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ep7.
ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 一触即発
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俺と小泉はその人影を凝視した。
鏡に映したように──────俺と全く同じ顔、同じ背格好の人物。
唯一違うのは奇妙な着こなしの裸学ランということだけだろうか。
絶句する俺と小泉に対し、先に反応を示して来たのは向こうの方だった。
「……ん?鏡花じゃん?何してんだこんなトコで?」
──────“鏡花”!?
てか、なんで呼び捨て!?
めっちゃ馴れ馴れしくねぇか!?
男児と手を繋いだ状態のドッペルゲンガーはこちらに近付いて来る。
「てかさ、横のヤツ誰だ?知り合いか?」
「……!!?」
何事もなかったかのようにフツーに話しかけてくるドッペルゲンガー。
小泉は俺とドッペルゲンガーの顔を見比べ、真っ青な顔でテンパっている。
「……佐藤?!お前も─────佐藤……なのか!?」
小泉が辛うじてそう口にするとドッペルゲンガーは怪訝そうな表情を浮かべた。
「なんだよ?なんか急に余所余所しくなってね?」
鏡花さ、いつもは“ガックン”呼びじゃねぇか、とドッペルゲンガーは小泉の肩を叩く。
「……ハァ!?」
ビビり散らした小泉は半分悲鳴のような声を上げる。
てか、横に居る俺はガン無視かよ?
「おいやめろや?」
センセェがビビってんだろうが、と俺はドッペルゲンガーが小泉の肩に置いた手を払い除けた。
「は?誰だテメー?」
ドッペルゲンガーは俺に向かってメンチを切ってくる。
「……テメーこそ誰だよ?人と同じ顔で好き勝手やりやがって」
フツフツと怒りが沸き上がって来た俺はドッペルゲンガーを睨み付けた。
「やんのかコラ?!」
向こうの表情がサッと変わり、臨戦態勢に入ったような気配がした。
「……上等だよテメー!?」
一触即発。
そんな言葉が脳裏に過り、ピリピリとした空気が周囲を支配する。
ゆらり、と向こうの身体が動き始めた瞬間だった。
「……とうちゃああん!!」
だめえ、と横に居る男児が大声で泣き始めた。
わあああん!と、火がついたように泣き叫ぶ男児。
「……は?え?ちょっと────」
事態が飲み込めず呆然と立ちすくむ俺達を無視し、ドッペルゲンガーは男児を宥めはじめた。
「わーった!わーったよ!!父ちゃんが悪かった!!」
しかし、一度パニックになって泣き叫び始めた男児は止まらない。
地面にひっくり返って泣き叫ぶ男児をどうすることも出来ず、俺達3人はただオロオロと右往左往していた。
「ほら、父ちゃんが抱っこしてやるから……!」
ドッペルゲンガーが男児を抱き抱えようとするが、癇癪を起こした男児の身体はグニャリと曲がりそれを拒否していた。
「……あちゃー。こうなったらコイツ、どうしようもねぇんだよなあ……」
ドッペルゲンガーは困ったようにポリポリと後頭部を掻いた。
癇癪を起こし地面に転がる二歳児と─────呆然とただ立ちすくむ俺達。
なんだこの状況は。
意味がわからない。
どうしたらいいかわからない俺は──────とりあえずさっきの紙袋を開けてみることにした。
機関車トーマスのプラケースに入った菓子詰め合わせ。仮面ライダーにさっきのアンパンマン。
「ほら、坊主。これやっからさ、機嫌直せって」
俺が御月に貰った菓子詰め合わせ類を見せると、男児は泣きながらもチラリとこっちを見る。
「……あんぱんまん?」
そう、アンパンマンだ、と俺は頷く。
「全部お前にやるからさ、起きて泣きやめって──────」
俺がそう言いかけると、男児はガバッと起き上がってこちらに向かって来る。
「とーましゅ!!とーましゅも!!」
「ほら、やるよ」
俺がトーマスとアンパンマンを手渡すと男児はそれを抱えて興奮気味にドッペルゲンガーを見る。
「とうちゃん!!!とーましゅ!!とーましゅ!!!あんぱんまん!!!」
ドッペルゲンガーは困惑気味に俺と小泉の顔を見る。
「知り合いに貰っただけだし……全部お前んトコの子にやるからさ──────」
俺がそう言うと、ドッペルゲンガーの態度が急変した。
「え!?マジでか!?」
これ、ホントに全部貰っていいのか、というドッペルゲンガーの表情は─────────何故だか“父親”そのものに思えた。
鏡に映したように──────俺と全く同じ顔、同じ背格好の人物。
唯一違うのは奇妙な着こなしの裸学ランということだけだろうか。
絶句する俺と小泉に対し、先に反応を示して来たのは向こうの方だった。
「……ん?鏡花じゃん?何してんだこんなトコで?」
──────“鏡花”!?
