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ep6『夢千夜』 “壊れた夜” 第二十四夜

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──────“痛くて熱い”ってことか。

まるで火傷みたいだな。似た感じなんだろうか?

俺には一生わからない痛みなんだろう。

小泉は顔を少し歪ませながらも健気に耐えているように見えた。

だけど、それがますます俺を苛立たせた。

さっきまでこんなこと、考えもしなかったのに───────

理由はわからない。

だけど、俺は自分ではどうしようも無い感情に支配されていた。

────よく考えたらさ。

なんで俺がここまで小泉に気遣ってやんなきゃいけねぇんだ?

そんな義務は無いだろ?

俺だってバイトでクタクタで、これから寝ようって時間だったんだ。

そんな時間にいきなり呼び出しやがってさ。

挙げ句の果てに鳥居を破壊したと来たもんだ。

そもそも─────小泉はこんな時間になんで車で出掛けてたんだよ?

何もかも小泉の自業自得じゃねぇか。

どうして俺が尻拭いしてやんなきゃいけねぇんだよ。

突如頭に浮かび上がって来た『尻拭い』というキーワード。

俺は動きを止めないまま小泉を見た。

俺が勢いよく打ち付けている小泉の尻は思ったより肉付きがいい。

最初は小泉とセックスなんて冗談じゃねぇって思ったけど、やってみたら案外どうとでもなるもんだな。

『尻拭い』だとしても─────まあ悪くないかもしれない。

どうせ時間も戻るし、二人とも記憶はゴッソリ無くなるんだしさ。

────だったら。

ちょっとくらい好き勝手してもバチは当たらねぇよな。

“時間を戻る作業”に協力してやってるってだけで、もう十分に義理は果たしてんじゃねぇか。

俺はやや遠慮していた動きを─────ゆっくりと加速させた。

「……っ!!」

小泉が声にならない悲鳴を上げる。

「……な、なあ?」

小泉が震える声で言葉を発する。

息をするのもやっとのようだ。

「……その……っ……これって……『正しい』……のか?」

「────『正しい』?」

俺は聞き返す。

こんな状況で急になんだ?

禅問答か?道徳の授業かよ?

「────そりゃ、『正しい』か『正しくないか』で言ったらやっぱ間違ってんだろ?」

教師と生徒でセックスしていい訳が無いだろうからな、と俺が答えると小泉は首を振った。

「……違……そういう……意味じゃなくて……」

「じゃあどういう意味だよ?」

俺が聞き返すと小泉は苦しそうにこう絞り出した。

「……なんか……お腹の中……臓器がメチャクチャに……掻き回されてるみたいで……」

これって……“正しい”位置、なのか?……と小泉は俺の顔を涙目で見上げた。

『掻き回す』か。

セックスって女側はそんな感覚なのか?

それとも小泉だけ?

え?

もしかして俺、なんか間違ってる?

「????」

「……え?」

小泉は痛みに耐えながらも不安そうな表情を浮かべる。

確かに、さっきからうっすらと奥の方に“当たってる”感じはするけど─────

それがなんなのか判らないし、正しいかどうかもわからない。

[あともうちょっとなんだから我慢しろよ]

そんな台詞が脳裏をよぎる。

俺は無言のまま、突き上げるように腰を打ち付けた。

「……ひっ!!?」

小泉がまた悲鳴を上げた。多分さっきのはかなり痛かったんだろうな。






だって俺の方もハッキリと“何か”にぶち当たった感覚がしたもん。
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