[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない！〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる！？

ep6

ep6『さよなら小泉先生』 選択肢

俺は一つの考えと感情に支配されたまま─────ただ空を凝視していた。

月は出ず、星も見えない……厚い雲に覆われた息苦しい夜空。

────────母ちゃん。

母ちゃん。

母ちゃんゴメン。

本当にゴメン。

ごめん。

ごめんなさい。

俺は親不孝者だ。

母ちゃんがその命を捨ててまで生かしてくれた息子は最悪のゴミ以下の人間になっちまった。

どこで間違えたんだろう。

母ちゃんはその愛情を確かに俺に示してくれたのに。

爺さんと婆さんも俺を目にかけて大切に育ててくれたのに。

小泉だって──────大人の方も、中学生の方も。

俺を信頼してくれてた筈じゃないか。

なのにどうしてあんな酷い裏切り方が出来るっていうんだ？

俺はクズだ。

生かされる価値もない。

生きていく意味もない。

呪いは解けず、無限に続く永遠みたいな時間のループを繰り返すんだ。

昭和95年4月から昭和96年3月までの期間。

俺が童貞を捨てなければずっと時間はループし続ける。

小泉が居ない今、もう呪いを解くこともヒントも見つからないだろうな。

俺だけが罰を受けられるのならどんなに良かっただろう。

大勢の人を巻き込んで───────この世界は狂い続けたまま同じ時間を繰り返し続けるんだ。

俺1人の勝手な行動で何もかも──────本当に何もかもを失った。

もうどうやっても取り戻せない。元には戻らない。

────────消えたい。

この世から消えて無くなってしまいたい。

生まれて初めてそう思った。

俺はゆっくりと起き上がり、その場に呆然と立ち尽くした。

俺が自分の意思で最後に出来ることが────────一つだけ残されていた事に気付いた。

それは唯一の救いでもあり、ただ一つの贖罪であるようにも思えた。

誰に聞かせるでもなく、俺は一人で呟いた。






「……死のう」