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ep6
ep6『夢千夜』 “壊れた夜” 第七夜
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でもさ、コレってもう実質一択じゃねぇのか?
目の前で裸ワイシャツの小泉が座ってんだぜ?
もう決まりだろこんなの。
俺は小泉にバレないレベルで深く深呼吸した。
腹を括んなきゃいけねぇのは俺の方かもしれないな。
このまま時間を戻ることが出来なかったら───────
小泉は良くて数百万、最悪の場合は数千万の借金を背負う事になるだろう。
素の状態でも微妙なのに、数千万の借金持ちの女なんて嫁の貰い手が無いのは明白だ。
返済が終わる頃には還暦を迎えてそうでシャレにならない。
これってさ、鳥居だけじゃなくて小泉の人生ごと破壊したようなモンじゃねぇか。
けど、それじゃあんまりにも惨すぎる。
もしも小泉の“覚悟”が完了してるなら──────
ほんの数十分、お互いに少し我慢するだけでそれを回避出来る。
人生を救う為の代償として考えるなら、むしろ安すぎるまである。
小泉が借金を背負って─────教員や巫女を辞めて別のハイリスクな仕事に就くってのは俺にとっても痛手だ。
何せ、“呪い”に関するアレコレを請け負ってくれるのはコイツしかいねぇからな。
俺達の利害は一致する。
だとしたら。
結論はお互いに─────とっくの昔に出てるじゃないか。
躊躇してる場合じゃねぇよな。
時間や危機は迫ってるんだ。そう悠長にはしてられねぇ。そうだよな。
なあ、と俺は小泉の顔を見ながら言った。
「───これってさ、『目的じゃなくて手段』でしかないだろ?」
そこんとこ割り切ってさ、センセェも頑張って耐えられるか?と俺は静かに言った。
少しの沈黙の後、小泉は小さく頷いた。
「……ああ」
「なら決まりだな」
俺はそう言うと立ち上がった。
向かいの小泉が肩をビクリとさせた。
めっちゃ緊張してんじゃん。
「とりあえずここじゃなんだから……こっちの部屋だな」
俺と小泉は仏壇のある部屋に移動した。
枕が二つ置かれた布団。
枕元にあるボックスティッシュとウェットティッシュ、缶から出したゴム。
インパクトしかない光景だ。
「……っ!」
小泉の動揺がこちらにも伝わってくる。
まあな。生々しいよな。わかるぜ。俺もそう思うし。
「えっと……とりあえず電気消すか?」
俺は頭上にある電気のコードを引っ張った。
(ちなみにコードの先には死んだ婆さんが折り紙で作った球状の飾りがぶら下がってる。田舎あるあるだよな)
豆電球状態の部屋は微弱なオレンジ色で満たされる。
「……っ!!」
小泉が息を呑んだのがこちらにも伝わってくる。
「……なあ、この状態のまま、その……実行するのか?」
「え?ダメなのか?」
思わず俺は聞き返す。
まあ豆電球の灯りってさ、確かに結構明るいよな……
小泉が躊躇するのも分からんでもないが────
「……あの、悪いんだが……もう少し暗くして貰えないか?」
小泉が電気コードをもう一度引っ張る。
途端に部屋は真っ暗になった。
「いやいやいや……これじゃなんにも見えねぇだろうが」
思わず俺も声を上げる。
「センセェも知ってるだろ?俺、童貞だぜ?こう暗くちゃ何も出来ねぇだろうが」
それはそうだが、と小泉はオロオロしたような声で呟く。
「……でも、あんまり明るいと、その……」
小泉も相当動揺しているようだ。
けど、照明の強さとか関係なくさ─────今から俺達はお互いの全部を曝け出すんだろ?
目の前で裸ワイシャツの小泉が座ってんだぜ?
もう決まりだろこんなの。
俺は小泉にバレないレベルで深く深呼吸した。
腹を括んなきゃいけねぇのは俺の方かもしれないな。
このまま時間を戻ることが出来なかったら───────
小泉は良くて数百万、最悪の場合は数千万の借金を背負う事になるだろう。
素の状態でも微妙なのに、数千万の借金持ちの女なんて嫁の貰い手が無いのは明白だ。
返済が終わる頃には還暦を迎えてそうでシャレにならない。
これってさ、鳥居だけじゃなくて小泉の人生ごと破壊したようなモンじゃねぇか。
けど、それじゃあんまりにも惨すぎる。
もしも小泉の“覚悟”が完了してるなら──────
ほんの数十分、お互いに少し我慢するだけでそれを回避出来る。
人生を救う為の代償として考えるなら、むしろ安すぎるまである。
小泉が借金を背負って─────教員や巫女を辞めて別のハイリスクな仕事に就くってのは俺にとっても痛手だ。
何せ、“呪い”に関するアレコレを請け負ってくれるのはコイツしかいねぇからな。
俺達の利害は一致する。
だとしたら。
結論はお互いに─────とっくの昔に出てるじゃないか。
躊躇してる場合じゃねぇよな。
時間や危機は迫ってるんだ。そう悠長にはしてられねぇ。そうだよな。
なあ、と俺は小泉の顔を見ながら言った。
「───これってさ、『目的じゃなくて手段』でしかないだろ?」
そこんとこ割り切ってさ、センセェも頑張って耐えられるか?と俺は静かに言った。
少しの沈黙の後、小泉は小さく頷いた。
「……ああ」
「なら決まりだな」
俺はそう言うと立ち上がった。
向かいの小泉が肩をビクリとさせた。
めっちゃ緊張してんじゃん。
「とりあえずここじゃなんだから……こっちの部屋だな」
俺と小泉は仏壇のある部屋に移動した。
枕が二つ置かれた布団。
枕元にあるボックスティッシュとウェットティッシュ、缶から出したゴム。
インパクトしかない光景だ。
「……っ!」
小泉の動揺がこちらにも伝わってくる。
まあな。生々しいよな。わかるぜ。俺もそう思うし。
「えっと……とりあえず電気消すか?」
俺は頭上にある電気のコードを引っ張った。
(ちなみにコードの先には死んだ婆さんが折り紙で作った球状の飾りがぶら下がってる。田舎あるあるだよな)
豆電球状態の部屋は微弱なオレンジ色で満たされる。
「……っ!!」
小泉が息を呑んだのがこちらにも伝わってくる。
「……なあ、この状態のまま、その……実行するのか?」
「え?ダメなのか?」
思わず俺は聞き返す。
まあ豆電球の灯りってさ、確かに結構明るいよな……
小泉が躊躇するのも分からんでもないが────
「……あの、悪いんだが……もう少し暗くして貰えないか?」
小泉が電気コードをもう一度引っ張る。
途端に部屋は真っ暗になった。
「いやいやいや……これじゃなんにも見えねぇだろうが」
思わず俺も声を上げる。
「センセェも知ってるだろ?俺、童貞だぜ?こう暗くちゃ何も出来ねぇだろうが」
それはそうだが、と小泉はオロオロしたような声で呟く。
「……でも、あんまり明るいと、その……」
小泉も相当動揺しているようだ。
けど、照明の強さとか関係なくさ─────今から俺達はお互いの全部を曝け出すんだろ?
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