[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない！〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる！？

ep7.

ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 集団失神事件の全貌

「……は！？」

俺は慌てて周囲を更に見回した。

しかし、何度見ても祭り会場に居る全員─────────地面に転がっている。

俺は花園リセを御神木の根元に寝かせてから会場内を見て回った。

マコトに諸星キクコのコンビも仲良くダウンしている。

「………！？」

どういうことだ？

概史と撫子も同じく、うつ伏せのまま折り重なるようにして意識を失っていた。

そうだ、小泉はどうなってるんだ！？

「……センセェ！？」

俺は小泉の姿を探した。

何かを手に握ったまま手水舎の横で気を失っている小泉の姿を発見する。

おいおいおい、小泉まで一体、どうしちまったんだ！？

夢野くるみに水森唯のペアもヨーヨー釣りの前で力尽きたように倒れている。

御月と岬のイケメン二人は真っ青な顔色のまま、椅子にもたれ掛かるようにしてピクリともしなかった。

フーミンに至ってはたこ焼き屋のブース内で立ったまま白目を剥いて微動だにしない。てか、怖ぇよ。

「……一体、何がどうなってんだ！？」

俺は注意深く周囲を凝視する。

転がっている人物の側には白い包みも散乱していた。

まさかとは思うが─────────

花園リセのパウンドケーキが原因で全員、ぶっ倒れたのか！？

俺はふと、本殿近くで行き倒れるようにしている佑ニーサンを見た。

手にはストゼロの缶が握られている。

佑ニーサンだけは平常運転で酔い潰れているだけのようだった。

マジか？嘘だろ！？なんだこれ、どうすりゃいいんだ！？

てか、無事なのは俺だけなのか！？

────いや。

そういえば、ドッペルゲンガーとその息子は何処に行った？

地面に倒れてた奴の中には居なかったと思うが……

俺は更に周囲を見渡す。

ドッペルゲンガー親子の姿は見当たらない。

その時だった。

周囲に、不可思議な音が響く。

「……何だ？」

ぼんやりとしたその音は次第にハッキリとした輪郭を浮かび上がらせてくる。

シャン……と響く鈴の音。

その音には聞き覚えがあった。

ふと、気付くと目の前には─────────いつか見たハコニンゲンが立っていた。

「……！？」

一瞬、金縛りにでも遭ったかのように動けなくなる。

箱人間。ハコニンゲン。

男なのか、女なのか。

老人なのか、若いのか。

外側から見ただけでは何もわからない。

その視線は何処を向いているのだろう。

不可解で奇妙な存在。








静かに佇むハコニンゲンの両脇には────────ドッペルゲンガーとその息子が抱えられていた。