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ep6
ep6『さよなら小泉先生』 第三の男
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突然、凄まじい衝撃と共に俺の身体は吹っ飛んだ。
「!?」
畳にすっ飛ばされた俺が目を開けると、鬼の形相をしたシンジが俺を見下ろしていた。
「お前!鏡花姉さんに何しようとしてたんだよ!?」
小学生のくせに結構いいパンチしてるじゃねぇか。
鍛えたらなかなかの逸材になりそうだな、とぼんやり思いながら俺は口を開いた。
「……何って────別に何もしようとはしてねぇけど」
「嘘つけ!さっき姉さんを襲おうとしてたろ!?」
食い気味でシンジが激昂する。
いやいやいや……
「ホントだって。別になんかしようとはしてなくて───────」
「じゃあさっきは何しようとしてたんだよこの変態!二度とウチの神社の鳥居をくぐるなって言っただろうが!?」
またしてもシンジは食い気味で俺を罵ってくる。
「マジだって。てか、センセェからもなんか言ってやってくれよ……」
ぎゃあぎゃあと喚くシンジに辟易とした俺は小泉に助けを求めた。
「そうは言われてもな……」
小泉も困った風にシンジを見ている。
それよりさ、まず否定してくれよそこは。
「お前の存在そのものが邪悪なんだよ!これ以上迷惑掛けるようなら──────」
シンジが一層ヒートアップし、俺の胸ぐらを掴みかけた時だった。
「そこまでにせんきゃあ!」
大きく響くような声でシンジが一喝された。
誰だ?
俺は声の主の居る方向を見た。
そこに立っていたのは、やたらと圧がある中年男性だった。
白い着物に水色の袴。この神社の宮司とか神主だろうか?
「父上!」
シンジが不服そうに声を上げる。
いかに俺が悪どいやつか、という事を説明したげな表情を浮かべている。
シンジの親父か?
ということは──────小泉の叔父ってことになるのか?
確かそんな事を言ってたような気がするが────────
シンジを一瞥もせず、小泉の叔父(?)は俺の所に近付いて来る。
「おみゃあが佐藤ゆうんきゃあ?」
え、あ、はい、と俺はキョドりながら答える。
てか、このオッサン、圧が半端ねぇな。声もクソでかいし。
ふん、とオッサンは鼻を鳴らして俺の姿をまじまじと見た。
「おい、おみゃあ。なんで井戸の中じゃことに入っとったんきゃあ?」
オッサンの問いかけに対し、俺はしどろもどろに答えた。
「えっ……あの、大切なものを失くしてしまって─────それでそれを探しに」
「それでそりゃあ見つかったんきゃあのう?」
オッサンは俺の顔を刺すようにガン見してくる。やっぱり圧がある。
「あ、はい。その……ちゃんと見つけました」
俺は声を上擦らせながら必死で答える。
「佐藤よぉ……どぎゃあな奴じゃ思ようたがおみゃあはまだまだ全然駄目じゃ!」
そう言うとオッサンは俺の頭を乱暴にグシャリと撫でた。
「……え?」
「それに鏡花!おみゃあもおみゃあじゃ!こぎゃあな時は人を呼ばにゃあいけんじゃろうが!一緒になって落ちるじゃことに!!」
小泉は項垂れたように小さく返事する。
「……はい。おっしゃる通りです」
小泉が俺のせいで怒られている。
詳しい状況は理解できないが、それだけは瞬時にわかった。
「……あの!センセェは悪くないです!!俺が全部悪いんで──────」
俺がそう言いかけた瞬間、オッサンがクソデカボイスで言葉を遮った。
「そぎゃあな事はわかっとらあ!」
部屋はシンと静まり返り、俺も小泉もシンジも絶句している。
てか、やっぱり圧が半端ねぇ。
一呼吸おき、オッサンは俺と小泉に向かってこう言った。
