おかしいんじゃない!?」
最っ低、と詐欺師は乱れた呼吸のまま少年に向かって悪態をついた。
「……まあ……そうカリカリすんなって」
もうすぐベーコンみてぇにカリカリになんのは俺らの方なんだしさ、と少年は乱れた着衣を整えながらポケットからウェットティッシュを出す。
「……うわ。なんかベッタベタだな」
やっぱローション2袋は多かったか、と呟きながら少年は自身の身体の先端をざっくりと拭く。
「ほら。アンタも使いなよ。血が出てるしベタベタしてるだろ?」
少年は詐欺師にウェットティッシュを手渡す。
「……は?」
呆然としながら詐欺師はそれを受け取った。
「……てか僕、目が見えなくなって間がないし?見えないからよくわかんないよ」
結構血、出てんだろ?と詐欺師は恨めしそうな表情で少年の方を向いた。
「……ついでだから俺が拭いといてやるよ。死ぬ前に身なりはキチンと整えたいもんだろ?心情的にさ」
少年はそう言いながらウェットティッシュを詐欺師の局部にそっと押し当てる。
「……っ!痛いな?!もうちょっと丁寧に扱ってくれる?」
この変態、と詐欺師は更に悪態をついた。
「はいはい。わーったよ」
俺が悪かったし、と言いながら少年は詐欺師の出血した部分をそろりと拭く。
「あー。結構、血ィ出ちゃってるじゃん?てか、やっぱ初めて?」
ウェットティッシュに深い血の色がじんわりと広がっていた。
少年が何気なくそう口にすると詐欺師は脱力したようにため息をつく。
「……知ってるくせに。僕の過去、全部見たんだろ?」
まあな、と少年は返事をしながらずり下がった詐欺師のボクサーパンツを上に引き上げた。
「ほら、ベルトも」
少年は幼子の世話をするかのように詐欺師にズボンをきちんと履かせ、ベルトの金具を締めている。
「まあ、俺も初めてだったし。見ての通り童貞だぜ?」
その言葉に対し、詐欺師は呆れたようにこう返す。
「てか、もう童貞じゃなくない?さっき捨てたでしょ?」
少年は詐欺師のワイシャツのボタンを留め、ネクタイを締め直すとこう答えた。
「ま、お互いこれから死ぬんだしさ。ちゃんとしときたいじゃん?」
さも当然のように言ってのける少年に対し──────詐欺師は心底わからないと言った風に問いかけた。
「君、本当になんなの?本気で死ぬつもり?だからさっき無理矢理、童貞を捨てたの?」
まあな、と少年は適当に答えながらポケットから煙草の箱を取り出した。
「ちょっと一服、吸っていいか?最後くらいいいだろ?」
詐欺師の返事を待たず、少年は煙草に火を着けた。
「君、気は確かなの?こんな状況で?」
そう言いながら眉をひそめる詐欺師に対し、少年はこう言ってのける。
「……狂わなきゃ正気を保てない。アンタもそうだったんだろ?」
一本吸うか?と少年は詐欺師に煙草の箱を差し出した。
「……」
沈黙の後、詐欺師は小さく頷いた。
震える手が少年の手に重なる。
「─────────そうだな。じゃあ、一本貰おうか」
咥えた煙草に火を着けて貰った詐欺師は大きく息を吸い込んだ。
「……」
沈黙がその場を支配する。
遠くで花火のように何かが燃えて爆発する音とサイレンが響いていた。
二人はお互い無言のまま煙草をふかしている。
沈黙したまま、詐欺師は静かに一筋の涙を膝に落とした。
「君の言う通り─────────最初から狂ってたのは僕の方だったのか」
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
愛娘(JS5)とのエッチな習慣に俺の我慢は限界
レディX
恋愛
娘の美奈は(JS5)本当に可愛い。そしてファザコンだと思う。
毎朝毎晩のトイレに一緒に入り、
お風呂の後には乾燥肌の娘の体に保湿クリームを塗ってあげる。特にお尻とお股には念入りに。ここ最近はバックからお尻の肉を鷲掴みにしてお尻の穴もオマンコの穴もオシッコ穴も丸見えにして閉じたり開いたり。
そうしてたらお股からクチュクチュ水音がするようになってきた。
お風呂上がりのいい匂いと共にさっきしたばかりのオシッコの匂い、そこに別の濃厚な匂いが漂うようになってきている。
でも俺は娘にイタズラしまくってるくせに最後の一線だけは超えない事を自分に誓っていた。
でも大丈夫かなぁ。頑張れ、俺の理性。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
お尻たたき収容所レポート
鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。
「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。
ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる