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ep8

ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』  『ここで装備していくかい?』

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「っていうか、最初からこっち出せばよかったっスね。サーセンww」

概史は小さなパッケージを幾つかテーブルの上に置いた。

正方形の小さなそれはコンドームと同じくらいのサイズだった。

「え?これ、ローションなん?」

俺はパッケージを手に取る。

確かに表面には『ローション』って普通に書いてある。

なるほど、化粧品のサンプルみたいに一回づつの使い切りサイズの物があるんだな?

そんなことを考えたこともなかったので目から鱗だった。

「気になるみたいだったら試しに何個か持って行きます?」

概史が4~5個程のパッケージをこちらに手渡してくる。

「おれは多分あんま使わないんで──────よかったら先輩が使ってくださいよ」

確かに、コレを数個持ってれば大概のシチュで対応出来そうではある。

そこまで考えて俺は首を振った。

……何を考えてんだ俺は!?

もう二度とセックスなんかしねぇって決めただろ?

ん?

あれ?

そこまで考えて────────俺はふと何かを思い出しかける。

何だっけ?

夢の中以外で───────最後にセックスしたのっていつだった?

夢と現実。

どっちがどっちだかわからなくなった?

俺の記憶はごちゃごちゃになってるんだろうか?

はっきりと思い出せない。

けど、現実の俺がセックスしようとしなくても───────多分、これから先も呪いは俺に夢を見せてくるんだろう。

だとしたら。

現実の俺がキチンと“準備”を整えておけば────────夢の中でもそれは有効なんじゃないか?

現実世界で準備していたものは、夢の中でも使える。そんな気がした。

「え、貰っていいか?助かるわ」

そう言いながら俺は個包装のローションのパッケージをポケットに入れようとした。

「あ、先輩。そのまま突っ込むんスか?」

ポケットの中がカオスだからちょっと整頓した方が良くないスか?という概史の指摘に俺はビクリとする。

「ほら、鍵とかも入ってるじゃないですか。歩いたりしてるうちにローションの袋に当たって破れてきてもヤバくないすか?」

概史の言葉ももっともだと思った。

確かに、鍵の尖った部分が何度もぶつかれば穴が空くこともありそうだ。

ローションが溢れてポケットの中がベタベタになったら最悪だよな。

「何かに入れた方がいいってことか」

俺がそう言うと概史はこう提案してくる。

「先輩はもうコンドームの缶は持ってますもんね。その中に入れとくか、それとも──────」

100均の名刺入れにコンドーム入れてるって人も居るから、ローションもそういうのに入れたらどうっスかね?という概史のアイデアに思わず俺は膝を打った。

「なるほどな!名刺入れか!確かにピッタリ入りそうだし、傷とかも付かねぇな!」

概史はうんうんと頷く。

「ゴムもそうですけど、財布とかに入れとくと破れ易いし危ないって言いますもんね。ちゃんとケースに入れとかないと」

「マジかー。なんか、ありがとな。助かったぜ」

最初はビビってたけど、思い切って概史に聞いてみて良かったんじゃないだろうか。

一人では解決できねぇことも、他のやつなら何か知ってる可能性があるもんな。














後で100均に名刺入れを買いに行くとして──────────今回俺はアイテムを手に入れて少しレベルアップした気がした。



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