[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep6

ep6『さよなら小泉先生』 結成、暗闇の中の研究部

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小泉らしいと言えば小泉らしいのかもしれない。

「へぇ!どんなの描いてんのか見せてくれよ!」

そういや小泉が描いた絵って見たことなかったよな、と思った俺は何気なくそう言った。

「えー!そんな、まだ人に見せられるようなレベルじゃ無いし……」

小泉(中学生)は恥ずかしそうにブンブンと手を振った。

「まあ、いいのが描けたら見せてくれよ。いつでもいいからさ」

小泉(中学生)はやや照れた様子でコクンと頷いた。

俺達が座っている横には沢山の漫画本や雑誌が積み上げられている。

「じゃあさ、学校では絵を描いて過ごしてさ、放課後はここで漫画とか読んで過ごしてるってことか?」

まあ、そんなとこだよ、と小泉(中学生)はどこか寂しそうに呟いた。

「家だと怒られるからここで夜まで一人で漫画読んで目に焼き付けて……学校で思い出しながらアレコレ描いてるの」

なるほど、一人で“漫画研究部”みたいな感じか。ウチの学校って田舎だから漫研とか無いからな。

いくら小泉(中学生)がオタクだからって言ってもさ、やっぱずっと一人ってのもなかなか辛い部分もあるのかもしれない。

そう思った俺はダメ元でこんな提案をしてみることにした。

「……なあ、あのさ、よかったら俺も仲間に入れてくんね?」

「え?」

小泉(中学生)は驚いたように俺の顔を見る。

「俺さ、流行りの漫画とかに疎くて……読んでみたいなって思うことはあるんだけどウチって金なくて貧乏だからさ」

だから、嫌じゃなかったら俺にオススメの漫画とか読ませてくんね?と俺はなるべく自然な感じを装って言ってみた。

そうなんだ、と小泉は意外そうに呟いた。

「俺には後輩が居るんだけどさ、そいつンチってレトロゲームとか漫画とか面白ぇモンいっぱいあんだよ。前はよく遊びに行ってたんだけど────」

最近、ソイツに彼女が出来たっぽくて行きづらくなっちゃってさ、と“孤独感”をアピールすることも忘れなかった。

「そっか……そういうことなら」

小泉(中学生)は少しはにかみながら答えた。

「───佐藤くんさえ良かったら、いつでも来てくれていいよ!」

お菓子も漫画も沢山あるからね、と呟く小泉(中学生)は少し嬉しそうにも思えた。

いくら小泉だって言ってもさ、やっぱ中学生だろ?

学校でも孤立して家でも居場所なくて、ってのは寂しかったんだろうな。








こうして、幽霊とも生霊ともつかない中学生の小泉と俺は─────二人だけの“漫画研究部”を結成したのだった。
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