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ep7.

ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 秋祭り開催RTA⑨

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学校での休憩時間。

俺は一人で水森唯に交渉を試みることにした。

たいして親しくもないヤンキー二人に取り囲まれても嫌な気分になるかもしれねぇし、ドッペルゲンガーには見えない場所で待機してもらう。

水森唯はいつものように一人で読書をしていた。

「よぉ。昨日借りた本、読んでんのか?」

俺は出来る限りさりげない様子を装って水森に話しかける。

「……まあ、そんなとこだけど」

水森は俺の方をチラリと見ると小さく答えた。

この世界線では俺と水森に接点は全くない。

そっけない態度でも当然だよな。

「なあ、昨日言ってたじゃん?夢野が今日帰ってくるって?」

俺がそう訊ねると水森は本を閉じ、もう一度俺の顔を見る。

「……そうだけど────どうかしたの?」

サインとか欲しいって話?と水森は怪訝そうな表情を浮かべる。

そうだよな。

全く親しくない間柄なのに──────今や有名人になった夢野の事について聞いてくる奴なんてそんな扱いだよな。

「あの。えっと。今日さ、小泉んトコの神社で祭りがあんだけど……よかったらお前と夢野もどうかなって」

「お祭り?小泉先生の家の神社で?」

小泉の名前を出すと水森の表情が少し変わった。

まあ、俺みたいなヤンキーが誘ってくるってのは不信感を抱かれてもしょうがねぇけど───────副担任の小泉がメイン(みたいなニュアンス)ともなれば話は別だろう。

「ほら、4組の御月レイジとその彼女とかも来るしさ。結構賑やかな感じだから楽しいと思うぜ?」

水森は少し黙った後、静かに口を開いてこう告げた。

「……せっかくのお誘いだけど───────今日の夜はくぅちゃんの家でパジャマパーティーをする事になってるの」

今期の『プリアリ』の一挙上映会しようって約束だから、と水森はほんの少しだけ申し訳なさそうな表情を浮かべた。

「お気持ちだけ頂いておくわね。くぅちゃんにもそう伝えておくわ。」

それに、と水森は続けた。

「4組の御月君にその彼女だなんてカーストトップぐらいの人達でしょう。くぅちゃんは兎も角、あたしなんかが行っていい場所じゃなさそうだし」

しまった。

賑やかで顔見知りの人物も来る場所だってアピールするつもりで御月の名前を出したのが裏目に出たのか。

けど、先に予定を立ててるって言うならこっちが無理強いなんて出来ねぇし─────────

「そっか。すまんかったな。先に約束や予定があって当たり前だよな」

でも、気が向いたり夢野が祭りに来たいって言ったら気軽に寄ってくれよな、とだけ言い残して俺は早々に退散した。

ダメじゃねぇか。

失敗だ。

俺は夢野くるみを祭りに誘うことは出来なかった。

廊下の向こうからドッペルゲンガーがチラチラとこちらを見ている。

俺は小さく首をふり、交渉が失敗に終わったことをヤツに伝えた。












祭りの開催まで10時間を切ってるが─────────こっから俺はどうすればいい?
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