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ep7.5

ep7.5『夢千夜』 “PTA vs RTA SEX” 第四夜

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俺はもう一度小泉を見た。

わかってるよな?

時間はねぇんだ。

理科室内の動向がここでは何も判らない以上───────最速で“作業”を済ませる必要がある。

「……なあ?」

俺が念押しするように声を掛けると、小泉は視線を逸らした。

「……な……だからと言ってそんな急に───────」

小泉は声を上擦らせながら呟く。

「四の五の言ってる場合じゃねぇだろ。第一、もしも間に合わなくて田所が死んじまったらどうするんだよ?」

それに、と俺は続けた。

「ウチのクラス内で起こったコトだろ?だったらセンセェにもその責任ってあるんじゃねぇの?」

「………!」

小泉が息を呑んだのが伝わった。

普段から宮田は────────追い詰められていたんじゃないのか?

田所の執拗な“イジり”は最早、イジメにも似たものになっていたんだろう。

俺達は誰もそれに気付かなかったんじゃないのか?

いや。

気付いていたけど敢えてスルーしてたんだ。

田所に対し、誰も嗜めたりしなかったんだ。

宮田を追い詰めたのは俺達も同じなんだ。そうじゃないか?

もしも宮田が殺人犯になってしまったら────────

知らせを聞いた宮田の母親は泣き崩れるだろう。

やや高齢な宮田の母親の顔が脳裏に過り、俺の胸は苦しくなった。

小四の頃。

今では殆ど話すことはないが、あの頃の俺は宮田とよく遊んでいたっけ。

家の建て替えという事で、一時期だけ俺の家の近くのアパートで暮らしてたんだよな。

放課後に遊びに行った時、宮田の母ちゃんが手作りの蒸しケーキを出してくれたのが印象的だった。

宮田とはカードゲームをやったり、DSで遊ばせて貰ったりしたんだよ。

ゲーム機や玩具を何も持ってない俺に、宮田は快くいろんな物を貸してくれたっけ。

あの頃は毎日のように沢山遊んでたけど、マイホームが完成してからはまたそっちに戻って行って───────結局それきりになったんだ。

中学に入ってからも殆ど話す機会とかなくてさ。二年になって同じクラスになってからもあんま話さなかったんだよな。

別に宮田のことが嫌いになったとかじゃないんだ。もし話せるなら前みたいに話しかけたりしたかったけどさ、なんかそういうのが無理っていうか。

俺の方が尻込みしちまってたんだよな。俺が話し掛けたら向こうの迷惑になるんじゃないかとか考えちまってさ。

だけど。

それは間違いだったんだ。

俺はちゃんと宮田に話し掛けるべきだったろうし、田所に苦言を呈したりするなんて無理でも─────“イジり“が始まったらさりげなく割って入ったりする事だって出来た筈なんだ。

これは俺の我儘なのかもしれない。

自分が後悔してるからって、何かを捻じ曲げようだなんて間違っているのかもしれない。

宮田も田所も悪くない、だなんてそんな事を思ってる訳でもないんだ。

きっと俺達全員が、何もかもを間違えてる。







だからこそ──────────俺と小泉には”作業“を実行する義務があるんじゃないのか?



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