[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep7.

ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 トランクの中には夢がいっぱい

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さてどうしたものか。

ドッペルゲンガーが諸星キクコにジュース代を借りたという事までは突き止めたが────────

そこから先の足取りは依然不明だった。

「ジュースを買ったという事は、だ」

小泉が少し考え込むような素振りを見せる。

「何処かで一休みしてるって線は無いか?」

まあ、あり得るな、と俺は相槌を打った。

「けどさ、なんか変じゃねぇか?」

何がだ?と小泉は怪訝そうな表情を浮かべる。

「諸星キクコから借りたのが320円ってのが妙じゃないか?変な金額っていうか──────」

俺がそこまで言うと小泉も頷く。

「もしかして2本分買ったんじゃないか?160円の自販機のボトル飲料を2本買えば辻褄が合うだろう?」

2本?いっぺんに2本も飲むか?

もう一人誰か居るとか──────と小泉が言い掛けた瞬間だった。

「……ここに居たのか、佐藤」

不意に声を掛けて来たのは御月レイジだった。

「御月?珍しいな。一人か?」

俺がそう答えると御月はホッとしたような表情を浮かべた。

「……佐藤の家まで行くところだったんだ。ここで会えて良かった」

俺の家まで来る?御月が?

「どうしたんだよ?何かあったのか?」

俺がそう訊くと御月は首を振った。

「……いや、大した用事って程でもないんだが─────あ、小泉先生も一緒なんですか」

御月は横にいる小泉に軽く会釈する。

「……小泉先生はいつも佐藤の事を気にかけて下さって仕事熱心なんですね。頭が下がります」

「え?あ?いや、そんなことは……」

小泉はしどろもどろに答える。

「……佐藤は幸せ者だな。家庭の事情が複雑とはいえ、熱意のある先生に受け持って貰って──────」

最近は成績も上がっているようだし、まだお若いのに小泉先生は教師の鑑ですね、と御月は心底感心したように言った。

おいおいおい、勉強出来るようになったのは小泉の功績じゃなくて俺の努力だっての。

「それより俺に何か用だったんじゃないのか?気になるじゃねぇか」

話題を変えるように俺がそう言うと御月は手に持っていた紙袋を俺に差し出した。

「……そうそう。これを是非佐藤にと思ってな」

「??」

何だろう?

「柿とか梨なのか?」

紙袋の中に入っていたのは────────アンパンマンの缶ケースやトランクケースだった。

全部で4つ程ある。

よくスーパーの菓子売り場に売っている“菓子詰め合わせセット“だ。

アンパンマンの顔の形の大きめのケースのもの、アンパンマンの仲間が乗ったバスの形をした缶、仮面ライダーのトランクの形のケースや機関車トーマスのプラスチックのケースもある。

「え?何でこれを俺に?」

御月に柿なんかの果物のお裾分けを貰うことはたまにあるんだが───────菓子類とはいえ、なんだか俺向きではないようなラインナップに思えた。

「……お前に弟が居たなんて知らなかったからな。もっと早くに言ってくれればまだまだ沢山渡せたのに」

うちは寺だろう?こういった御供え物が沢山あるからな、と御月は答えた。

『は!?弟!???』

俺と小泉は顔を見合わせた。

「弟って……どういう事だよ?俺は一人っ子だぞ?」

俺がそう言うと御月は首を傾げた。

「……ん?じゃあさっきの子は親戚って事か?一緒に歩いて居ただろう?」

「さっきって……」

確実にそれは俺じゃねぇ。

「……うちはああいった寺だからな。どうしても御供え物が子ども向けのもの中心になるんだ。普通の菓子類は下げた後に人に配ったり出来るんだが─────」

こういったケースに入っている菓子類は子どものいない家に配ったりも出来なくてな。捨てるのも勿体無いし、かと言って小さい子どものいる家の知り合いもなかなか居ないものだから、と御月は続けた。

「……だから、お前の家に小さい子が居るんなら丁度いいと思って」

「待て待て待て!さっきから弟とか小さい子とか─────それは多分、俺じゃねぇぞ!?」

混乱する俺に代わって小泉が簡単にドッペルゲンガーについて説明した。

「……なるほど……お前のそっくりさんが居るって訳なのか─────」

御月は感心したように頷いた。

「……でも、そっくりさんが小さい子を連れていたのはこの目で見たし────」

もしよかったらその子にこれを渡してあげてくれないか、と御月はさらりと言ってのけた。

「は!?ドッペルゲンガーだぞ?顔がそっくりなだけの他人じゃねぇか?!」

困惑を隠せず俺がそう言うと御月はこう答えた。









「……実は他人でもないんじゃないか?そっくりさんが連れてた子ども、佐藤の生き写しみたいだったぞ?」

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