591 / 1,060
ep7.
ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 デート
しおりを挟む
俺と小泉はそれらしい場所を片っ端から探し歩いた。
しかし────────佑ニーサンの目撃証言(?)を最後に、ドッペルゲンガーの足取りの手掛かりは途絶えてしまう。
そこら中を血眼で探し回ってはいたが、途端にどっと疲れが出る。
「なんか腹減ったな……」
俺がボソリとそう呟くと、俺以上に疲れている表情を浮かべた小泉が頷いた。
「ああ。こうも足取りが掴め無いことには─────一旦休憩して作戦を立て直した方がいいな」
「てか、悪ィなセンセェ。巻き込んじまってさ。疲れたんだろ?」
気付かなくてゴメン、と俺が顔を覗き込むと小泉は視線を逸らした。
「……べ、別にそういう訳じゃ無いが──────」
兎も角、少し食事でも取ろう、と小泉は咳払いをしながら言った。
位置的に神社に近い場所まで来ていたので、社務所で何か食べようという流れになった。
俺と小泉が境内に足を踏み入れると─────そこには、箒を片手に顔を真っ赤にしたシンジが立っていた。
「お前!???よくもまたここに顔を出せたな!?」
「え?」
どういう訳か、物凄い勢いで俺はシンジに箒でぶん殴られた。
バシンという音が頭に響く。
まあまあ重量のある竹箒を全力でフルスイングされたものだから結構痛い。
「……ってぇ!?」
殴られた俺に小泉が慌てて駆け寄る。
「──────シンジ!?やめないか!?」
どうしたんだ急に、と俺の目の前に立ち塞がるように小泉は問いかけた。
「姉さんの生徒と言えども今日という今日はもう許せません!!」
「どういう事だ?コイツが何かやったって言うのか?」
小泉はなるべく冷静に────シンジを落ち着かせようとする。
「何かどころの騒ぎじゃないですよ!?コイツ、境内の中をバイクで走り回って──────」
「ハァ!?」
それは断じて俺ではない。
「ちょっと待たないか。それは本当に佐藤だったのか!?」
小泉が必死で訴えるが、頭に血が上ったと見えるシンジの耳には入っていない様子だった。
「ちょっと巫山戯るどころじゃない……神聖な神社の敷地を穢すような真似を─────お前、覚悟しろよ!?」
シンジが再び箒を勢いよく振り上げる。
さっきの一撃でまあまあなダメージを負い、頭から出血していた俺は咄嗟に身構える。
頭がクラクラして振り下ろされる箒を避けきれないと思った──────その瞬間だった。
「シンジくん!!やめてよ!!」
咄嗟にシンジの目の前に躍り出たのは意外な人物だった。
「……え?」
天宮烈奈。
シンジの同級生の女子だった。
「ダメだよ!!お兄ちゃん、ケガしてるよ!?」
「……!!」
天宮烈奈に止められたシンジは無言のまま立ち尽くしている。
「だって……お前もさっき見ただろ?!コイツが境内の中をバイクで走り回って─────」
そうじゃないんだ。私達はさっき来たばっかりで、とすかさず小泉がそれを否定した。
「それは俺に似てるけど俺じゃねぇ」
俺と小泉はシンジと天宮烈奈に今までの経緯を説明した。
「……ドッペルゲンガー!?そんなバカな。」
シンジは半信半疑といった様子で俺を睨む。
てか、マジでさっき殴られたトコから血ィ出てんだが?
「お兄ちゃんと先生がいうんならぜったいそうだよ!」
わたしもさがすのてつだうね、と何故か天宮烈奈は乗り気である。
「無理して探すとかはいいんだけどさ。まあ、見かけた時に教えてくれたら助かる」
俺がそう言うとシンジは苦々しいような表情を浮かべた。
「こら、シンジ。理由はどうあれ、人を殴るなんて良くないだろう。謝りなさい」
小泉に促されたもののシンジはプイとソッポを向いた。
俺はチラリと横の天宮烈奈を見る。
放課後ではあるんだろうけど─────コイツら二人、一緒に居たって事か?
俺は少し考えを巡らせた。
なんかコイツら、二人で居ることが多いよな?
天宮烈奈の前でいいカッコしたかったとか?
それとも。
なんかいいムードになってた時に境内をバイクで走り回るドッペルゲンガーに邪魔されたとか?
