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ep6
ep6『さよなら小泉先生』 “さよなら小泉先生”
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この中年のオッサンが副担任?
何を言ってるんだ?お前なんか知らんし。
「は?」
俺はオッサンを睨みつけた。
「てかさ、小泉見てね?」
さっきから探してんだけど、と俺が言うとオッサンはニコニコと答えた。
「ん?誰のこと?……あ、もしかして─────」
夏休み中にカノジョでも出来たのかい、とオッサンは俺の頭をポンポンとする。
「ハァ!?小泉が彼女なワケねぇだろ?あんなガサツな女───────」
おや、とオッサンは意外そうに呟く。
「どこのクラスの子なんだい?そんなに必死に探してるって事は……カノジョじゃないとしたら気があるとか?」
佐藤君も隅に置けないねぇ、とオッサンは少し嬉しそうに笑った。
てか、なんでちょっと嬉しそうなんだよ。意味わかんねぇし。
さっきからコイツは何を言ってるんだ?
「だからさ!ウチのクラスの副担任で美術の教師の小泉だってば!」
オッサンこそ誰なんだよキメェな、と俺が吐き捨てるように言うとオッサンは笑った。
「ん?そう意地悪なことを言わないでよ、佐藤君。僕がキミのクラスの副担任で美術の教員じゃないか」
休みボケで僕の事を忘れちゃったのかい?畑中だよ。酷いなあ、とオッサンはボリボリと頭を掻いた。
は?
畑中と名乗るこのオッサンはどうやら教師らしいというのは解ったが─────
「美術?」
こんなオッサン教師なんて居たっけ?
見たことねぇんだが?
例えばさ、数学や英語だと学年ごとに教師が違うことってあるだろ?
1年の英語の教師と3年の英語の教師がそれぞれ別に居るとかさ。
美術の教師って二人居たっけ??
「……そうだっけ?」
俺が首を傾げると畑中は俺に問いかけた。
「こんなに朝早くに、何か用でもあったのかな?」
いや、別に用って程じゃ、と俺は答えを濁した。
何かがおかしい。
妙な胸騒ぎがどんどんと強くなる。
「なあ、先生。ちょっと美術準備室って見ていいか?」
俺がそう言うと畑中はふむふむと頷いた。
「珍しいこともあるもんだねぇ。まあ、いいけど─────」
佐藤君は何かの罰ゲームでもやらされてるのかい?と言いながら畑中は美術準備室の鍵を開けてくれた。
まあ、話のわかるオッサンで助かったが───────
美術準備室に足を踏み入れた俺は絶句した。
いつもの見慣れた光景はどこにもなかった。
小泉によって勝手にカスタマイズされ、アニメのポスターやフィギュアで埋め尽くされ、小型冷蔵庫が持ち込まれていたあの『私室』は影も形も無い。
教材や画材が入ったダンボールが山積みにされ、無造作に置かれたキャンバスやイーゼルには埃が被っていた。
『ただの物置』
──────本来の美術準備室としては正しいあり方である筈なのに。
俺は言葉を失ったまま、周囲を漁った。
デッサン用の石膏モデルに画用紙の束。彫刻用の木材に適当に積み上げられた写生用の画板。
どこを探しても『普通の美術準備室』にあるような物しか見つからなかった。
モンエナの缶も、ブラックサンダーも。
ジャラジャラと鬱陶しく飾られていたアニメキャラのラバーストラップや缶バッジの一個も見当たらない。
美術準備室からは─────────小泉が居た痕跡が跡形もなく消えていた。
何を言ってるんだ?お前なんか知らんし。
「は?」
俺はオッサンを睨みつけた。
「てかさ、小泉見てね?」
さっきから探してんだけど、と俺が言うとオッサンはニコニコと答えた。
「ん?誰のこと?……あ、もしかして─────」
夏休み中にカノジョでも出来たのかい、とオッサンは俺の頭をポンポンとする。
「ハァ!?小泉が彼女なワケねぇだろ?あんなガサツな女───────」
おや、とオッサンは意外そうに呟く。
「どこのクラスの子なんだい?そんなに必死に探してるって事は……カノジョじゃないとしたら気があるとか?」
佐藤君も隅に置けないねぇ、とオッサンは少し嬉しそうに笑った。
てか、なんでちょっと嬉しそうなんだよ。意味わかんねぇし。
さっきからコイツは何を言ってるんだ?
「だからさ!ウチのクラスの副担任で美術の教師の小泉だってば!」
オッサンこそ誰なんだよキメェな、と俺が吐き捨てるように言うとオッサンは笑った。
「ん?そう意地悪なことを言わないでよ、佐藤君。僕がキミのクラスの副担任で美術の教員じゃないか」
休みボケで僕の事を忘れちゃったのかい?畑中だよ。酷いなあ、とオッサンはボリボリと頭を掻いた。
は?
畑中と名乗るこのオッサンはどうやら教師らしいというのは解ったが─────
「美術?」
こんなオッサン教師なんて居たっけ?
見たことねぇんだが?
例えばさ、数学や英語だと学年ごとに教師が違うことってあるだろ?
1年の英語の教師と3年の英語の教師がそれぞれ別に居るとかさ。
美術の教師って二人居たっけ??
「……そうだっけ?」
俺が首を傾げると畑中は俺に問いかけた。
「こんなに朝早くに、何か用でもあったのかな?」
いや、別に用って程じゃ、と俺は答えを濁した。
何かがおかしい。
妙な胸騒ぎがどんどんと強くなる。
「なあ、先生。ちょっと美術準備室って見ていいか?」
俺がそう言うと畑中はふむふむと頷いた。
「珍しいこともあるもんだねぇ。まあ、いいけど─────」
佐藤君は何かの罰ゲームでもやらされてるのかい?と言いながら畑中は美術準備室の鍵を開けてくれた。
まあ、話のわかるオッサンで助かったが───────
美術準備室に足を踏み入れた俺は絶句した。
いつもの見慣れた光景はどこにもなかった。
小泉によって勝手にカスタマイズされ、アニメのポスターやフィギュアで埋め尽くされ、小型冷蔵庫が持ち込まれていたあの『私室』は影も形も無い。
教材や画材が入ったダンボールが山積みにされ、無造作に置かれたキャンバスやイーゼルには埃が被っていた。
『ただの物置』
──────本来の美術準備室としては正しいあり方である筈なのに。
俺は言葉を失ったまま、周囲を漁った。
デッサン用の石膏モデルに画用紙の束。彫刻用の木材に適当に積み上げられた写生用の画板。
どこを探しても『普通の美術準備室』にあるような物しか見つからなかった。
モンエナの缶も、ブラックサンダーも。
ジャラジャラと鬱陶しく飾られていたアニメキャラのラバーストラップや缶バッジの一個も見当たらない。
美術準備室からは─────────小泉が居た痕跡が跡形もなく消えていた。
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