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ep8
ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 I'm not BOY.
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「てか、コンドームってこんなに種類あんのか!?」
目の前にぶち撒けられた洪水のようなカラフルなパッケージを目の当たりににして俺はビビってしまう。
「────どれがいいんだか全然わからん………」
俺が困惑していると概史はその中の一つを手に取ってみせる。
「じゃあ、コレとかどうっスか?女性に人気のシリーズで」
ピンク色のパッケージには蝶のイラストが描かれている。パッと見はコンドームっぽくは見えない。
「なんか化粧品か何かみたいに見えるなあ?」
俺がそう言うと概史も頷く。
「女性に向けた商品も結構あるんスよ。デザインとか見た目も凝ってますよねぇ。あ、オレも最近はこのシリーズよく使ってるんス」
そう言いながら概史はポケットから何かを取り出した。
「ん?なんだこれ?」
四角い透明な薄いケース。その中には蝶のパッケージのコンドームが入れられている。
「あ、コレ、初代ゲームボーイのソフトのケースなんすよwカセット?って昔は言ってたらしいんすけど」
家にあった奴にコンドーム入れたらジャストサイズだったんでwオレ、コレに入れて持ってるんスよwと概史は笑う。
おいおいおいおい……
よく見ればそれは確かにゲームのソフトを入れるケースで、俺も何度か見かけたことのあるものだった。
ゲームボーイのソフトのケースにコンドーム入れて持ち歩いてる小学生なんて世界中探してもコイツしか居ねぇんじゃねぇのか?なんでその発想になるんだよ?
まあ、レトロゲームマニアでサブカル小僧のコイツらしいと言えばそうなんだが────────
俺の戸惑いをよそに概史は蝶のイラストが付いたものをテーブルの中央に並べていく。
「これとこれと……あとこれもっスね」
蝶のマークのコンドームがズラリと並べられ、そのラインナップの多さにも俺は驚く。
「え?色違いがこんなにあんのか!?」
……どう違うんだ?という俺の問いかけに対し、概史はその一つを俺に手渡してくる。
「例えばコレはジェル増量タイプっス。ローションが無くてもコレならまあいい感じなんじゃないっスかね?」
俺は手渡されたパッケージを見た。いい感じと言われてもピンと来ない。
「……え、じゃあ他のやつは何がどう違うんだ?」
概史はまた別のパッケージを手に取った。
「こっちは温感タイプっスね。温かくなるみたいっスよ?」
「温感!?」
あったかい!?コンドームが?!
「あ、こっちはツブツブタイプです。刺激が欲しい時にいいんじゃないっスかね?」
「ツブツブ!???」
コンドームがツブツブしてんの!?え?なにそれ!???
初めて知る概念に俺は何が何だか分からなくなる。
「こっちは0.03で─────別のシリーズだと0.02、それから0.01もありますよ」
「0.03!?」
視力か!?どういうこと!?
「逆に極厚タイプもあるんで、長期戦の時とかいいんじゃないです?」
「極厚!??」
は?分厚いってこと?それってどうなんの!?
「あ、指に嵌める用のコンドームもなんてのもありますよ」
「え!?指に!??」
指に使うコンドームなんて初めて聞いたんだが!?
使いたいのあったら持ってってお好みで試してみてください、という概史の言葉に俺は更に混乱した。
「……ええ!?なんだよ全然わかんねぇ……」
あまりにも豊富な種類に俺は軽くパニックになる。
温感とかツブツブとか意味わかんな過ぎるだろ。
俺は箱の一つを手に取り、裏面を見た。
“ツブツブの刺激が気持ちいい!!”という文字とともに商品のイメージイラストが添えられている。
ツブツブ?──────────だがそれは、なんだか恐ろしいもののようにも思えた。
なんか紙ヤスリみたいなものを連想してしまう。
「え?これって大丈夫なんかよ?痛くね?」
思わず俺がそうこぼすと概史がそれに反応する。
「うーん?そっちはまあ、初回から使うにはハードルが高すぎっスよねぇ」
あの時の───────夢の中の光景が脳裏をよぎる。
小泉の太腿に流れていた血の赤。
それは夢というにはあまりにも生々し過ぎた。
やっぱ初回ってさ、女は絶対痛いよな……
「なんかさ、最大限に相手が痛くないようにするのだったら───────どれがいいんだ?」
更に俺が踏み込んで聞くと、概史は少し考えてからこう言った。
