[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep8

ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 BOY MEETS GIRL

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生理用品を─────────?

ふと、水森唯の言葉が脳裏に浮かぶ。

いつか聞いた水森唯の事情。

生理用品を買うことすら出来ず、婆ちゃんの介護用オムツを履こうとしてたとも言ってたっけ─────────

父親から経済DVを受けてて、ナプキンすらだとして買って貰えなかったんだよな。

もっとも、これは時間を戻る前の話で──────今の水森唯は以前より明るくなっている気すらする。

これは推測だが、現在の世界線の水森唯は以前のように困窮してはいないだろう。

だけど。

いつ誰が、以前の水森のように困った状況になるとも限らない。

それはとても必要な活動のように俺には思えた。

「そうなんですか。それは人の助けになるとても善い活動なんですね」

だって無いと困る物ですもんね、と俺が言うと藤川さんは驚いたように目を見開いた。

「……え?佐藤くんはそう思ってくれるの?」

藤川さんのリアクションに対し、逆に俺の方がビックリしてしまう。

「いや……何言ってるんですか。毎月、大量に血が出て大変でしょう?手持ち分が足りなくなることだってあるでしょうし───────」

逆に、いくつあっても困らないですよね。ストックも出来るんだし、と俺が言うと藤川さんは小泉の顔を見る。

「……すごいですね先輩。最近の男子中学生の解像度ってこんなに高いんですか?」

それとも彼女にでも聞いた事があるの?と不意に聞かれた俺は慌てて首を振った。

「え!?いや、彼女とかは居ないっスから!?」

小泉もフォローするかのようにこう付け加える。

「あ、いや。男子中学生全員がこうという訳ではなくてな。コイツは特に無知だったから私が少し説明したりしただけで──────」

なるほど、と藤川さんは相槌を打つ。

「先輩の指導の賜物なんですね。流石です!」

藤川さんはキラキラした眼差しで小泉を見ている。

ん?小泉って藤川さんから見たらそういうポジなのか?

なら、俺もそれに乗っかっといた方がいいんだろうか。たまには小泉の顔も立ててやらねぇとな。

そうなんですよ、と俺はややオーバーに頷いてみせる。

「俺、家に両親が居なくて─────普通は家庭で教わるようなことも何も知らないものだから小泉先生から色々と教えて貰ってるんです」

俺はそれらしい説明をして小泉の株を上げることを試みた。とは言え、これは本当の事だな。

「……そうだったのね」

あ、だったら、と藤川さんは鞄から更に何かを取り出した。

「頼れる小泉先輩が居るから必要は無いかもしれないけど───────何か困ったことや相談事があったらいつでも連絡してね」

藤川さんから手渡されたそれは、ポケットティッシュだった。

街中で配られている物と同じように取り出し口の反対側にチラシのような紙が入っている。

QRコードと電話番号、メールアドレスがそこには記載されていた。

『BMG』と大きく描かれたロゴが大きく目立つ。

「『BMG』……?」

「そう。それが私達の立ち上げた組織よ。まだまだ試行錯誤中なんだけど」

「子ども向けのお悩み相談室って感じなんですか?全部ボランティアで?」

俺がそう尋ねると藤川さんは少し考え込むような素振りを見せた。

「まあ、子どもっていうか──────小学校高学年くらいから高校生くらいまでの子を想定してるわね」

勿論、想定とは違う年齢層の相談者からの相談にも乗るつもりではあるわ、と藤川さんは付け加える。

なるほど。

大学生達が立ち上げたボランティアサークルっていう事でいいんだろうか。

「なるほど、活動の趣旨はわかったんですけど……この『BMG』ってのはどういう意味なんですか?」

何か別の上部組織とかあるんですか、となんとなく聞くと藤川さんは苦笑いしながらこう答えた。

「学生数人でスタートしただけの小さいグループよ。団体名を決めるときに候補をいくつか挙げたんだけど……メンバーのお母さんが提案したネーミングが最終的に採用されちゃって──────」

すかさず小泉がそれに反応する。

「ん?ああ、そうだったな。確か、新庄君のお母さんが好きだったっていう昔の曲から取ったんだったっけ?」

「曲?」

俺が聞き返すと藤川さんはこう言った。






「『BOY MEETS GIRL』────────女子だけじゃなくて、男子にも性の悩みってあるでしょう?だからしっくり来るかなって」





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