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ep6
ep6『さよなら小泉先生』 14歳の妊娠
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なんだそれ。
どういう意味だ?
冗談だろ?
「それって──────」
どういう事なんですか、と俺は掠れた声でシンジに聞き返す。
混乱する。話が見えてこないし理解できない。
中学生の小泉が妊娠?
堕ろせる週数を超えてた?
確かに以前、大人小泉がそんな事を言っていたような気がするが……確か法律がどうのって─────
「……おれもよく知らないんです。そういう難しい話は────」
シンジは首を振った。
そうだよな。
中学生の俺でもよくわかんねぇ事がまだ小学生のシンジに理解できているとも思えなかった。
「もう法的に堕す事が出来ないならせめて……里子に出す選択を家族や親類は勧めたらしいんです────だけど」
震える声でシンジは続けた。コイツもなんだか辛そうに思えた。
無理に話させるのも酷だろうか。
俺は少し躊躇しながらシンジの次の言葉を待った。
「鏡花姉さんはそれを断固拒否して────家族と親族から勘当されました。それで、お相手男性の実家で……赤ん坊ごと面倒を見てもらうという経緯になったんです」
俺は絶句した。
あの小泉(13)がそんな決断をしたていうのか。
あのアホの子みたいだった小泉(13)が────?
何もかもが信じられない話だった。
「生まれた赤ん坊を養子に出しさえすれば────鏡花姉さんの人生は軌道修正可能だったんです。志望校のランクは落ちたとしても……高校に行って進学することもできた筈ですし」
でも、とシンジは言葉を続けた。
「鏡花姉さんは………それを拒んだんです。自分の人生を全部捨ててでも─────子どもと一緒に生きる道を選んだんです」
座卓の上にポタポタと何かが落ちた。
「おれ自身が………養子なんです。だからこそ─────それを知ってる鏡花姉さんは子どもをどうしても手放せなかったんだと……思います」
「え?」
養子?
シンジがか?
え?
どういう意味?
急に飛び出して来た予想外の話に俺自身も困惑した。
そういえば、前からなんか奇妙な感じだとは思ったんだよな。
シンジは小泉のことを叔母だって言っておきながら『鏡花姉さん』って呼んでて─────
小泉自身も『甥』のシンジだって言ってたよな。
けど、ここの神主は『小泉の叔父』って言ってて……なんか血縁関係がよく見えて来なかったんだけど。
シンジ自身は養子というなら何か辻褄が合う気がした。
「鏡花姉さんはおれの事を弟のように可愛がってくれて……おれが本当の両親に逢いたいって隠れて泣いてた時にもずっと側に居てくれて─────」
涙がボタボタと座卓やシンジの膝に落ちる。
「産みの親と引き離されて生きていく子どもがどんなに寂しいかって知ってるからこそ────鏡花姉さんは……」
俺はポケットからタオルハンカチを出し、シンジに渡した。
「……すいません。辛い事を無理に聞き出すような真似をして────」
シンジは驚いたような表情を浮かべ俺を見た。
「……あの」
シンジは俯きながらタオルハンカチを受け取った。
「どうして……あなたまで泣いてるんですか?」
シンジに言われて初めて俺は────────自分が泣いている事に気付いた。
どういう意味だ?
冗談だろ?
「それって──────」
どういう事なんですか、と俺は掠れた声でシンジに聞き返す。
混乱する。話が見えてこないし理解できない。
中学生の小泉が妊娠?
堕ろせる週数を超えてた?
確かに以前、大人小泉がそんな事を言っていたような気がするが……確か法律がどうのって─────
「……おれもよく知らないんです。そういう難しい話は────」
シンジは首を振った。
そうだよな。
中学生の俺でもよくわかんねぇ事がまだ小学生のシンジに理解できているとも思えなかった。
「もう法的に堕す事が出来ないならせめて……里子に出す選択を家族や親類は勧めたらしいんです────だけど」
震える声でシンジは続けた。コイツもなんだか辛そうに思えた。
無理に話させるのも酷だろうか。
俺は少し躊躇しながらシンジの次の言葉を待った。
「鏡花姉さんはそれを断固拒否して────家族と親族から勘当されました。それで、お相手男性の実家で……赤ん坊ごと面倒を見てもらうという経緯になったんです」
俺は絶句した。
あの小泉(13)がそんな決断をしたていうのか。
あのアホの子みたいだった小泉(13)が────?
何もかもが信じられない話だった。
「生まれた赤ん坊を養子に出しさえすれば────鏡花姉さんの人生は軌道修正可能だったんです。志望校のランクは落ちたとしても……高校に行って進学することもできた筈ですし」
でも、とシンジは言葉を続けた。
「鏡花姉さんは………それを拒んだんです。自分の人生を全部捨ててでも─────子どもと一緒に生きる道を選んだんです」
座卓の上にポタポタと何かが落ちた。
「おれ自身が………養子なんです。だからこそ─────それを知ってる鏡花姉さんは子どもをどうしても手放せなかったんだと……思います」
「え?」
養子?
シンジがか?
え?
どういう意味?
急に飛び出して来た予想外の話に俺自身も困惑した。
そういえば、前からなんか奇妙な感じだとは思ったんだよな。
シンジは小泉のことを叔母だって言っておきながら『鏡花姉さん』って呼んでて─────
小泉自身も『甥』のシンジだって言ってたよな。
けど、ここの神主は『小泉の叔父』って言ってて……なんか血縁関係がよく見えて来なかったんだけど。
シンジ自身は養子というなら何か辻褄が合う気がした。
「鏡花姉さんはおれの事を弟のように可愛がってくれて……おれが本当の両親に逢いたいって隠れて泣いてた時にもずっと側に居てくれて─────」
涙がボタボタと座卓やシンジの膝に落ちる。
「産みの親と引き離されて生きていく子どもがどんなに寂しいかって知ってるからこそ────鏡花姉さんは……」
俺はポケットからタオルハンカチを出し、シンジに渡した。
「……すいません。辛い事を無理に聞き出すような真似をして────」
シンジは驚いたような表情を浮かべ俺を見た。
「……あの」
シンジは俯きながらタオルハンカチを受け取った。
「どうして……あなたまで泣いてるんですか?」
シンジに言われて初めて俺は────────自分が泣いている事に気付いた。
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