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ep6
ep6『さよなら小泉先生』 改修工事
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神社で──────改修工事?
俺は一瞬ドキリとした。
「え?どこ工事すんの?」
まさか鳥居じゃないよな?と訊く俺に対し、小泉は怪訝そうな表情を浮かべた。
「鳥居?どうして鳥居を工事するって思うんだ?」
敷地内にある建物の一部が老朽化していてな、と小泉は答えた。
「老朽化って?特にボロいとこなんてあったか?」
「本殿はマメに補修や改修を繰り返してるから綺麗なんだがな」
小泉はやや投げやり気味に呟く。
「本殿の裏手にある────古くからある井戸を祀ってある建物が老朽化で倒壊の恐れがあるんだ」
危ないから暫くはうちに来るんじゃないぞ、と小泉は念押しする。
「────井戸って」
小泉のとこの神社ってさ、前にも言ったと思うけどそこそこ敷地がデケェんだよ。
敷地内に摂社とか末社とかいう小さい神社みたいなのが点在してるんだ。
「井戸なんかあったっけ?見たことないなあ」
「人が落ちたりすると危ないからな。普段は開かないように厳重に管理されてる」
とにかく、と小泉は俺を追い払うような仕草を見せた。
「今日は放課後に県東部の教職員の会合があるんだ。書類を急ぎで間に合わせなきゃならんからもう出てってくれ」
「わーったよセンセェ」
小泉がQUOカードなんて寄越して来たって事はガチで追い込みなんだろう。
てか、期日が判ってんなら間に合うように仕上げとけばいいのにな。
まあ、夏休みの宿題を未だに提出してない俺が言うのもなんなんだけどさ。
「まー頑張ってよ、センセェ」
俺はヒラヒラと手を振ると美術準備室を後にした。
小泉は顔を上げず、書き物に没頭したまま無言だった。
まあいいか、QUOカード貰ったしな。これで夕飯にはありつけるだろう。
教室に向かいながら俺はぼんやりと考えた。
───────神社で改修工事か。
しかも古井戸だって?
立ち入り禁止?
なんだか気になるじゃねぇか。
しかも、小泉は今日の放課後に何かの会合があるとか言ってたっけ?
てことはさ。
小泉は今日の帰宅が遅くなるって事だろ?
奇妙な古井戸に興味が湧いた俺は、放課後にコッソリと神社に行ってみることにした。
俺は一瞬ドキリとした。
「え?どこ工事すんの?」
まさか鳥居じゃないよな?と訊く俺に対し、小泉は怪訝そうな表情を浮かべた。
「鳥居?どうして鳥居を工事するって思うんだ?」
敷地内にある建物の一部が老朽化していてな、と小泉は答えた。
「老朽化って?特にボロいとこなんてあったか?」
「本殿はマメに補修や改修を繰り返してるから綺麗なんだがな」
小泉はやや投げやり気味に呟く。
「本殿の裏手にある────古くからある井戸を祀ってある建物が老朽化で倒壊の恐れがあるんだ」
危ないから暫くはうちに来るんじゃないぞ、と小泉は念押しする。
「────井戸って」
小泉のとこの神社ってさ、前にも言ったと思うけどそこそこ敷地がデケェんだよ。
敷地内に摂社とか末社とかいう小さい神社みたいなのが点在してるんだ。
「井戸なんかあったっけ?見たことないなあ」
「人が落ちたりすると危ないからな。普段は開かないように厳重に管理されてる」
とにかく、と小泉は俺を追い払うような仕草を見せた。
「今日は放課後に県東部の教職員の会合があるんだ。書類を急ぎで間に合わせなきゃならんからもう出てってくれ」
「わーったよセンセェ」
小泉がQUOカードなんて寄越して来たって事はガチで追い込みなんだろう。
てか、期日が判ってんなら間に合うように仕上げとけばいいのにな。
まあ、夏休みの宿題を未だに提出してない俺が言うのもなんなんだけどさ。
「まー頑張ってよ、センセェ」
俺はヒラヒラと手を振ると美術準備室を後にした。
小泉は顔を上げず、書き物に没頭したまま無言だった。
まあいいか、QUOカード貰ったしな。これで夕飯にはありつけるだろう。
教室に向かいながら俺はぼんやりと考えた。
───────神社で改修工事か。
しかも古井戸だって?
立ち入り禁止?
なんだか気になるじゃねぇか。
しかも、小泉は今日の放課後に何かの会合があるとか言ってたっけ?
てことはさ。
小泉は今日の帰宅が遅くなるって事だろ?
奇妙な古井戸に興味が湧いた俺は、放課後にコッソリと神社に行ってみることにした。
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