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ep7.
ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 隠し部屋のアフタヌーンティーパーティー
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宮原という女子が美術室に入って行ったのを廊下の端から見届けた後、俺は保健室に向かう。
まあ、小泉には放課後にでも報告しとけば大丈夫だろ。
猫は俺の腕の中で大人しくしている。
頼むからこのまま鳴かないでくれよ。
見つかると面倒な事になるからな。
まあ、授業中だから廊下に出てる人間は居ないし多分大丈夫だろうとは思うんだが───────
そろりそろりと慎重に歩きながら保健室の前に差し掛かる。
中から楽しげな歓声が聞こえて来た。
珍しいこともあるものだ。
俺がドアをそっと開けると、一斉に3人が振り返った。
「おぅ!遅かったじゃねぇか……って、猫見つけたのか!?」
マジかァ!?と大袈裟にリアクションする佐藤次郎(仮)の横で佐々木がポカンと口を開けている。
「……驚いた。本当に見つけてくれたのね」
「おいおい、人に頼んどいてそりゃねぇだろ?」
そう言いながら3人の座っている場所に近付くと、今度は上野が歓声を上げる。
「わ!?マジで猫ちゃんじゃん!?カワイー!!!!」
ね!ね!あーしにも抱っこさせて!!と上野がすごい勢いで身を乗り出して来たので俺は猫をそろりと渡した。
「わー♡♡ふわふわー!!かわいー♡♡」
上野は爆上がりしたテンションで猫に頬擦りする。
俺も!!俺も!!俺にも貸して!!と同じくテンションがブチ上がった佐藤次郎(仮)が横で大騒ぎしていた。
「……まあ、何はともあれ無事に見つかって良かったわ」
佐々木がホッとしたように呟いた。
「まあ、お前のメンツを潰さずに済んだのなら俺も探し回った甲斐があったってモンだ」
俺がそう言うと佐々木は小さく笑顔を見せた。
「……そうね。貴方のお陰だわ」
こちらとしても三年女子の情報網ってのは重要でね、と佐々木は小さく呟く。
「これで本命のヤマに少し動きが出ればいいんだけど────────」
佐々木は何らかの案件を追っている。
その件に深く食い込む為にはカースト上位三年女子とのパイプを築くのが不可欠だったって事なんだろうか。
あちこち動き回ったので俺も少し休んでいきたくなった。
「なあ、俺にもなんかくれよ」
俺が椅子に座ると、佐々木が冷えた紙パックのリンゴジュースを無言で差し出してくる。
「なぁ!!ここって最高だなァ!?貸切で冷蔵庫もあるし食いモンもめっちゃあるし!!」
佐藤次郎(仮)が興奮気味に俺に“一口サイズ もちもちチーズパン”を手渡してくる。
「まあ、ウチはパン屋だしね。パンならいくらでもあるわ」
これ、めっちゃ美味いんだよな。
俺は“一口サイズ もちもちチーズパン”を二個一気に頬張った。
「お前んちのこのパン、めっちゃ好きだわ。無限に食えるし」
パンを食べながら俺がそう言うと、佐々木はどこか上の空のような様子で答えた。
それは良かったわね、と呟きながら──────佐々木は何かを考えこんでいる。
「なあ!!上野んちにも歳の離れた兄弟が居るってんでよォ、服とかくれるってハナシになったんだぜ!」
不意に佐藤次郎(仮)がテンション高めで俺に報告してくる。
「……え?兄弟?上野んちって兄弟居たのか?」
……ん、まあね、と上野は苦笑いを浮かべた。
てかさ、なんで俺も知らなかったことを佐藤次郎(仮)はこの短い時間の間で?
もしかして───────なんか急にこの二人、めっちゃ仲良くなってね?
まあ、小泉には放課後にでも報告しとけば大丈夫だろ。
猫は俺の腕の中で大人しくしている。
頼むからこのまま鳴かないでくれよ。
見つかると面倒な事になるからな。
まあ、授業中だから廊下に出てる人間は居ないし多分大丈夫だろうとは思うんだが───────
そろりそろりと慎重に歩きながら保健室の前に差し掛かる。
中から楽しげな歓声が聞こえて来た。
珍しいこともあるものだ。
俺がドアをそっと開けると、一斉に3人が振り返った。
「おぅ!遅かったじゃねぇか……って、猫見つけたのか!?」
マジかァ!?と大袈裟にリアクションする佐藤次郎(仮)の横で佐々木がポカンと口を開けている。
「……驚いた。本当に見つけてくれたのね」
「おいおい、人に頼んどいてそりゃねぇだろ?」
そう言いながら3人の座っている場所に近付くと、今度は上野が歓声を上げる。
「わ!?マジで猫ちゃんじゃん!?カワイー!!!!」
ね!ね!あーしにも抱っこさせて!!と上野がすごい勢いで身を乗り出して来たので俺は猫をそろりと渡した。
「わー♡♡ふわふわー!!かわいー♡♡」
上野は爆上がりしたテンションで猫に頬擦りする。
俺も!!俺も!!俺にも貸して!!と同じくテンションがブチ上がった佐藤次郎(仮)が横で大騒ぎしていた。
「……まあ、何はともあれ無事に見つかって良かったわ」
佐々木がホッとしたように呟いた。
「まあ、お前のメンツを潰さずに済んだのなら俺も探し回った甲斐があったってモンだ」
俺がそう言うと佐々木は小さく笑顔を見せた。
「……そうね。貴方のお陰だわ」
こちらとしても三年女子の情報網ってのは重要でね、と佐々木は小さく呟く。
「これで本命のヤマに少し動きが出ればいいんだけど────────」
佐々木は何らかの案件を追っている。
その件に深く食い込む為にはカースト上位三年女子とのパイプを築くのが不可欠だったって事なんだろうか。
あちこち動き回ったので俺も少し休んでいきたくなった。
「なあ、俺にもなんかくれよ」
俺が椅子に座ると、佐々木が冷えた紙パックのリンゴジュースを無言で差し出してくる。
「なぁ!!ここって最高だなァ!?貸切で冷蔵庫もあるし食いモンもめっちゃあるし!!」
佐藤次郎(仮)が興奮気味に俺に“一口サイズ もちもちチーズパン”を手渡してくる。
「まあ、ウチはパン屋だしね。パンならいくらでもあるわ」
これ、めっちゃ美味いんだよな。
俺は“一口サイズ もちもちチーズパン”を二個一気に頬張った。
「お前んちのこのパン、めっちゃ好きだわ。無限に食えるし」
パンを食べながら俺がそう言うと、佐々木はどこか上の空のような様子で答えた。
それは良かったわね、と呟きながら──────佐々木は何かを考えこんでいる。
「なあ!!上野んちにも歳の離れた兄弟が居るってんでよォ、服とかくれるってハナシになったんだぜ!」
不意に佐藤次郎(仮)がテンション高めで俺に報告してくる。
「……え?兄弟?上野んちって兄弟居たのか?」
……ん、まあね、と上野は苦笑いを浮かべた。
てかさ、なんで俺も知らなかったことを佐藤次郎(仮)はこの短い時間の間で?
もしかして───────なんか急にこの二人、めっちゃ仲良くなってね?
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