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ep8
ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 少女達を絡め取る罠
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「……願い事って?」
俺がそう尋ねると上野は口籠もった。
「それは……」
ちょっと言えないんだけど、と躊躇いがちに答える上野を見て、なんだか俺は胸が苦しくなった。
どうしてだろう、なんか上野が可哀想な存在に思えてしまったんだよな。
そんな風に思うこと自体、あんま良くないんだろうけど───────とにかく憔悴しきった上野が気の毒に思えてしょうがなかったんだ。
まあ、俺が上野に指を突っ込んで掻き回しちまったって負い目もあるんだけどさ────────────
「まあ、無理に聞き出そうとか思ってねぇから安心しろよ」
話せる範囲でいいし……嫌だったら言わなくていいから、と俺が告げると上野はまた涙をポロポロとこぼした。
「……あーし……凄く悩んでる事とかあって……それで────────」
SNSでたまたま見かけた[カウンセリング]っての受けてみようと思って、と上野は絞り出すように言葉を発した。
「カウンセリング?」
俺が聞き返すと上野は泣きながら頷く。
「……そう。占いとかじゃなくて[カウンセリング]って書いてあったから……ちゃんとした資格を持った信頼できる専門家だって思ったから─────」
なるほど、[カウンセリング]か。
そういや佐々木が見せてくれた一條のSNSアカウントにはそんな文言が並べられていたっけ。
[スピリチュアルカウンセリング]って触れ込みだったな、と俺はぼんやりと思い出した。
占いだとか開運だとかのキーワードだと非科学的な印象だが──────確かに[カウンセリング]って言われたらちゃんとした専門家って思っちまうよな。
「あーし……家の都合でどうしても病院とかクリニックとかには行けないんだけど……[カウンセリング]ならいいと思って───────」
初回500円って書いてあったし、保険証とか無くてもいいってのも助かるって思ったの、と言う上野の言葉に俺は思わず感心してしまう。
初回500円か。
なるほど、考えたな。
これだと女子中学生の小遣いでも払える金額だ。
最初は出来るだけ敷居を低くして顧客を呼び込もうって戦略だったんだな。
「それから……何回か通って刻夜っちに話とかいっぱい聞いて貰って──────マッサージとかも勧められるようになって……」
「その流れであの宝石を身体に入れたのか?」
俺が訊くと上野は首を振った。
「あーし……最初はそこまでやるつもりは無かったの……話を聞いてくれるだけでも十分安心できたし──────」
刻夜っちだけだったの、なんでも秘密を打ち明けられるのって、という上野の言葉に俺の心はさらにズキリとした。
コレって本来はさ、学校の保健の先生とかスクールカウンセラーとかの仕事じゃねぇのか?
ネットで知り合った得体の知れない大人にしか悩み相談が出来ねぇ状況ってのが一番マズいだろうが。
そこまで考えて俺はふとBMGの活動を思い出した。
こうなる前に上野がBMGの活動を知っていたら──────────
上野や佐々木の後輩、その他沢山の女子達も被害に遭ったりしなかったんじゃねぇのか?
養護教諭不在というこの学校の現状。
それに。
教頭によるBMGの活動への批判的な姿勢。
世の中の……いや、社会全体って言っていいんだろうか。
いろんなモンの皺寄せが立場の弱い子どもに来ちまってるんじゃないのか?
そう思った俺は上野の肩にそっと手を置いた。
「お前はなんも悪くねぇって。だからさ、ホントにもう泣くなよ─────────」
俺がそう言うと上野は肩を震わせた。
「……なんで佐藤っちはこんなに優しいの────────」
こんなだったらもっと早くに佐藤っちに相談すれば良かった、と泣く上野を俺はなんとか宥めようと必死になった。
俺がそう尋ねると上野は口籠もった。
「それは……」
ちょっと言えないんだけど、と躊躇いがちに答える上野を見て、なんだか俺は胸が苦しくなった。
どうしてだろう、なんか上野が可哀想な存在に思えてしまったんだよな。
そんな風に思うこと自体、あんま良くないんだろうけど───────とにかく憔悴しきった上野が気の毒に思えてしょうがなかったんだ。
まあ、俺が上野に指を突っ込んで掻き回しちまったって負い目もあるんだけどさ────────────
「まあ、無理に聞き出そうとか思ってねぇから安心しろよ」
話せる範囲でいいし……嫌だったら言わなくていいから、と俺が告げると上野はまた涙をポロポロとこぼした。
「……あーし……凄く悩んでる事とかあって……それで────────」
SNSでたまたま見かけた[カウンセリング]っての受けてみようと思って、と上野は絞り出すように言葉を発した。
「カウンセリング?」
俺が聞き返すと上野は泣きながら頷く。
「……そう。占いとかじゃなくて[カウンセリング]って書いてあったから……ちゃんとした資格を持った信頼できる専門家だって思ったから─────」
なるほど、[カウンセリング]か。
そういや佐々木が見せてくれた一條のSNSアカウントにはそんな文言が並べられていたっけ。
[スピリチュアルカウンセリング]って触れ込みだったな、と俺はぼんやりと思い出した。
占いだとか開運だとかのキーワードだと非科学的な印象だが──────確かに[カウンセリング]って言われたらちゃんとした専門家って思っちまうよな。
「あーし……家の都合でどうしても病院とかクリニックとかには行けないんだけど……[カウンセリング]ならいいと思って───────」
初回500円って書いてあったし、保険証とか無くてもいいってのも助かるって思ったの、と言う上野の言葉に俺は思わず感心してしまう。
初回500円か。
なるほど、考えたな。
これだと女子中学生の小遣いでも払える金額だ。
最初は出来るだけ敷居を低くして顧客を呼び込もうって戦略だったんだな。
「それから……何回か通って刻夜っちに話とかいっぱい聞いて貰って──────マッサージとかも勧められるようになって……」
「その流れであの宝石を身体に入れたのか?」
俺が訊くと上野は首を振った。
「あーし……最初はそこまでやるつもりは無かったの……話を聞いてくれるだけでも十分安心できたし──────」
刻夜っちだけだったの、なんでも秘密を打ち明けられるのって、という上野の言葉に俺の心はさらにズキリとした。
コレって本来はさ、学校の保健の先生とかスクールカウンセラーとかの仕事じゃねぇのか?
ネットで知り合った得体の知れない大人にしか悩み相談が出来ねぇ状況ってのが一番マズいだろうが。
そこまで考えて俺はふとBMGの活動を思い出した。
こうなる前に上野がBMGの活動を知っていたら──────────
上野や佐々木の後輩、その他沢山の女子達も被害に遭ったりしなかったんじゃねぇのか?
養護教諭不在というこの学校の現状。
それに。
教頭によるBMGの活動への批判的な姿勢。
世の中の……いや、社会全体って言っていいんだろうか。
いろんなモンの皺寄せが立場の弱い子どもに来ちまってるんじゃないのか?
そう思った俺は上野の肩にそっと手を置いた。
「お前はなんも悪くねぇって。だからさ、ホントにもう泣くなよ─────────」
俺がそう言うと上野は肩を震わせた。
「……なんで佐藤っちはこんなに優しいの────────」
こんなだったらもっと早くに佐藤っちに相談すれば良かった、と泣く上野を俺はなんとか宥めようと必死になった。
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