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ep6『夢千夜』 “壊れた夜” 第二十一夜

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「……あ……上がった!……確かに……お前……頑張っ……」

小泉は目に涙を浮かべながら絞り出すように答える。

「だろ?────まあ何回も同じ九月を繰り返してっから小テストの解答、覚えちまったってのもあるけど」

俺はなるべくそっと────小泉の意識を分散させるように会話をしつつ『入口』の突破を試みた。

「前より提出物だって真面目に出してるだろ?」

俺がもう一度、静かに指を奥に滑り込ませると小泉は身体を小さく震わせる。

「……っ!頑張ってる……!佐藤……最近は……前よりちゃんと……んっ……」

痛い?センセェ、と俺は慎重に小泉に訊ねた。

潤んだ目のまま、小泉は視線を逸らす事すら出来ない様子にも思えた。

「……えっと……大丈夫だ……そこまで激痛って……程でも……」

そっか、と俺は頷く。

「……俺さ、頑張っただろ?─────だからセンセェも」

やれば出来るんじゃね?と俺は小泉を励ました。

我ながら何を言ってるんだか、って感じだが小泉の意識を会話に向かせるにはこうするしか無いからな。

「はい。深呼吸して?センセェ」

「……えっ……深呼吸って……急に……言われても……っ」

荒い呼吸のまま、小泉は必死な様子で受け答えをする。

まあ、この状況で急に言われても難しいよな。

「ほら。俺の言う通りにするんだろ?ちゃんと言うこと聞きなって─────ゆっくり大きく息を吸って…………ゆっくり大きく吐いて」

俺がそう言うと小泉は素直にそのまま大きく呼吸する。

「いい調子じゃん──────はい、またゆっくり大きく息を吸って………ゆっくり大きく吐いて」

小泉は時折ビクンとした表情を浮かべながらも従順に俺の指示のままに呼吸をしている。

「いい感じ、いい感じ─────はい、ゆっくり大きく吸って………ゆっくり大きく吐いて」

そのままのペースで続けて、と言いながら俺は静かに自分の身体を動かしていく。

小泉ってこんなに素直な面もあるんだな。

小泉に向かって指示を出して従わせるってのはなかなか面白いシチュだな、と思いつつ俺はふと我に帰る。

面白いシチュも何も、今ってセックスの真っ最中じゃねぇか。

面白えな。

俺の中で何かが弾けた気がした。

小泉は額に汗をびっしり掻きながらずっと深呼吸を続けている。

俺は小泉の頭をもう一度撫でた。

「……センセェ、頑張ったじゃん」

……え、と呼吸を乱さない程度に小泉が小さく反応する。

「……今は痛くないか?大丈夫、センセェ」

俺の問いかけに対し、小泉は深呼吸を続けながら途切れ途切れに答えた。

「……なんか……ちょっと……痛いけど……んっ……まだ……平気……」

「そっか。なら良かった。もう途中まで入ってるんだけど」

俺がそう言うと小泉は朦朧とした様子でまた答える。

深呼吸し過ぎると酸欠になりかねないってどっかで聞いたことあるしな。

やり過ぎもよくないよな。

「……指……また……入ってる……のか……?」

……今……何本だ?と訊いてくる小泉に俺はこう答えた。








「深呼吸、そろそろ止めていいぜ─────もう本体が入ってるし」


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