「そうっスねぇ……ジェルがメチャクチャ増量されてるタイプとかありますけど……」
最初っからローション持ち歩く方向で行くってのもありっスね、と呟きながら概史はまた隣の部屋に移動した。
目の前にぶち撒けられた洪水のようなカラフルなパッケージを目の当たりににして俺はビビってしまう。
「────どれがいいんだか全然わからん………」
俺が困惑していると概史はその中の一つを手に取ってみせる。
「じゃあ、コレとかどうっスか?女性に人気のシリーズで」
ピンク色のパッケージには蝶のイラストが描かれている。パッと見はコンドームっぽくは見えない。
「なんか化粧品か何かみたいに見えるなあ?」
俺がそう言うと概史も頷く。
「女性に向けた商品も結構あるんスよ。デザインとか見た目も凝ってますよねぇ。あ、オレも最近はこのシリーズよく使ってるんス」
そう言いながら概史はポケットから何かを取り出した。
「ん?なんだこれ?」
四角い透明な薄いケース。その中には蝶のパッケージのコンドームが入れられている。
「あ、コレ、初代ゲームボーイのソフトのケースなんすよwカセット?って昔は言ってたらしいんすけど」
家にあった奴にコンドーム入れたらジャストサイズだったんでwオレ、コレに入れて持ってるんスよwと概史は笑う。
おいおいおいおい……
よく見ればそれは確かにゲームのソフトを入れるケースで、俺も何度か見かけたことのあるものだった。
ゲームボーイのソフトのケースにコンドーム入れて持ち歩いてる小学生なんて世界中探してもコイツしか居ねぇんじゃねぇのか?なんでその発想になるんだよ?
まあ、レトロゲームマニアでサブカル小僧のコイツらしいと言えばそうなんだが────────
俺の戸惑いをよそに概史は蝶のイラストが付いたものをテーブルの中央に並べていく。
「これとこれと……あとこれもっスね」
蝶のマークのコンドームがズラリと並べられ、そのラインナップの多さにも俺は驚く。
「え?色違いがこんなにあんのか!?」
……どう違うんだ?という俺の問いかけに対し、概史はその一つを俺に手渡してくる。
「例えばコレはジェル増量タイプっス。ローションが無くてもコレならまあいい感じなんじゃないっスかね?」
俺は手渡されたパッケージを見た。いい感じと言われてもピンと来ない。
「……え、じゃあ他のやつは何がどう違うんだ?」
概史はまた別のパッケージを手に取った。
「こっちは温感タイプっスね。温かくなるみたいっスよ?」
「温感!?」
あったかい!?コンドームが?!
「あ、こっちはツブツブタイプです。刺激が欲しい時にいいんじゃないっスかね?」
「ツブツブ!???」
コンドームがツブツブしてんの!?え?なにそれ!???
初めて知る概念に俺は何が何だか分からなくなる。
「こっちは0.03で─────別のシリーズだと0.02、それから0.01もありますよ」
「0.03!?」
視力か!?どういうこと!?
「逆に極厚タイプもあるんで、長期戦の時とかいいんじゃないです?」
「極厚!??」
は?分厚いってこと?それってどうなんの!?
「あ、指に嵌める用のコンドームもなんてのもありますよ」
「え!?指に!??」
指に使うコンドームなんて初めて聞いたんだが!?
使いたいのあったら持ってってお好みで試してみてください、という概史の言葉に俺は更に混乱した。
「……ええ!?なんだよ全然わかんねぇ……」
あまりにも豊富な種類に俺は軽くパニックになる。
温感とかツブツブとか意味わかんな過ぎるだろ。
俺は箱の一つを手に取り、裏面を見た。
“ツブツブの刺激が気持ちいい!!”という文字とともに商品のイメージイラストが添えられている。
ツブツブ?──────────だがそれは、なんだか恐ろしいもののようにも思えた。
なんか紙ヤスリみたいなものを連想してしまう。
「え?これって大丈夫なんかよ?痛くね?」
思わず俺がそうこぼすと概史がそれに反応する。
「うーん?そっちはまあ、初回から使うにはハードルが高すぎっスよねぇ」
あの時の───────夢の中の光景が脳裏をよぎる。
小泉の太腿に流れていた血の赤。
それは夢というにはあまりにも生々し過ぎた。
やっぱ初回ってさ、女は絶対痛いよな……
「なんかさ、最大限に相手が痛くないようにするのだったら───────どれがいいんだ?」
更に俺が踏み込んで聞くと、概史は少し考えてからこう言った。
「そうっスねぇ……ジェルがメチャクチャ増量されてるタイプとかありますけど……」
最初っからローション持ち歩く方向で行くってのもありっスね、と呟きながら概史はまた隣の部屋に移動した。
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