「馬鹿タレが!!今からこぎゃあな風でこれから先はどうするんじゃ!?しっかりせにゃあいけんじゃろうが!」
「!?」
畳にすっ飛ばされた俺が目を開けると、鬼の形相をしたシンジが俺を見下ろしていた。
「お前!鏡花姉さんに何しようとしてたんだよ!?」
小学生のくせに結構いいパンチしてるじゃねぇか。
鍛えたらなかなかの逸材になりそうだな、とぼんやり思いながら俺は口を開いた。
「……何って────別に何もしようとはしてねぇけど」
「嘘つけ!さっき姉さんを襲おうとしてたろ!?」
食い気味でシンジが激昂する。
いやいやいや……
「ホントだって。別になんかしようとはしてなくて───────」
「じゃあさっきは何しようとしてたんだよこの変態!二度とウチの神社の鳥居をくぐるなって言っただろうが!?」
またしてもシンジは食い気味で俺を罵ってくる。
「マジだって。てか、センセェからもなんか言ってやってくれよ……」
ぎゃあぎゃあと喚くシンジに辟易とした俺は小泉に助けを求めた。
「そうは言われてもな……」
小泉も困った風にシンジを見ている。
それよりさ、まず否定してくれよそこは。
「お前の存在そのものが邪悪なんだよ!これ以上迷惑掛けるようなら──────」
シンジが一層ヒートアップし、俺の胸ぐらを掴みかけた時だった。
「そこまでにせんきゃあ!」
大きく響くような声でシンジが一喝された。
誰だ?
俺は声の主の居る方向を見た。
そこに立っていたのは、やたらと圧がある中年男性だった。
白い着物に水色の袴。この神社の宮司とか神主だろうか?
「父上!」
シンジが不服そうに声を上げる。
いかに俺が悪どいやつか、という事を説明したげな表情を浮かべている。
シンジの親父か?
ということは──────小泉の叔父ってことになるのか?
確かそんな事を言ってたような気がするが────────
シンジを一瞥もせず、小泉の叔父(?)は俺の所に近付いて来る。
「おみゃあが佐藤ゆうんきゃあ?」
え、あ、はい、と俺はキョドりながら答える。
てか、このオッサン、圧が半端ねぇな。声もクソでかいし。
ふん、とオッサンは鼻を鳴らして俺の姿をまじまじと見た。
「おい、おみゃあ。なんで井戸の中じゃことに入っとったんきゃあ?」
オッサンの問いかけに対し、俺はしどろもどろに答えた。
「えっ……あの、大切なものを失くしてしまって─────それでそれを探しに」
「それでそりゃあ見つかったんきゃあのう?」
オッサンは俺の顔を刺すようにガン見してくる。やっぱり圧がある。
「あ、はい。その……ちゃんと見つけました」
俺は声を上擦らせながら必死で答える。
「佐藤よぉ……どぎゃあな奴じゃ思ようたがおみゃあはまだまだ全然駄目じゃ!」
そう言うとオッサンは俺の頭を乱暴にグシャリと撫でた。
「……え?」
「それに鏡花!おみゃあもおみゃあじゃ!こぎゃあな時は人を呼ばにゃあいけんじゃろうが!一緒になって落ちるじゃことに!!」
小泉は項垂れたように小さく返事する。
「……はい。おっしゃる通りです」
小泉が俺のせいで怒られている。
詳しい状況は理解できないが、それだけは瞬時にわかった。
「……あの!センセェは悪くないです!!俺が全部悪いんで──────」
俺がそう言いかけた瞬間、オッサンがクソデカボイスで言葉を遮った。
「そぎゃあな事はわかっとらあ!」
部屋はシンと静まり返り、俺も小泉もシンジも絶句している。
てか、やっぱり圧が半端ねぇ。
一呼吸おき、オッサンは俺と小泉に向かってこう言った。
「馬鹿タレが!!今からこぎゃあな風でこれから先はどうするんじゃ!?しっかりせにゃあいけんじゃろうが!」
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