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ep8
ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 祝祭の結末
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意味がわからない。
は?
世界?炎?
ゲームやアニメに出てくるラスボスみてぇなセリフじゃねぇか。
「なんでそんなイカレた奴らにアンタが付き合う必要があんだよ?頭おかしいだろ、どう考えても」
俺がそう言い放つと一條はポカンとした様子で動きを止めた。
「はは……。なんか、面白いね。君って。ハッキリ言ってくれるじゃないか」
当たり前じゃねぇか、と言いながら俺は一條の腕を引っ張った。
「とにかくさ、こっから出ようぜ一條。火の手が上がって来んのも時間の問題だし」
俺は手すりから身を乗り出し、校舎の壁に取り付けられた雨どいの排水パイプを確認する。
「ほら、壁にくっついてるこのパイプ伝いに地面に降りてったらどうにかなるんじゃね?」
途中で落っこちたとしてもせいぜい骨折か捻挫で済むだろ、と俺は一條に提案する。
「ワンチャンどうにか助かりそうじゃん。ほら、早くしねぇと──────────」
一條は俺の腕を振り払い、首を振った。
「君だけで行きなよ。僕はいいんだ。このままで」
「は!?何言ってんだよ!?このままだとガチで焼け死ぬだろうが!?」
俺がそう怒鳴るように言うと一條はまた笑った。
「さあ、急いで。言ったよね?逃げたところで僕はもう助からないんだ。免罪酒を飲んだのは一昨日だから───────どの道もう間に合わないんだよ。死ぬのは避けられないんだから」
それから一呼吸置き、一條はこう続けた。
「君はおかしな人だね。君みたいな人にもっと早く出会えてたら─────────僕はこんな結末を迎えてなかったかもしれない」
何を言ってるんだ。
「おい、一條……」
俺がそう言いかけた瞬間だった。
視界がぐらりと歪む。
「────────!?」
呼吸が出来ない。
頭が割れるように痛くなる。
遠くで誰かの声が聞こえる。
目を開けることが出来ない。
立っていることすら出来ず、俺は膝をついた。
大きな耳鳴りがする。
五感が全て遮断される。
そのままそこで────────────意識が途切れた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「─────────おい!?おい佐藤!」
しっかりしろ!?という怒号が耳元に響いた。
「……え?」
俺はゆっくりと目を開ける。
ここはどこだろう。
俺はいつのまにか眠っていた?
布団に横たわったままで俺は思考を巡らせる。
「─────佐藤!?気が付いたか!?」
俺の横に座っていたのは小泉だった。
「……センセェ?」
なんで小泉がここに居るんだ?
「俺は……助かったのか?」
そうだ、一條は?と俺が尋ねると小泉は黙ったまま首を振った。
「──────は!?」
俺は急いで飛び起きる。
「火事は!?学校はどうなったんだよ!?」
俺の身体が震えているのがわかった。
「体育館の屋根の上におかしな連中が居ただろ!?俺らのことを配信してて───────」
何が何だかわからない。
こんなの大規模な放火殺人じゃねぇか。
おまけに自殺の実況配信だとか凶悪犯罪にも程がある。
「警察は来たのか!?消防は!?救急はどうなんだよ!?」
そもそも一條はどこに行ったんだよ!?助かったんだろ!?と俺が叫ぶように尋ねると小泉は困ったようにこう切り出した。
「その、佐藤。落ち着いて聞いて欲しいんだが────────」
は?
世界?炎?
ゲームやアニメに出てくるラスボスみてぇなセリフじゃねぇか。
「なんでそんなイカレた奴らにアンタが付き合う必要があんだよ?頭おかしいだろ、どう考えても」
俺がそう言い放つと一條はポカンとした様子で動きを止めた。
「はは……。なんか、面白いね。君って。ハッキリ言ってくれるじゃないか」
当たり前じゃねぇか、と言いながら俺は一條の腕を引っ張った。
「とにかくさ、こっから出ようぜ一條。火の手が上がって来んのも時間の問題だし」
俺は手すりから身を乗り出し、校舎の壁に取り付けられた雨どいの排水パイプを確認する。
「ほら、壁にくっついてるこのパイプ伝いに地面に降りてったらどうにかなるんじゃね?」
途中で落っこちたとしてもせいぜい骨折か捻挫で済むだろ、と俺は一條に提案する。
「ワンチャンどうにか助かりそうじゃん。ほら、早くしねぇと──────────」
一條は俺の腕を振り払い、首を振った。
「君だけで行きなよ。僕はいいんだ。このままで」
「は!?何言ってんだよ!?このままだとガチで焼け死ぬだろうが!?」
俺がそう怒鳴るように言うと一條はまた笑った。
「さあ、急いで。言ったよね?逃げたところで僕はもう助からないんだ。免罪酒を飲んだのは一昨日だから───────どの道もう間に合わないんだよ。死ぬのは避けられないんだから」
それから一呼吸置き、一條はこう続けた。
「君はおかしな人だね。君みたいな人にもっと早く出会えてたら─────────僕はこんな結末を迎えてなかったかもしれない」
何を言ってるんだ。
「おい、一條……」
俺がそう言いかけた瞬間だった。
視界がぐらりと歪む。
「────────!?」
呼吸が出来ない。
頭が割れるように痛くなる。
遠くで誰かの声が聞こえる。
目を開けることが出来ない。
立っていることすら出来ず、俺は膝をついた。
大きな耳鳴りがする。
五感が全て遮断される。
そのままそこで────────────意識が途切れた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「─────────おい!?おい佐藤!」
しっかりしろ!?という怒号が耳元に響いた。
「……え?」
俺はゆっくりと目を開ける。
ここはどこだろう。
俺はいつのまにか眠っていた?
布団に横たわったままで俺は思考を巡らせる。
「─────佐藤!?気が付いたか!?」
俺の横に座っていたのは小泉だった。
「……センセェ?」
なんで小泉がここに居るんだ?
「俺は……助かったのか?」
そうだ、一條は?と俺が尋ねると小泉は黙ったまま首を振った。
「──────は!?」
俺は急いで飛び起きる。
「火事は!?学校はどうなったんだよ!?」
俺の身体が震えているのがわかった。
「体育館の屋根の上におかしな連中が居ただろ!?俺らのことを配信してて───────」
何が何だかわからない。
こんなの大規模な放火殺人じゃねぇか。
おまけに自殺の実況配信だとか凶悪犯罪にも程がある。
「警察は来たのか!?消防は!?救急はどうなんだよ!?」
そもそも一條はどこに行ったんだよ!?助かったんだろ!?と俺が叫ぶように尋ねると小泉は困ったようにこう切り出した。
「その、佐藤。落ち着いて聞いて欲しいんだが────────」
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