[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep5.

ep5. 『死と処女(おとめ)』 出現した焚書

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小泉は黙って俺をじっと見ていた。

何か考え込んでいるような様子だったが、暫くして口を開いた。

「お前は今回……夢野くるみという女子で童貞を捨てたようだが─────」

俺は小泉の言葉を遮った。

「……は?何言ってんだよセンセェ?」

俺達はさんざん夢野の件について話し合ったり悩んだりしてたじゃないか。

「なんで急にちょっと他人みたいな言い方してんの?」

ああ、そうか、と小泉は小さく呟くとこう言い直した。

「時間を戻る前、お前はこの女子とクラスメイトだったようだな」

「何言ってんだよセンセェ?アンタの受け持ちの生徒だろ?」

そこまで言って俺は何かがおかしいことに気付く。

小泉のセリフの奇妙な言い回し─────

「……なぁ、それってどういう意味だ?」

そうか。そうだな、と小泉は小さく頷いた。

「まず、落ち着いて聞いて欲しいんだが─────」

そう前置きすると小泉はこう言った。

「夢野くるみという名前の生徒はうちの学校には存在しない。在籍していないんだ」

「……は?」

意味がわからない。

「正確に言えば1年の三学期の後に転校している。なので『在籍していた』というのが正しいのかもしれないな」

小泉は昨年度の学年名簿をパラパラとめくった。

「ちょっと待ってくれよセンセェ」

夢野が居ない?

どういう事だ?

何かがおかしい。

いつもとは違う雰囲気に、俺は得体の知れない息苦しさを感じた。

俺は、と言いかけた時に小泉が目の前の文庫本を手に取った。

「今回ばかりは─────これはちょっとな」

小泉は文庫本を仕舞おうとしている。

いつもは無理矢理にでも読ませてくるのに?

「さっきから意味わかんねぇんだけど。なんで俺に見せてくんねぇんだよ?」

小泉は複雑そうな表情を浮かべながらこう言った。




「今回─────お前はこれを読まない方がいいだろう」

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