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ep8
ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 選択と洗濯
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縫い物なんてさ、俺って下手くそ過ぎて指とか刺しまくって怪我ばっかしてたし。
裁縫が得意な奴ならともかくさ、そうしてる間にも血はどんどん出てくんのに『自分で布ナプキンを縫え』ってのは無理難題過ぎやしないか?
小泉も藤川さんも困ってる女子を助けようとしてるだけなのに────────クレーム入れてくる奴は何考えてるんだ!?
「ああ、済まない。ついエキサイトして脱線してしまったな。ええと、何だっけ?」
……大人なら出来ることも中学生には厳しいって話だったな、と小泉は確認するように続けた。
「つまり──────何が言いたかったかと言えば、在宅ワークしてる会社員だとか専業主婦が布ナプキンを使うとしても大して苦にはならんかもしれん」
だが、女子中学生にそれをやれって言うのは……かなり無理難題じゃないのか、と小泉は腕組みをする。
「そうか、家で仕事してる大人だと人の目を気にしないでいいからさ、布ナプキンを使う場合にはそこまでハードルが高くないってことか」
「そうだな。大人が自分の意思で選択と洗濯をして使う分にはいいだろうが─────女子中学生に無理強いするような物じゃないだろう?金も手間も暇も掛かるんだ。『丁寧な暮らし』みたいなものじゃないか」
なるほど。つまり、本来ならある程度金を持ってて時間にも気持ちにも余裕のある大人がやる物なのか。
「さっきの“ヒーリングジュエリー”もそうだ。大人が自分の意思と責任で実行する分には個人の自由だがな、まだ身体が出来上がっていない女子中学生に使わせるのは不適切だ」
布ナプキンとヒーリングジュエリー。
大人と子ども。
自由と不自由。
選択と洗濯。
教祖様と女子中学生。
俺にはどれもよくわからない。
だけど。
なんか良くない事がこの地域で起こってるって事だけは理解できた。
「結局さ、今までの話をまとめると────────カリスマってセラピストが謎の宝石を女子の身体に入れまくってるからどうにかしねぇといけねぇって事で合ってるか?」
団体にそういう相談が来てんだろ?と俺は出来るだけ慎重に小泉の顔を見た。
「まあ、そういう事になるな」
小泉は頭を抱えながら考え込む素振りを見せる。
なかなか厄介な話じゃねぇか。
なにせ『宝石を入れられた女子』ってのは─────────外から見ただけじゃわからないときてる。
だが、と小泉は続けた。
「長い期間、宝石を入れっぱなしにしておくと……炎症を起こしたり出血の恐れがある。自分でメンテ出来ない以上、こういうリスクは付きものなんだ」
は!?
「炎症!?血も出んの!?」
またしても出血か。
女子の身体って大変過ぎね???
「待ってくれ。宝石を入れてて血が出たり炎症が起きるって─────中学生だけか!?大人は平気なのか!?」
いや、と小泉はそれを否定する。
「全く大丈夫という訳では無さそうだ。大人でも出血したり炎症を起こしたりといった事例は報告されている」
「は!?大人でもダメじゃね!?大丈夫じゃなくね!?」
俺がビビり散らしながらそう言うと、小泉は少し唸る。
「うむ……まあ、大人の場合は自分の判断で使用を中止することも出来れば一人で病院に行くことも出来るからな。こう言っては何だがこれは各個人の自由であり、自己責任でもある」
だが今回の女子中学生の場合は少し事情が違うだろう、と小泉は再び頭を抱えた。
「判断能力の低い未成年相手に一方的に施術めいた性行為を行なっている。保護者の同意も勿論無い。法的に限りなくアウトに近いんだ」
は!?
