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ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 懺悔室の機能を有する仮想空間

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「……ある産婦人科の前に『未成年者の方は保護者と一緒にお越しください(未成年者だけでの診察は出来ません)』という張り紙が貼られているのを見たことがある」

そう言いながら小泉はため息をつく。

「もし仮に……何か身体に“異常”が起こったとしても───────女子中学生が親に打ち明けて病院に連れて行って貰うのはハードルが高く無いか?」

ましてや、咎められることが予想されるような内容であれば余計に、という小泉の言葉に対し俺は確認するように尋ねた。

「つまり……身体から宝石が出て来なくなったり痛みがあったとしても──────怒られるかもしれないから親に言えないでいるって意味か?」

そうだ、と小泉は心底困ったように項垂れた。

「“BMG”にも何件か相談が寄せられていてな──────いずれのケースも親に言えないでいる子たちばかりだ」

そっか、と言いかけた俺はあることに気付いてハッとする。

「──────待ってくれセンセェ!?こういう相談事ってさ、守秘義務とかあるんじゃねぇの!?」

ベラベラと部外者の俺に喋っていいのかよ!?と驚く俺に対し、小泉が更に吃驚したような表情を浮かべた。

「何言ってんだ?部外者じゃないだろう?佐藤、お前も中学生代表メンバーとしてじゃないか」

もう忘れたのか、と呆れたように首を振る小泉。

「は!?ちょっと待ってくれよ!?俺がメンバー!?」

いつそんな事に……?と呆然する俺の肩を小泉がポンと叩く。

「昨日、藤川が『佐藤くんたら凄いわ!これからも是非団体の活動に参加して意見やアイデアを出してくれないかしら!?』って言ってた時にお前、全力で首を縦に振ってただろう?」

『現役中学生の意見が聞けるのは有難いわ』って藤川が喜んでたんだぞ?と小泉は含みを持たせたような言い回しをする。

そういや昨日、藤川さんになんか言われた時……適当に返事してたかもしれない。

だってあんまりにも藤川さんの顔がキレイでさ───────なんかぼぅっと見とれちまってたんだよな。

「え!?なにそれ!?俺がメンバー!?」

て事はなにか?団体に寄せられた相談事とかってある程度は俺にも情報が降りて来るってこと!?

「俺、団体でなにすんの!?ティッシュ配りとかくらいなら手伝えるだろうけど────────」

どうすんだこれ。

俺がこんな真面目な団体で活動なんか出来んのか?そりゃ、藤川さんといっしょってのは悪い気はしないが─────────

「まあ、そう硬く考える必要はない。ミーティングに参加したりして自由に思ったことを言ってくれていいんだ」

小泉はそう言うと椅子に座り、再びタブレットの画面を開いた。

「もしかしたら──────いずれは電話相談やネットでの相談にお前も参加して貰うこともあるかもしれないな。もっとも、相談者が希望すればの話だが……」

「は!?」





俺がお悩み相談!?え!?相談したいのは俺の方なんだが!???
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