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ep6
ep6『さよなら小泉先生』 正当な手順に則った口減らし
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着替えて朝食を済ませて家を出る。
この時間になっても相変わらず小泉からの連絡は無かった。
少し不安になりながらも神社への道を急ぐ。
登校するには早いが、いつものルーティンをこなすには遅い時間。
神社に着くと俺は真っ直ぐに小泉の居る離れの部屋へと向かった。
いつものようにドアをノックする。
返事はない。
少し待ち、何度かノックするが人の気配は無い。
小泉はもう学校は向かったのか?
ここに居ないって事はそうなんだろう。
たまに早く来て仕事してる時もあるもんな。
まあ、時々そういう日があるし、珍しい事じゃない。
その場を離れ、学校に向かおうとした俺はふと──────違和感に気付く。
小泉の居る離れのドアはこんなに傷んで居ただろうか───────?
風雨に晒され、埃だらけのドアと窓。
地面は草が生い茂り、少し荒れているような印象を受けた。
確かに、小泉は片付けが苦手で部屋も散らかし放題だが───────
離れの建物自体が不自然に劣化しているような奇妙な感覚。
なんだか嫌な予感がした。
足早にその場を立ち去り、学校へ急いだ。
早すぎる時間の登校。
女子バスケ部と野球部以外が朝練をしている以外には誰もいない敷地内。
ほぼ無人の校舎内はシンと静まりかえっている。
俺の足は美術準備室へと向かっていた。
言い知れぬ不安で胸が早鐘のように鳴る。
今までにないことだった。
美術準備室の前に立った俺は少し躊躇し、ドアに手を掛けたまま動けずにいた。
俺は何を心配してるんだろう。
多分、俺の勝手な勘違いだ。そうだろ?
いつものようにノックもせず、勝手に準備室に入る。
きっと小泉は顔も上げずに書き物か何かに没頭してて─────
『なんだ、佐藤か』って投げやりに言うんだ。
俺は小型冷蔵庫を勝手に開けて中の飲み物をかっぱらって─────
ついでにブラックサンダーも頂いて2個3個、齧るんだ。
──────そのつもりだった。
ドアに手を掛け、勢いよく開けたはずなのに。
ドアは閉まっている。
開かないんだ。
「え?」
俺の動きが止まる。
鍵が掛かってる?
中からか?
いや。
俺は首を振った。
小泉が中から鍵を掛けるって事はまずないんだ。
だとしたら。
小泉はまだここに来ていない?
俺は隣の美術室に移動した。
美術室も鍵が掛かっている。
小泉はまだ学校に来ていない?
何度試しても美術室も美術準備室も開かない。
教室か、或いは職員室か──────
小泉を探して校内を移動しようとした時だった。
「やあ、随分と早いんだねぇ」
背後から声を掛けられた俺はビクリとして振り返った。
おはよう、とニコニコとした様子でそこに立っていたのは、小太りの中年男性だった。
黒のフレームのダサい眼鏡にボーボーとした顎髭。
一度も見たことのない人物だった。
生徒の保護者には見えない。
「どうしたんだい。珍しいねぇ、佐藤君がこんなに朝早く登校だなんて」
いつもこうならいいんだけどねぇ、と小太りの中年男性は愛想良く笑っている。
何で俺の名前を知っている?
「は?アンタ誰だよ?」
俺が訊ねた表情がよほど怪訝そうだったのだろう。
小太りの中年男性は首をすくめた。
「酷いねぇ、佐藤君。夏休みの間に副担任の僕の顔を忘れちゃったっていうのかい?」
は?
コイツは何を言ってるんだ?
え?
────────副担任?
この時間になっても相変わらず小泉からの連絡は無かった。
少し不安になりながらも神社への道を急ぐ。
登校するには早いが、いつものルーティンをこなすには遅い時間。
神社に着くと俺は真っ直ぐに小泉の居る離れの部屋へと向かった。
いつものようにドアをノックする。
返事はない。
少し待ち、何度かノックするが人の気配は無い。
小泉はもう学校は向かったのか?
ここに居ないって事はそうなんだろう。
たまに早く来て仕事してる時もあるもんな。
まあ、時々そういう日があるし、珍しい事じゃない。
その場を離れ、学校に向かおうとした俺はふと──────違和感に気付く。
小泉の居る離れのドアはこんなに傷んで居ただろうか───────?
風雨に晒され、埃だらけのドアと窓。
地面は草が生い茂り、少し荒れているような印象を受けた。
確かに、小泉は片付けが苦手で部屋も散らかし放題だが───────
離れの建物自体が不自然に劣化しているような奇妙な感覚。
なんだか嫌な予感がした。
足早にその場を立ち去り、学校へ急いだ。
早すぎる時間の登校。
女子バスケ部と野球部以外が朝練をしている以外には誰もいない敷地内。
ほぼ無人の校舎内はシンと静まりかえっている。
俺の足は美術準備室へと向かっていた。
言い知れぬ不安で胸が早鐘のように鳴る。
今までにないことだった。
美術準備室の前に立った俺は少し躊躇し、ドアに手を掛けたまま動けずにいた。
俺は何を心配してるんだろう。
多分、俺の勝手な勘違いだ。そうだろ?
いつものようにノックもせず、勝手に準備室に入る。
きっと小泉は顔も上げずに書き物か何かに没頭してて─────
『なんだ、佐藤か』って投げやりに言うんだ。
俺は小型冷蔵庫を勝手に開けて中の飲み物をかっぱらって─────
ついでにブラックサンダーも頂いて2個3個、齧るんだ。
──────そのつもりだった。
ドアに手を掛け、勢いよく開けたはずなのに。
ドアは閉まっている。
開かないんだ。
「え?」
俺の動きが止まる。
鍵が掛かってる?
中からか?
いや。
俺は首を振った。
小泉が中から鍵を掛けるって事はまずないんだ。
だとしたら。
小泉はまだここに来ていない?
俺は隣の美術室に移動した。
美術室も鍵が掛かっている。
小泉はまだ学校に来ていない?
何度試しても美術室も美術準備室も開かない。
教室か、或いは職員室か──────
小泉を探して校内を移動しようとした時だった。
「やあ、随分と早いんだねぇ」
背後から声を掛けられた俺はビクリとして振り返った。
おはよう、とニコニコとした様子でそこに立っていたのは、小太りの中年男性だった。
黒のフレームのダサい眼鏡にボーボーとした顎髭。
一度も見たことのない人物だった。
生徒の保護者には見えない。
「どうしたんだい。珍しいねぇ、佐藤君がこんなに朝早く登校だなんて」
いつもこうならいいんだけどねぇ、と小太りの中年男性は愛想良く笑っている。
何で俺の名前を知っている?
「は?アンタ誰だよ?」
俺が訊ねた表情がよほど怪訝そうだったのだろう。
小太りの中年男性は首をすくめた。
「酷いねぇ、佐藤君。夏休みの間に副担任の僕の顔を忘れちゃったっていうのかい?」
は?
コイツは何を言ってるんだ?
え?
────────副担任?
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