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ep7.

ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 デート

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俺と小泉はそれらしい場所を片っ端から探し歩いた。

しかし────────佑ニーサンの目撃証言(?)を最後に、ドッペルゲンガーの足取りの手掛かりは途絶えてしまう。

そこら中を血眼で探し回ってはいたが、途端にどっと疲れが出る。

「なんか腹減ったな……」

俺がボソリとそう呟くと、俺以上に疲れている表情を浮かべた小泉が頷いた。

「ああ。こうも足取りが掴め無いことには─────一旦休憩して作戦を立て直した方がいいな」

「てか、悪ィなセンセェ。巻き込んじまってさ。疲れたんだろ?」

気付かなくてゴメン、と俺が顔を覗き込むと小泉は視線を逸らした。

「……べ、別にそういう訳じゃ無いが──────」

兎も角、少し食事でも取ろう、と小泉は咳払いをしながら言った。

位置的に神社に近い場所まで来ていたので、社務所で何か食べようという流れになった。

俺と小泉が境内に足を踏み入れると─────そこには、ほうきを片手に顔を真っ赤にしたシンジが立っていた。

「お前!???よくもまたここに顔を出せたな!?」

「え?」

どういう訳か、物凄い勢いで俺はシンジに箒でぶん殴られた。

バシンという音が頭に響く。

まあまあ重量のある竹箒を全力でフルスイングされたものだから結構痛い。

「……ってぇ!?」

殴られた俺に小泉が慌てて駆け寄る。

「──────シンジ!?やめないか!?」

どうしたんだ急に、と俺の目の前に立ち塞がるように小泉は問いかけた。

「姉さんの生徒と言えども今日という今日はもう許せません!!」

「どういう事だ?コイツが何かやったって言うのか?」

小泉はなるべく冷静に────シンジを落ち着かせようとする。

「何かどころの騒ぎじゃないですよ!?コイツ、境内の中をバイクで走り回って──────」

「ハァ!?」

それは断じて俺ではない。

「ちょっと待たないか。それは本当に佐藤だったのか!?」

小泉が必死で訴えるが、頭に血が上ったと見えるシンジの耳には入っていない様子だった。

「ちょっと巫山戯るどころじゃない……神聖な神社の敷地を穢すような真似を─────お前、覚悟しろよ!?」

シンジが再び箒を勢いよく振り上げる。

さっきの一撃でまあまあなダメージを負い、頭から出血していた俺は咄嗟に身構える。

頭がクラクラして振り下ろされる箒を避けきれないと思った──────その瞬間だった。

「シンジくん!!やめてよ!!」

咄嗟にシンジの目の前に躍り出たのは意外な人物だった。

「……え?」

天宮烈奈。

シンジの同級生の女子だった。

「ダメだよ!!お兄ちゃん、ケガしてるよ!?」

「……!!」

天宮烈奈に止められたシンジは無言のまま立ち尽くしている。

「だって……お前もさっき見ただろ?!コイツが境内の中をバイクで走り回って─────」

そうじゃないんだ。私達はさっき来たばっかりで、とすかさず小泉がそれを否定した。

「それは俺に似てるけど俺じゃねぇ」

俺と小泉はシンジと天宮烈奈に今までの経緯を説明した。

「……ドッペルゲンガー!?そんなバカな。」

シンジは半信半疑といった様子で俺を睨む。

てか、マジでさっき殴られたトコから血ィ出てんだが?

「お兄ちゃんと先生がいうんならぜったいそうだよ!」

わたしもさがすのてつだうね、と何故か天宮烈奈は乗り気である。

「無理して探すとかはいいんだけどさ。まあ、見かけた時に教えてくれたら助かる」

俺がそう言うとシンジは苦々しいような表情を浮かべた。

「こら、シンジ。理由はどうあれ、人を殴るなんて良くないだろう。謝りなさい」

小泉に促されたもののシンジはプイとソッポを向いた。

俺はチラリと横の天宮烈奈を見る。

放課後ではあるんだろうけど─────コイツら二人、一緒に居たって事か?

俺は少し考えを巡らせた。

なんかコイツら、二人で居ることが多いよな?

天宮烈奈の前でいいカッコしたかったとか?

それとも。

なんかいいムードになってた時に境内をバイクで走り回るドッペルゲンガーに邪魔されたとか?

だとしたら、天宮烈奈の前で気に食わない俺に対して頭を下げるってのはどうしても気乗りしないんだろうな。

どうしてだか俺は、シンジに対して腹は立たなかった。

コイツにはコイツで何か色々と事情があるのかもしれない。

「まあまあセンセェ。俺の普段の行いが悪いから誤解させちまったんだろうし──────」

俺は小泉にそう言いながら適当に誤魔化す。

「とにかくさ、ドッペルゲンガーはバイクで移動しててこの辺にまだ居るってことがわかったんだからいいじゃねぇか」









俺とドッペルゲンガーは行動範囲が被っている。それだけでも十分なヒントである気がした。



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