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ep7.
ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 今宵限りのメンツ
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かき氷にエナドリをぶっ掛けて食べている小泉は疲労困憊の様子に思えた。
「どしたんだよセンセェ。病んでんじゃん?」
誰のせいだと思ってるんだ、と返事した後、小泉は完全に無言でかき氷を口に運んでいた。
まあ、小泉がここ数日疲れてんのは十割くらい俺とドッペルゲンガーのせいだろうな。
「なあ、かき氷の他になんか食ったのかよ?たこ焼きとか焼きそば、貰って来てやろうか?」
折角の祭りなんだしもっと食っとけって、と俺が口にした瞬間─────祭り会場がどよめき始める。
「……は!?ウソでしょ!?」
諸星キクコが驚いたように声を上げた。
視線のその先には────────夢野くるみと水森唯の二人が立っていた。
「……夢野くるみ!?」
「あのインフルエンサーの!?」
シンジとフーミンが続けて口にする。
「おーい。二人とも!こっちだよー!」
マコトが手を振り、夢野くるみと水森唯に合図を送る。
「……ちょっとマコト!?夢野くるみと知り合いなの!?」
諸星キクコの質問に対し、マコトはなんでもないように言ってのけた。
「いや、全然。二人とも初対面だけど────────」
やや警戒しながら祭り会場の中を歩く二人をマコトが手招きする。
「……あ。初めまして。ボクが雪城マコト。今日は来てくれてありがとう」
マコトは愛想よく笑っている。てか、コイツがこんな表情してんの見るのは初めてなんだが──────────
「最初に話した通り、ボクはガックン─────いや、佐藤君のトモダチだからさ。ホントに怪しい者じゃないって事だけ伝えとくね」
夢野くるみと水森唯はおずおずとした様子で頷く。
「あの……さっき言ってた事って本当なの?」
夢野くるみの問いかけに対し、マコトは頷きながらスマホを差し出した。
「勿論だよ。先輩に話は通してあるし……」
マコトがスマホの画面を操作すると、ビデオ通話の画面に現れたのは────────ステージ衣装を着たアイドルのような姿の女性だった。
きゃああ!!と夢野くるみと水森唯の二人は悲鳴のような歓声を上げた。
「ほ……本物!?ホンモノの“朝倉みやね!???」
夢野くるみと水森唯は今まで見たことのないようなハイテンションで絶叫している。
『はじめましてー♡くるみちゃんと唯ちゃんー♡』
画面の向こうではアイドルのような女性が手をヒラヒラと振っている。
「……誰だよ、朝倉みやねってのは?」
俺が独り言のように呟くと、横に居た小泉が反応する。
「今、一番人気の女性声優でアイドルユニットのセンターでもある。声優デビューの[ちいさなプリンセス アリア]で幼女に戻ったアリア役を演じて大ブレイクしたんだ」
「[ちいさなプリンセス アリア]!?……それって、夢野達が大好きっていうアニメじゃねぇか!?」
ああ、と小泉は頷く。
「[プリアリ]の愛称で親しまれている長期シリーズ物なんだが、今期シーズンのストーリーでは主人公のアリアが敵の魔法で幼女にされてしまってな。キャラデザも一新されて──────恐らくだが今期だけのメインヒロインという位置付けだろう」
なるほど。
長期展開されているシリーズ物の主人公や声優を交代って事態には滅多にならんだろうが……主人公がフォームチェンジするようなイメージなんだろうか?
まあ、作品イメージや世界観を損ねずに新人のアイドル声優を投入するには打って付けの設定なんだろう。
アイドル声優は画面の向こうでニコニコとしている。
夢野くるみと水森唯は失神しそうな勢いでテンションがブチ上がっていた。
「きゃあああ!!みやねる!!!みやねるが目の前に居る!!!!」
いや、目の前っつってもビデオ通話じゃねぇか。
みやねるとか言うのは声優の愛称なんだろうか?
なんにせよ、夢野くるみと水森唯がハイテンションで楽しそうで何よりだ。
ちょっと、と言いながら諸星キクコがマコトを肘でつつく。
「なんでマコトがアイドルの朝倉みやねと繋がってんのよ?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
ボクの学校の先輩だよ?高等部の芸能コースに在学中でさ、と答えたマコトに対し諸星キクコはまたしても素っ頓狂な声を上げる。
「先輩!?芸能コースの!?」
てか、芸能コースとかあったんだ!?と驚いた様子の諸星キクコにマコトはこう答えた。
「うん。あ、こっちの学校でだけ一昨年に新設されたコースなんだけど───────先輩とは部活で意気投合しちゃってさ。あ、先輩は普段はアフレコやレッスンで都会と寮を行ったり来たりしてるから滅多に会えないんだけど」
今回、ボクの友達ってことでビデオ通話のサービスも引き受けてくれてさ、と言いながらマコトは俺の方に向かって手を振った。
「ガックンがどうしてもこの子達をお祭りに誘いたいって言うからさ。ボクが一肌脱いだってワケ」
なるほどねぇ、と諸星キクコは納得したように頷いた。
いや、俺じゃなくてドッペルゲンガーの方が夢野くるみを誘いたいってテイだった筈なんだが────もうどっちでもいいか、そんなことは。
盛り上がる夢野くるみと水森唯。その横でその様子を見つめるマコトと諸星キクコ。
なにはともあれ、夢野くるみが来てくれたのは大きいし──────────普段集まらねぇメンツが集合してるってのがもうスゲェよな。
