上 下
436 / 1,060
ep6

ep6『夢千夜』 “壊れた夜” 第七夜 

しおりを挟む
でもさ、コレってもう実質一択じゃねぇのか?

目の前で裸ワイシャツの小泉が座ってんだぜ?

もう決まりだろこんなの。

俺は小泉にバレないレベルで深く深呼吸した。

腹を括んなきゃいけねぇのは俺の方かもしれないな。

このまま時間を戻ることが出来なかったら───────

小泉は良くて数百万、最悪の場合は数千万の借金を背負う事になるだろう。

素の状態でも微妙なのに、数千万の借金持ちの女なんて嫁の貰い手が無いのは明白だ。

返済が終わる頃には還暦を迎えてそうでシャレにならない。

これってさ、鳥居だけじゃなくて小泉の人生ごと破壊したようなモンじゃねぇか。

けど、それじゃあんまりにも惨すぎる。

もしも小泉の“覚悟”が完了してるなら──────

ほんの数十分、お互いに少し我慢するだけでそれを回避出来る。

人生を救う為の代償として考えるなら、むしろ安すぎるまである。

小泉が借金を背負って─────教員や巫女を辞めて別のハイリスクな仕事に就くってのは俺にとっても痛手だ。

何せ、“呪い”に関するアレコレを請け負ってくれるのはコイツしかいねぇからな。

俺達の利害は一致する。

だとしたら。

結論はお互いに─────とっくの昔に出てるじゃないか。

躊躇してる場合じゃねぇよな。

時間や危機は迫ってるんだ。そう悠長にはしてられねぇ。そうだよな。

なあ、と俺は小泉の顔を見ながら言った。

「───これってさ、『目的じゃなくて手段』でしかないだろ?」

そこんとこ割り切ってさ、センセェも頑張って耐えられるか?と俺は静かに言った。

少しの沈黙の後、小泉は小さく頷いた。

「……ああ」

「なら決まりだな」

俺はそう言うと立ち上がった。

向かいの小泉が肩をビクリとさせた。

めっちゃ緊張してんじゃん。

「とりあえずここじゃなんだから……こっちの部屋だな」

俺と小泉は仏壇のある部屋に移動した。

枕が二つ置かれた布団。

枕元にあるボックスティッシュとウェットティッシュ、缶から出したゴム。

インパクトしかない光景だ。

「……っ!」

小泉の動揺がこちらにも伝わってくる。

まあな。生々しいよな。わかるぜ。俺もそう思うし。

「えっと……とりあえず電気消すか?」

俺は頭上にある電気のコードを引っ張った。

(ちなみにコードの先には死んだ婆さんが折り紙で作った球状の飾りがぶら下がってる。田舎あるあるだよな)

豆電球状態の部屋は微弱なオレンジ色で満たされる。

「……っ!!」

小泉が息を呑んだのがこちらにも伝わってくる。

「……なあ、この状態のまま、その……実行するのか?」

「え?ダメなのか?」

思わず俺は聞き返す。

まあ豆電球の灯りってさ、確かに結構明るいよな……

小泉が躊躇するのも分からんでもないが────

「……あの、悪いんだが……もう少し暗くして貰えないか?」

小泉が電気コードをもう一度引っ張る。

途端に部屋は真っ暗になった。

「いやいやいや……これじゃなんにも見えねぇだろうが」

思わず俺も声を上げる。

「センセェも知ってるだろ?俺、童貞だぜ?こう暗くちゃ何も出来ねぇだろうが」

それはそうだが、と小泉はオロオロしたような声で呟く。

「……でも、あんまり明るいと、その……」

小泉も相当動揺しているようだ。







けど、照明の強さとか関係なくさ─────今から俺達はお互いの全部を曝け出すんだろ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

愛娘(JS5)とのエッチな習慣に俺の我慢は限界

レディX
恋愛
娘の美奈は(JS5)本当に可愛い。そしてファザコンだと思う。 毎朝毎晩のトイレに一緒に入り、 お風呂の後には乾燥肌の娘の体に保湿クリームを塗ってあげる。特にお尻とお股には念入りに。ここ最近はバックからお尻の肉を鷲掴みにしてお尻の穴もオマンコの穴もオシッコ穴も丸見えにして閉じたり開いたり。 そうしてたらお股からクチュクチュ水音がするようになってきた。 お風呂上がりのいい匂いと共にさっきしたばかりのオシッコの匂い、そこに別の濃厚な匂いが漂うようになってきている。 でも俺は娘にイタズラしまくってるくせに最後の一線だけは超えない事を自分に誓っていた。 でも大丈夫かなぁ。頑張れ、俺の理性。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜アソコ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとエッチなショートショートつめあわせ♡

俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。

ねんごろ
恋愛
 主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。  その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……  毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。 ※他サイトで連載していた作品です

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

お尻たたき収容所レポート

鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。 「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。 ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

処理中です...