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ep8
ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 Too Fast To Live Too Young To Die
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家に帰った俺は───────畳の上に転がって暫く天井を眺めていた。
概史に貰ったあれこれはちゃぶ台の上に置いている。
しかし、コンドームってこんなに種類があったんだな。
ローションも携帯型があるなんて知らなかった。
概史の家を出た後、100均でアルミの名刺入れを買ってきたのはいいんだが────────
この中に個包装のローションを入れるにしても、ちょっとポケットの中に入れる物が多すぎるか?
女子みたいにポーチを持ち歩いたりする訳にはいかないし───────
かと言って、カバンの中に入れるっていうのもなんか不便な気もする。
いや、待てよ。
ポケットの中の荷物が減らせないなら、逆にポケットを増やせばいいんだ。
発想の転換てヤツだ。
俺は起き上がるとタンスの中にあるものを探し始めた。
確か、佑ニーサンに短ラン以外の改造学ランも貰ってた気がするんだよな。
なんか、裏地に刺繍がしてあるんだけど大きめの内ポケットが付いてたような───────
タンスの一番奥の学ランを引っ張り出した俺は絶望した。
なんだこれは。
背中や腕、あちこちに奇妙な刺繍が入りまくっている。
なんかアレだな。ドッペルゲンガーが着てた学ランみてぇじゃねぇか。
いくらなんでも流石にこれは、と思った俺はこれを箪笥に押し込んだ。
不意にカチャリ、という音が室内に響く。
「ん?」
何か落とした?
俺は周囲を見渡した。
畳に上に何かがある。
銀色のチェーンが視界に入ってくる。
「……なんだこれ?」
手に取るとそれは────────随分前に佑ニーサンに貰った携帯灰皿だった。
大きめの懐中時計のような銀色の金属製。確か、何かのブランド品だって言ってた気がするけど俺にはよくわからない。
上部のツマミを回すと蓋が開く。
ジャラジャラとしたチェーンが本体と繋がっている。
土星のような小さな飾りがチェーンの端にゆらゆらと揺れている。
前にもらった時、こんな邪魔なの使わんだろと思って箪笥に仕舞い込んでたんだっけ。
なんか佑ニーサンが若い時に買った物だったけど、結局使ってなかったとかで貰った気がする。
確かに携帯灰皿にしては重量がある代物ではあるが───────────
中央に髑髏マークの入った銀色のケースはなかなかにお洒落だしなんかカッコいい。
何度か蓋を開け閉めしているうちに、俺はふとあることに気付く。
これってチェーン付いてるしさ、この中にコンドーム入れてベルトに付けとくのはどうだろ?
学ランのポケットの方はパンパンなんだけどさ、ベルトにチェーン付けてズボンのポケットに入れとくってのはいいんじゃないだろうか?
ポケットから飛び出してもチェーン付いてたら無くさねぇだろうしさ。
それに、外から見たら財布か何かのチェーンみたいに見えるだろ?
俺は立ち上がると早速、ベルトにチェーンを付けてみる。
そのまま先端の銀色のケース部分はポケットに入れる。
隣の部屋に行き、姿見の鏡で全身をチェックした。
うん。違和感はない気がする。
田舎のヤンキー中学生って感じだな。
俺はもう一度、持ち物を整頓し直した。
胸ポケットに生徒手帳とさっき買った名刺入れを入れる。
学ランの右ポケットにスマホ、左ポケットに財布と煙草、ライターを入れる。腕時計は腕に着ける。
ズボンの尻ポケットに携帯用ウェットティッシュ、右ポケットに家の鍵とタオルハンカチ、ズボンの左ポケットにさっきの携帯灰皿のケース部分を入れて─────────
これなら動きやすい気もする。
後は小泉に頼んでさ、例の缶の蓋の内側に貼ってあった謎のお札をもう一枚貰って───────この灰皿のケースの蓋の内側に貼れば完璧じゃね?
概史に貰ったあれこれはちゃぶ台の上に置いている。
しかし、コンドームってこんなに種類があったんだな。
ローションも携帯型があるなんて知らなかった。
概史の家を出た後、100均でアルミの名刺入れを買ってきたのはいいんだが────────
この中に個包装のローションを入れるにしても、ちょっとポケットの中に入れる物が多すぎるか?
女子みたいにポーチを持ち歩いたりする訳にはいかないし───────
かと言って、カバンの中に入れるっていうのもなんか不便な気もする。
いや、待てよ。
ポケットの中の荷物が減らせないなら、逆にポケットを増やせばいいんだ。
発想の転換てヤツだ。
俺は起き上がるとタンスの中にあるものを探し始めた。
確か、佑ニーサンに短ラン以外の改造学ランも貰ってた気がするんだよな。
なんか、裏地に刺繍がしてあるんだけど大きめの内ポケットが付いてたような───────
タンスの一番奥の学ランを引っ張り出した俺は絶望した。
なんだこれは。
背中や腕、あちこちに奇妙な刺繍が入りまくっている。
なんかアレだな。ドッペルゲンガーが着てた学ランみてぇじゃねぇか。
いくらなんでも流石にこれは、と思った俺はこれを箪笥に押し込んだ。
不意にカチャリ、という音が室内に響く。
「ん?」
何か落とした?
俺は周囲を見渡した。
畳に上に何かがある。
銀色のチェーンが視界に入ってくる。
「……なんだこれ?」
手に取るとそれは────────随分前に佑ニーサンに貰った携帯灰皿だった。
大きめの懐中時計のような銀色の金属製。確か、何かのブランド品だって言ってた気がするけど俺にはよくわからない。
上部のツマミを回すと蓋が開く。
ジャラジャラとしたチェーンが本体と繋がっている。
土星のような小さな飾りがチェーンの端にゆらゆらと揺れている。
前にもらった時、こんな邪魔なの使わんだろと思って箪笥に仕舞い込んでたんだっけ。
なんか佑ニーサンが若い時に買った物だったけど、結局使ってなかったとかで貰った気がする。
確かに携帯灰皿にしては重量がある代物ではあるが───────────
中央に髑髏マークの入った銀色のケースはなかなかにお洒落だしなんかカッコいい。
何度か蓋を開け閉めしているうちに、俺はふとあることに気付く。
これってチェーン付いてるしさ、この中にコンドーム入れてベルトに付けとくのはどうだろ?
学ランのポケットの方はパンパンなんだけどさ、ベルトにチェーン付けてズボンのポケットに入れとくってのはいいんじゃないだろうか?
ポケットから飛び出してもチェーン付いてたら無くさねぇだろうしさ。
それに、外から見たら財布か何かのチェーンみたいに見えるだろ?
俺は立ち上がると早速、ベルトにチェーンを付けてみる。
そのまま先端の銀色のケース部分はポケットに入れる。
隣の部屋に行き、姿見の鏡で全身をチェックした。
うん。違和感はない気がする。
田舎のヤンキー中学生って感じだな。
俺はもう一度、持ち物を整頓し直した。
胸ポケットに生徒手帳とさっき買った名刺入れを入れる。
学ランの右ポケットにスマホ、左ポケットに財布と煙草、ライターを入れる。腕時計は腕に着ける。
ズボンの尻ポケットに携帯用ウェットティッシュ、右ポケットに家の鍵とタオルハンカチ、ズボンの左ポケットにさっきの携帯灰皿のケース部分を入れて─────────
これなら動きやすい気もする。
後は小泉に頼んでさ、例の缶の蓋の内側に貼ってあった謎のお札をもう一枚貰って───────この灰皿のケースの蓋の内側に貼れば完璧じゃね?
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