てか、なんで呼び捨て!?
めっちゃ馴れ馴れしくねぇか!?
男児と手を繋いだ状態のドッペルゲンガーはこちらに近付いて来る。
「てかさ、横のヤツ誰だ?知り合いか?」
「……!!?」
何事もなかったかのようにフツーに話しかけてくるドッペルゲンガー。
小泉は俺とドッペルゲンガーの顔を見比べ、真っ青な顔でテンパっている。
「……佐藤?!お前も─────佐藤……なのか!?」
小泉が辛うじてそう口にするとドッペルゲンガーは怪訝そうな表情を浮かべた。
「なんだよ?なんか急に余所余所しくなってね?」
鏡花さ、いつもは“ガックン”呼びじゃねぇか、とドッペルゲンガーは小泉の肩を叩く。
「……ハァ!?」
ビビり散らした小泉は半分悲鳴のような声を上げる。
てか、横に居る俺はガン無視かよ?
「おいやめろや?」
センセェがビビってんだろうが、と俺はドッペルゲンガーが小泉の肩に置いた手を払い除けた。
「は?誰だテメー?」
ドッペルゲンガーは俺に向かってメンチを切ってくる。
「……テメーこそ誰だよ?人と同じ顔で好き勝手やりやがって」
フツフツと怒りが沸き上がって来た俺はドッペルゲンガーを睨み付けた。
「やんのかコラ?!」
向こうの表情がサッと変わり、臨戦態勢に入ったような気配がした。
「……上等だよテメー!?」
一触即発。
そんな言葉が脳裏に過り、ピリピリとした空気が周囲を支配する。
ゆらり、と向こうの身体が動き始めた瞬間だった。
「……とうちゃああん!!」
だめえ、と横に居る男児が大声で泣き始めた。
わあああん!と、火がついたように泣き叫ぶ男児。
「……は?え?ちょっと────」
事態が飲み込めず呆然と立ちすくむ俺達を無視し、ドッペルゲンガーは男児を宥めはじめた。
「わーった!わーったよ!!父ちゃんが悪かった!!」
しかし、一度パニックになって泣き叫び始めた男児は止まらない。
地面にひっくり返って泣き叫ぶ男児をどうすることも出来ず、俺達3人はただオロオロと右往左往していた。
「ほら、父ちゃんが抱っこしてやるから……!」
ドッペルゲンガーが男児を抱き抱えようとするが、癇癪を起こした男児の身体はグニャリと曲がりそれを拒否していた。
「……あちゃー。こうなったらコイツ、どうしようもねぇんだよなあ……」
ドッペルゲンガーは困ったようにポリポリと後頭部を掻いた。
癇癪を起こし地面に転がる二歳児と─────呆然とただ立ちすくむ俺達。
なんだこの状況は。
意味がわからない。
どうしたらいいかわからない俺は──────とりあえずさっきの紙袋を開けてみることにした。
機関車トーマスのプラケースに入った菓子詰め合わせ。仮面ライダーにさっきのアンパンマン。
「ほら、坊主。これやっからさ、機嫌直せって」
俺が御月に貰った菓子詰め合わせ類を見せると、男児は泣きながらもチラリとこっちを見る。
「……あんぱんまん?」
そう、アンパンマンだ、と俺は頷く。
「全部お前にやるからさ、起きて泣きやめって──────」
俺がそう言いかけると、男児はガバッと起き上がってこちらに向かって来る。
「とーましゅ!!とーましゅも!!」
「ほら、やるよ」
俺がトーマスとアンパンマンを手渡すと男児はそれを抱えて興奮気味にドッペルゲンガーを見る。
「とうちゃん!!!とーましゅ!!とーましゅ!!!あんぱんまん!!!」
ドッペルゲンガーは困惑気味に俺と小泉の顔を見る。
「知り合いに貰っただけだし……全部お前んトコの子にやるからさ──────」
俺がそう言うと、ドッペルゲンガーの態度が急変した。
「え!?マジでか!?」
これ、ホントに全部貰っていいのか、というドッペルゲンガーの表情は─────────何故だか“父親”そのものに思えた。
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