「え!?じゃあ警察に言えば良くね!?逮捕しろよそんなヤベー奴はよ!?」
俺がやや強くそう言うと小泉は首を振った。
「そう単純な問題でもないかもしれないんだ─────────事態が公になれば傷付く事になる女子も出てくるかもしれない」
裁縫が得意な奴ならともかくさ、そうしてる間にも血はどんどん出てくんのに『自分で布ナプキンを縫え』ってのは無理難題過ぎやしないか?
小泉も藤川さんも困ってる女子を助けようとしてるだけなのに────────クレーム入れてくる奴は何考えてるんだ!?
「ああ、済まない。ついエキサイトして脱線してしまったな。ええと、何だっけ?」
……大人なら出来ることも中学生には厳しいって話だったな、と小泉は確認するように続けた。
「つまり──────何が言いたかったかと言えば、在宅ワークしてる会社員だとか専業主婦が布ナプキンを使うとしても大して苦にはならんかもしれん」
だが、女子中学生にそれをやれって言うのは……かなり無理難題じゃないのか、と小泉は腕組みをする。
「そうか、家で仕事してる大人だと人の目を気にしないでいいからさ、布ナプキンを使う場合にはそこまでハードルが高くないってことか」
「そうだな。大人が自分の意思で選択と洗濯をして使う分にはいいだろうが─────女子中学生に無理強いするような物じゃないだろう?金も手間も暇も掛かるんだ。『丁寧な暮らし』みたいなものじゃないか」
なるほど。つまり、本来ならある程度金を持ってて時間にも気持ちにも余裕のある大人がやる物なのか。
「さっきの“ヒーリングジュエリー”もそうだ。大人が自分の意思と責任で実行する分には個人の自由だがな、まだ身体が出来上がっていない女子中学生に使わせるのは不適切だ」
布ナプキンとヒーリングジュエリー。
大人と子ども。
自由と不自由。
選択と洗濯。
教祖様と女子中学生。
俺にはどれもよくわからない。
だけど。
なんか良くない事がこの地域で起こってるって事だけは理解できた。
「結局さ、今までの話をまとめると────────カリスマってセラピストが謎の宝石を女子の身体に入れまくってるからどうにかしねぇといけねぇって事で合ってるか?」
団体にそういう相談が来てんだろ?と俺は出来るだけ慎重に小泉の顔を見た。
「まあ、そういう事になるな」
小泉は頭を抱えながら考え込む素振りを見せる。
なかなか厄介な話じゃねぇか。
なにせ『宝石を入れられた女子』ってのは─────────外から見ただけじゃわからないときてる。
だが、と小泉は続けた。
「長い期間、宝石を入れっぱなしにしておくと……炎症を起こしたり出血の恐れがある。自分でメンテ出来ない以上、こういうリスクは付きものなんだ」
は!?
「炎症!?血も出んの!?」
またしても出血か。
女子の身体って大変過ぎね???
「待ってくれ。宝石を入れてて血が出たり炎症が起きるって─────中学生だけか!?大人は平気なのか!?」
いや、と小泉はそれを否定する。
「全く大丈夫という訳では無さそうだ。大人でも出血したり炎症を起こしたりといった事例は報告されている」
「は!?大人でもダメじゃね!?大丈夫じゃなくね!?」
俺がビビり散らしながらそう言うと、小泉は少し唸る。
「うむ……まあ、大人の場合は自分の判断で使用を中止することも出来れば一人で病院に行くことも出来るからな。こう言っては何だがこれは各個人の自由であり、自己責任でもある」
だが今回の女子中学生の場合は少し事情が違うだろう、と小泉は再び頭を抱えた。
「判断能力の低い未成年相手に一方的に施術めいた性行為を行なっている。保護者の同意も勿論無い。法的に限りなくアウトに近いんだ」
は!?
「え!?じゃあ警察に言えば良くね!?逮捕しろよそんなヤベー奴はよ!?」
俺がやや強くそう言うと小泉は首を振った。
「そう単純な問題でもないかもしれないんだ─────────事態が公になれば傷付く事になる女子も出てくるかもしれない」
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