548 / 1,060
ep6
ep6『さよなら小泉先生』 浮上した重要参考人
しおりを挟む
待てよ?
俺はふと、ある事に気付いてポケットから銀色の缶を取り出した。
例の銀色の缶───────蓋を開け、シンジには見えないようにコンドームを掻き分ける。
缶の一番底にある、小さく折り畳んだ紙片を取り出して広げてみた。
諸星キクコに関する一連の出来事の際に奴等・・の身分証をパクってコピーを取ったものだ。
そう、アイツらは二人組なんだ。
鬼怒川豪志と、あともう一人─────────武者小路 雪平
コピーした身分証を改めて確認した俺は息を呑んだ。
武者小路の学生証。
市内にある私立大学に在籍中である事が記載されていたのだが────────その学部が問題だった。
「薬学部!?」
俺は思わず声を上げた。
何度か確認はしていた筈だが、大学名や学部までは見てはいなかった。
ぶっちゃけ、俺が見てもよくわからんと思ってたからな。
だが────────薬学部ともなれば話は別だ。
当然だが一般人や素人より薬物には詳しいってコトだよな?
だってそれ専門で勉強してんだろ?
それに─────大学のことはよく知らねぇが、薬学部ってのは実習もあるんじゃねぇのか?
一般人より薬物を扱う機会も知識も多いハズだよな。
「あの……どうかされましたか?」
俺がコピー用紙を握り締めて黙り込んだのを不審に思ったのだろう。
シンジが俺の顔を覗き込んだ。
「あ、いや……」
シンジにどう説明すべきだろうか。
俺は慌ててコピーされた身分証の紙を折り畳んだ。
最初から事情を話す?
だけど、一体どこから?
呪いの話なんてシンジからしたら信じられないだろう。
俺は首を振った。
話す必要は無いんじゃないか?
だって──────この世界線に留まる理由なんて無いんだ。
俺は鞄に入れた封筒をチラリと確認した。
鬼怒川鏡花に息を吹き掛けさせた人形
“未来の小泉”の指示通りにするなら──────俺は元に居た世界線、いつもの日常に戻れるんじゃないのか?
だったら、間もなく終わる予定のこの世界の事なんて気にするべきじゃないのかもしれない。
未来の小泉がくれたチャンスを棒に振る訳にはいかないだろう。
シンジの話も滅茶苦茶気にはなるが……今はそれどころじゃないんだ。
俺はすごく雑な誤魔化し方でシンジの問いかけをかわした。
「あ……すいません。ちょっと次の予定が入ってまして──────そろそろ、お暇しますね」
俺はふと、ある事に気付いてポケットから銀色の缶を取り出した。
例の銀色の缶───────蓋を開け、シンジには見えないようにコンドームを掻き分ける。
缶の一番底にある、小さく折り畳んだ紙片を取り出して広げてみた。
諸星キクコに関する一連の出来事の際に奴等・・の身分証をパクってコピーを取ったものだ。
そう、アイツらは二人組なんだ。
鬼怒川豪志と、あともう一人─────────武者小路 雪平
コピーした身分証を改めて確認した俺は息を呑んだ。
武者小路の学生証。
市内にある私立大学に在籍中である事が記載されていたのだが────────その学部が問題だった。
「薬学部!?」
俺は思わず声を上げた。
何度か確認はしていた筈だが、大学名や学部までは見てはいなかった。
ぶっちゃけ、俺が見てもよくわからんと思ってたからな。
だが────────薬学部ともなれば話は別だ。
当然だが一般人や素人より薬物には詳しいってコトだよな?
だってそれ専門で勉強してんだろ?
それに─────大学のことはよく知らねぇが、薬学部ってのは実習もあるんじゃねぇのか?
一般人より薬物を扱う機会も知識も多いハズだよな。
「あの……どうかされましたか?」
俺がコピー用紙を握り締めて黙り込んだのを不審に思ったのだろう。
シンジが俺の顔を覗き込んだ。
「あ、いや……」
シンジにどう説明すべきだろうか。
俺は慌ててコピーされた身分証の紙を折り畳んだ。
最初から事情を話す?
だけど、一体どこから?
呪いの話なんてシンジからしたら信じられないだろう。
俺は首を振った。
話す必要は無いんじゃないか?
だって──────この世界線に留まる理由なんて無いんだ。
俺は鞄に入れた封筒をチラリと確認した。
鬼怒川鏡花に息を吹き掛けさせた人形
“未来の小泉”の指示通りにするなら──────俺は元に居た世界線、いつもの日常に戻れるんじゃないのか?
だったら、間もなく終わる予定のこの世界の事なんて気にするべきじゃないのかもしれない。
未来の小泉がくれたチャンスを棒に振る訳にはいかないだろう。
シンジの話も滅茶苦茶気にはなるが……今はそれどころじゃないんだ。
俺はすごく雑な誤魔化し方でシンジの問いかけをかわした。
「あ……すいません。ちょっと次の予定が入ってまして──────そろそろ、お暇しますね」
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。


体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?


会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる