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ep7.
ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 大きな事件の影
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「なあ、その本命の案件ってどんなんだよ?」
お前がそこまでガチってんだったら相当なモンなんだろ?教えてくれよ、と俺が言うと佐々木は首をすくめてみせた。
「……ま、その時が来たらまた改めて協力を依頼するかもね」
今はまだその時期じゃないわ、と佐々木ははぐらかすように答えた。
「そう勿体ぶられると余計に気になるじゃんか。もしかしたら俺が何か知ってる情報があるかもしれねぇぜ?」
ちょっとだけでもさ、と俺がダメ押しするように付け加えると佐々木は溜息をついた。
「……そうね。最近、頭打ち状態になって来たところでもあったし」
トントンと机を指先で叩きながら佐々木は何か考え込むように呟いた。
「今はまだ詳しくは言えないのだけれど───────もしも身近で“ドラッグストアや薬局での万引き事案”なんかを耳にする事があったら教えてくれる?」
「万引き?」
予想外のワードに俺は思わず聞き返す。
「お前、そういう調査やってんの?校内での万引き事件の?」
佐々木は首を振った。
「……別にこの学校の生徒に限らなくてもいいわ。近隣の学校でもいいし、小学生や高校生のケースでもいいの」
それってどういうことだ?
「この学校の生徒でなくていいってことか?内申点がどうとかそういうのでも無いって意味か?」
佐々木がそんな情報を集める意図が分からず、俺は混乱した。
「そう。内申点とかは関係無いし学校や教員にも報告はしないわ」
……これはあくまでも─────わたしが一人で調べているに過ぎない事だし、と佐々木は手元のノートをパラパラと捲る。
万引きか。
まあ、佐々木の家の家業はパン屋だしな。朝早くから仕込みしてパン焼いて薄利多売で売ってんのに万引きなんかされた日には商売上がったりだろう。
同じ商店街の古くからある小さな商店なんかもそれは同様だ。
万引き犯の情報共有という意味では確かに有意義な事なのかもしれないが──────────
「うーん。急に聞かれてもパッとは思い出せないな。最近だと概史の同級生──────小学生の悪ガキどもが本屋でコミックスを纏めて万引きしてたって話くらいしか聞いたことねぇし」
俺がそう言うと佐々木はノートに乱暴に殴り書きを始めた。
「……欲しいのはドラッグストアや薬局周辺での事案の情報なんだけど───────まあいいわ」
こういう小さなケースの情報から意外な綻びや糸口が掴めることもあるしね、と佐々木は呟いた。
「業種を限定してんのか?一個当たりの被害の単価が高いとか?」
パン屋だと300~400円程度の単価であっても、ドラッグストアだと高額な商品も置いてあるもんな。2~3000円の化粧品とか。
「……そういう訳でも無いんだけどね」
ノートに書き終わった佐々木は再び机を指先でトントンと叩きながら少し黙った。
「もう少し情報が集まって来たら……そのうち貴方にもキチンと話すわ」
そっか、とだけ俺が返事をすると佐々木は俺の方を向いてこう言った。
「……じゃ、子猫の件だけど早速よろしくね。言い忘れてたけどキジトラで首輪も付いてるから」
本命の案件に進むには目の前の依頼を片付けないとダメってことなんだな。
任せとけ、と俺は頷いた。
こうして──────────どう言う訳だか俺と佐藤次郎(仮)の[迷子の子猫探し]が幕を開けたのだった。
お前がそこまでガチってんだったら相当なモンなんだろ?教えてくれよ、と俺が言うと佐々木は首をすくめてみせた。
「……ま、その時が来たらまた改めて協力を依頼するかもね」
今はまだその時期じゃないわ、と佐々木ははぐらかすように答えた。
「そう勿体ぶられると余計に気になるじゃんか。もしかしたら俺が何か知ってる情報があるかもしれねぇぜ?」
ちょっとだけでもさ、と俺がダメ押しするように付け加えると佐々木は溜息をついた。
「……そうね。最近、頭打ち状態になって来たところでもあったし」
トントンと机を指先で叩きながら佐々木は何か考え込むように呟いた。
「今はまだ詳しくは言えないのだけれど───────もしも身近で“ドラッグストアや薬局での万引き事案”なんかを耳にする事があったら教えてくれる?」
「万引き?」
予想外のワードに俺は思わず聞き返す。
「お前、そういう調査やってんの?校内での万引き事件の?」
佐々木は首を振った。
「……別にこの学校の生徒に限らなくてもいいわ。近隣の学校でもいいし、小学生や高校生のケースでもいいの」
それってどういうことだ?
「この学校の生徒でなくていいってことか?内申点がどうとかそういうのでも無いって意味か?」
佐々木がそんな情報を集める意図が分からず、俺は混乱した。
「そう。内申点とかは関係無いし学校や教員にも報告はしないわ」
……これはあくまでも─────わたしが一人で調べているに過ぎない事だし、と佐々木は手元のノートをパラパラと捲る。
万引きか。
まあ、佐々木の家の家業はパン屋だしな。朝早くから仕込みしてパン焼いて薄利多売で売ってんのに万引きなんかされた日には商売上がったりだろう。
同じ商店街の古くからある小さな商店なんかもそれは同様だ。
万引き犯の情報共有という意味では確かに有意義な事なのかもしれないが──────────
「うーん。急に聞かれてもパッとは思い出せないな。最近だと概史の同級生──────小学生の悪ガキどもが本屋でコミックスを纏めて万引きしてたって話くらいしか聞いたことねぇし」
俺がそう言うと佐々木はノートに乱暴に殴り書きを始めた。
「……欲しいのはドラッグストアや薬局周辺での事案の情報なんだけど───────まあいいわ」
こういう小さなケースの情報から意外な綻びや糸口が掴めることもあるしね、と佐々木は呟いた。
「業種を限定してんのか?一個当たりの被害の単価が高いとか?」
パン屋だと300~400円程度の単価であっても、ドラッグストアだと高額な商品も置いてあるもんな。2~3000円の化粧品とか。
「……そういう訳でも無いんだけどね」
ノートに書き終わった佐々木は再び机を指先でトントンと叩きながら少し黙った。
「もう少し情報が集まって来たら……そのうち貴方にもキチンと話すわ」
そっか、とだけ俺が返事をすると佐々木は俺の方を向いてこう言った。
「……じゃ、子猫の件だけど早速よろしくね。言い忘れてたけどキジトラで首輪も付いてるから」
本命の案件に進むには目の前の依頼を片付けないとダメってことなんだな。
任せとけ、と俺は頷いた。
こうして──────────どう言う訳だか俺と佐藤次郎(仮)の[迷子の子猫探し]が幕を開けたのだった。
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