こういうのって奇跡みたいじゃねぇか。人間ってやる気になったら案外、奇跡って起こせるのかもしれねぇな。
俺はこの祭りの雰囲気と達成感を一人で噛み締めていた。
「どしたんだよセンセェ。病んでんじゃん?」
誰のせいだと思ってるんだ、と返事した後、小泉は完全に無言でかき氷を口に運んでいた。
まあ、小泉がここ数日疲れてんのは十割くらい俺とドッペルゲンガーのせいだろうな。
「なあ、かき氷の他になんか食ったのかよ?たこ焼きとか焼きそば、貰って来てやろうか?」
折角の祭りなんだしもっと食っとけって、と俺が口にした瞬間─────祭り会場がどよめき始める。
「……は!?ウソでしょ!?」
諸星キクコが驚いたように声を上げた。
視線のその先には────────夢野くるみと水森唯の二人が立っていた。
「……夢野くるみ!?」
「あのインフルエンサーの!?」
シンジとフーミンが続けて口にする。
「おーい。二人とも!こっちだよー!」
マコトが手を振り、夢野くるみと水森唯に合図を送る。
「……ちょっとマコト!?夢野くるみと知り合いなの!?」
諸星キクコの質問に対し、マコトはなんでもないように言ってのけた。
「いや、全然。二人とも初対面だけど────────」
やや警戒しながら祭り会場の中を歩く二人をマコトが手招きする。
「……あ。初めまして。ボクが雪城マコト。今日は来てくれてありがとう」
マコトは愛想よく笑っている。てか、コイツがこんな表情してんの見るのは初めてなんだが──────────
「最初に話した通り、ボクはガックン─────いや、佐藤君のトモダチだからさ。ホントに怪しい者じゃないって事だけ伝えとくね」
夢野くるみと水森唯はおずおずとした様子で頷く。
「あの……さっき言ってた事って本当なの?」
夢野くるみの問いかけに対し、マコトは頷きながらスマホを差し出した。
「勿論だよ。先輩に話は通してあるし……」
マコトがスマホの画面を操作すると、ビデオ通話の画面に現れたのは────────ステージ衣装を着たアイドルのような姿の女性だった。
きゃああ!!と夢野くるみと水森唯の二人は悲鳴のような歓声を上げた。
「ほ……本物!?ホンモノの“朝倉みやね!???」
夢野くるみと水森唯は今まで見たことのないようなハイテンションで絶叫している。
『はじめましてー♡くるみちゃんと唯ちゃんー♡』
画面の向こうではアイドルのような女性が手をヒラヒラと振っている。
「……誰だよ、朝倉みやねってのは?」
俺が独り言のように呟くと、横に居た小泉が反応する。
「今、一番人気の女性声優でアイドルユニットのセンターでもある。声優デビューの[ちいさなプリンセス アリア]で幼女に戻ったアリア役を演じて大ブレイクしたんだ」
「[ちいさなプリンセス アリア]!?……それって、夢野達が大好きっていうアニメじゃねぇか!?」
ああ、と小泉は頷く。
「[プリアリ]の愛称で親しまれている長期シリーズ物なんだが、今期シーズンのストーリーでは主人公のアリアが敵の魔法で幼女にされてしまってな。キャラデザも一新されて──────恐らくだが今期だけのメインヒロインという位置付けだろう」
なるほど。
長期展開されているシリーズ物の主人公や声優を交代って事態には滅多にならんだろうが……主人公がフォームチェンジするようなイメージなんだろうか?
まあ、作品イメージや世界観を損ねずに新人のアイドル声優を投入するには打って付けの設定なんだろう。
アイドル声優は画面の向こうでニコニコとしている。
夢野くるみと水森唯は失神しそうな勢いでテンションがブチ上がっていた。
「きゃあああ!!みやねる!!!みやねるが目の前に居る!!!!」
いや、目の前っつってもビデオ通話じゃねぇか。
みやねるとか言うのは声優の愛称なんだろうか?
なんにせよ、夢野くるみと水森唯がハイテンションで楽しそうで何よりだ。
ちょっと、と言いながら諸星キクコがマコトを肘でつつく。
「なんでマコトがアイドルの朝倉みやねと繋がってんのよ?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
ボクの学校の先輩だよ?高等部の芸能コースに在学中でさ、と答えたマコトに対し諸星キクコはまたしても素っ頓狂な声を上げる。
「先輩!?芸能コースの!?」
てか、芸能コースとかあったんだ!?と驚いた様子の諸星キクコにマコトはこう答えた。
「うん。あ、こっちの学校でだけ一昨年に新設されたコースなんだけど───────先輩とは部活で意気投合しちゃってさ。あ、先輩は普段はアフレコやレッスンで都会と寮を行ったり来たりしてるから滅多に会えないんだけど」
今回、ボクの友達ってことでビデオ通話のサービスも引き受けてくれてさ、と言いながらマコトは俺の方に向かって手を振った。
「ガックンがどうしてもこの子達をお祭りに誘いたいって言うからさ。ボクが一肌脱いだってワケ」
なるほどねぇ、と諸星キクコは納得したように頷いた。
いや、俺じゃなくてドッペルゲンガーの方が夢野くるみを誘いたいってテイだった筈なんだが────もうどっちでもいいか、そんなことは。
盛り上がる夢野くるみと水森唯。その横でその様子を見つめるマコトと諸星キクコ。
なにはともあれ、夢野くるみが来てくれたのは大きいし──────────普段集まらねぇメンツが集合してるってのがもうスゲェよな。
こういうのって奇跡みたいじゃねぇか。人間ってやる気になったら案外、奇跡って起こせるのかもしれねぇな。
俺はこの祭りの雰囲気と達成感を一人で噛み締めていた。
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