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ep6

ep6『さよなら小泉先生』 赤く乱れ咲く花々

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「……あれ?」

井戸の中に落ちたかと思った俺は───────何故か尻餅をついていた。

古井戸を目の前に地面にへたり込んでいる俺。

「???」

目の前の古井戸の上には石の蓋が鎮座している。

動いた形跡は全くない。

さっき、蓋が開いたと思ったんだが────────気のせいだったのか?

俺はもう一度蓋を開けようと試みる。

しかし、今度は何度試してもビクともしなかった。

小一時間ほど石の蓋と格闘した後、俺は蓋を動かすことを諦めた。

──────さっき開いたと思ったのは勘違いだった?

訳が分からないまま、俺は小屋を一旦出た。

「……ん?」

そこで俺は妙な感覚に襲われた。

さっきはまでは昼だったと思ったのに───────もう夕方になってる?

俺は周囲を見渡した。

日は既に沈みかけている。

神社は相変わらずシンと静まりかえっていた。

夕方の時間帯なら大人小泉やシンジが居てもおかしくないが、境内には人の気配は全くなかった。

冷たい風が俺の頬を撫でる。

神社を出ても町全体が静けさに包まれているかのようだった。

誰ともすれ違わない道を歩く。

まるで──────俺しか居ない世界のようだ。

夕暮れ時の風景は茜色に包まれている。

妙な胸騒ぎがする。

その時の俺には──────何か“予感”のようなものがあったのかもしれない。

神社から出た道の角を曲がる。

いつもは駐車場があるはずのそこは畑になっていた。

……畑?

駐車場潰して畑にするなんて事あるか??

逆ならよくある事だが────────

何かがおかしい。

黄昏時の静まり返った町を更に歩く。

ポストの向こう、建て売りの戸建てが何軒か並んでいた辺りは何故か田んぼになっている。

は?

普通、新築に近い戸建を解体するか??

解体して田んぼに??

全てが奇妙すぎる。

俺は何かに呼ばれるように土手沿いの道路を歩いた。

周囲には彼岸花が咲き乱れている。

もうそんな時期だっただろうか?

何度も時間を行き来しているせいなのか、季節の感覚が全くわからない。

さっと風が吹き、赤い彼岸花が僅かに揺れた。

「……佐藤君」

聞き覚えのある声が背後から聞こえる。

まさか。

俺の心臓がドクリと音を立てる。














振り返るとそこに立っていたのは──────────中学生の小泉だった。
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