だとしたら、天宮烈奈の前で気に食わない俺に対して頭を下げるってのはどうしても気乗りしないんだろうな。
どうしてだか俺は、シンジに対して腹は立たなかった。
コイツにはコイツで何か色々と事情があるのかもしれない。
「まあまあセンセェ。俺の普段の行いが悪いから誤解させちまったんだろうし──────」
俺は小泉にそう言いながら適当に誤魔化す。
「とにかくさ、ドッペルゲンガーはバイクで移動しててこの辺にまだ居るってことがわかったんだからいいじゃねぇか」
俺とドッペルゲンガーは行動範囲が被っている。それだけでも十分なヒントである気がした。
しかし────────佑ニーサンの目撃証言(?)を最後に、ドッペルゲンガーの足取りの手掛かりは途絶えてしまう。
そこら中を血眼で探し回ってはいたが、途端にどっと疲れが出る。
「なんか腹減ったな……」
俺がボソリとそう呟くと、俺以上に疲れている表情を浮かべた小泉が頷いた。
「ああ。こうも足取りが掴め無いことには─────一旦休憩して作戦を立て直した方がいいな」
「てか、悪ィなセンセェ。巻き込んじまってさ。疲れたんだろ?」
気付かなくてゴメン、と俺が顔を覗き込むと小泉は視線を逸らした。
「……べ、別にそういう訳じゃ無いが──────」
兎も角、少し食事でも取ろう、と小泉は咳払いをしながら言った。
位置的に神社に近い場所まで来ていたので、社務所で何か食べようという流れになった。
俺と小泉が境内に足を踏み入れると─────そこには、箒を片手に顔を真っ赤にしたシンジが立っていた。
「お前!???よくもまたここに顔を出せたな!?」
「え?」
どういう訳か、物凄い勢いで俺はシンジに箒でぶん殴られた。
バシンという音が頭に響く。
まあまあ重量のある竹箒を全力でフルスイングされたものだから結構痛い。
「……ってぇ!?」
殴られた俺に小泉が慌てて駆け寄る。
「──────シンジ!?やめないか!?」
どうしたんだ急に、と俺の目の前に立ち塞がるように小泉は問いかけた。
「姉さんの生徒と言えども今日という今日はもう許せません!!」
「どういう事だ?コイツが何かやったって言うのか?」
小泉はなるべく冷静に────シンジを落ち着かせようとする。
「何かどころの騒ぎじゃないですよ!?コイツ、境内の中をバイクで走り回って──────」
「ハァ!?」
それは断じて俺ではない。
「ちょっと待たないか。それは本当に佐藤だったのか!?」
小泉が必死で訴えるが、頭に血が上ったと見えるシンジの耳には入っていない様子だった。
「ちょっと巫山戯るどころじゃない……神聖な神社の敷地を穢すような真似を─────お前、覚悟しろよ!?」
シンジが再び箒を勢いよく振り上げる。
さっきの一撃でまあまあなダメージを負い、頭から出血していた俺は咄嗟に身構える。
頭がクラクラして振り下ろされる箒を避けきれないと思った──────その瞬間だった。
「シンジくん!!やめてよ!!」
咄嗟にシンジの目の前に躍り出たのは意外な人物だった。
「……え?」
天宮烈奈。
シンジの同級生の女子だった。
「ダメだよ!!お兄ちゃん、ケガしてるよ!?」
「……!!」
天宮烈奈に止められたシンジは無言のまま立ち尽くしている。
「だって……お前もさっき見ただろ?!コイツが境内の中をバイクで走り回って─────」
そうじゃないんだ。私達はさっき来たばっかりで、とすかさず小泉がそれを否定した。
「それは俺に似てるけど俺じゃねぇ」
俺と小泉はシンジと天宮烈奈に今までの経緯を説明した。
「……ドッペルゲンガー!?そんなバカな。」
シンジは半信半疑といった様子で俺を睨む。
てか、マジでさっき殴られたトコから血ィ出てんだが?
「お兄ちゃんと先生がいうんならぜったいそうだよ!」
わたしもさがすのてつだうね、と何故か天宮烈奈は乗り気である。
「無理して探すとかはいいんだけどさ。まあ、見かけた時に教えてくれたら助かる」
俺がそう言うとシンジは苦々しいような表情を浮かべた。
「こら、シンジ。理由はどうあれ、人を殴るなんて良くないだろう。謝りなさい」
小泉に促されたもののシンジはプイとソッポを向いた。
俺はチラリと横の天宮烈奈を見る。
放課後ではあるんだろうけど─────コイツら二人、一緒に居たって事か?
俺は少し考えを巡らせた。
なんかコイツら、二人で居ることが多いよな?
天宮烈奈の前でいいカッコしたかったとか?
それとも。
なんかいいムードになってた時に境内をバイクで走り回るドッペルゲンガーに邪魔されたとか?
だとしたら、天宮烈奈の前で気に食わない俺に対して頭を下げるってのはどうしても気乗りしないんだろうな。
どうしてだか俺は、シンジに対して腹は立たなかった。
コイツにはコイツで何か色々と事情があるのかもしれない。
「まあまあセンセェ。俺の普段の行いが悪いから誤解させちまったんだろうし──────」
俺は小泉にそう言いながら適当に誤魔化す。
「とにかくさ、ドッペルゲンガーはバイクで移動しててこの辺にまだ居るってことがわかったんだからいいじゃねぇか」
俺とドッペルゲンガーは行動範囲が被っている。それだけでも十分なヒントである気がした。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
もし学園のアイドルが俺のメイドになったら
みずがめ
恋愛
もしも、憧れの女子が絶対服従のメイドになったら……。そんなの普通の男子ならやることは決まっているよな?
これは不幸な陰キャが、学園一の美少女をメイドという名の性奴隷として扱い、欲望の限りを尽くしまくるお話である。
※【挿絵あり】にはいただいたイラストを載せています。
「小説家になろう」ノクターンノベルズにも掲載しています。表紙はあっきコタロウさんに描いていただきました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる