[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない！〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる！？

ep8

ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 最悪の生殺し

翌日。

昼休憩に少し話したい、と上野に呼び出された俺は体育館裏に向かった。

俺より早く着いていたと思われる上野は俺の顔を見るなりキョドりはじめる。

「……あ！佐藤っち……あのっ……！えっと……！」

おいおいおい、自分で呼び出しといて何だって言うんだ？

困惑していると上野はややパニクりながら俺にこう切り出した。

「……き……昨日の事なんだけど…！！」

「うん？」

俺が顔を見ると上野は視線を逸らした。

「……そ、その……助けてくれて……どうも……ありがとうって言うか────────」

「なんだよ、わざわざ礼とか─────そんなん気にしなくていいし」

俺としても乗り掛かった船って感じだったし、そもそも貴重なサンプルを入手出来たのはまあ悪いことではなかっただろうしさ。

俺がそう答えると上野はますます混乱した様子を見せた。

「えっ……あの、そうじゃなくて……えっとさ……その……」

「は？」

上野が何を言おうとしているのか判らず、反射的に俺は聞き返す。

「……だからえっと……昨日のことは……絶対誰にも言わないで欲しいんだけど───────」

頬を紅潮させた上野はやや涙目になっている。

いや、まあこういうのって守秘義務とかあるだろうしな。

「馬鹿かよ。絶対に言うはずねぇだろうが」

それとも何か？俺が周りに言い触らすとかって思ってた訳かよ？と俺が訊くと上野はブンブンと首を横に振った。

「……違うの！そうじゃなくて─────────」

上野は俺の学ランの袖をギュッと握っている。

「……っ……その……佐々木っちにも……絶対に言わないで……」

いつもとは違う上野の様子に俺も戸惑う。

「え？いや、まあそりゃ言わないつもりだけど──────」

俺からは言ったり喋ったりはしてないわな。ただ、やりとりや会話が全部向こうに筒抜けだっただけでさ。

それにしても。

仲のいいはずの佐々木にすら絶対に知られたくないってのはどういう事情だろう。

やっぱりあれか？

色恋営業ってやつが絡んでるんだろうか。

俺の困惑を察したからか、上野が口を開く。

「……佐藤っちは───────やっぱ、あーしが刻夜っちのこと好きであんなことしたと思ってる？」

俺の思考を見透かしたかのような単刀直入な質問。

違うのか？という言葉が喉から出かかったのを直前で飲み込む。

どういう意味だろうか。

上野の質問の意図が掴めず、俺は言葉を失う。

てかさ、そもそもよく考えたらなんかおかしいよな。

俺って上野のとんでもないトコに指突っ込んでんだよな？

それどころか掻き回すような真似までしてるじゃん？

これって実質半分セックスしたようなもんじゃねぇか。

なのに時間も戻ってもねぇし記憶も消えてねぇ。

ワンチャン、最後まで完遂して時間を戻ってた方が結果的にノーダメージだったまである。

あれ？





─────────────もしかしてこれってさ、最悪な選択だったんじゃねぇの？