397 / 1,060
ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 設問と解答
しおりを挟む
俺としては必死で捻り出した答えだったのだが、岬に小馬鹿にされたような気がして少しムッとした。
「俺は頭は良くねぇしアンタみたいに女にモテたことねぇんだ。そんなんわかる訳ねぇだろ?」
じゃあ正解ってヤツを教えてくれよ、と俺は不機嫌さを隠さずに言った。
「……そうじゃないんだ。気分を害させたなら謝るよ」
岬は心外そうに答えた。
「いや本当だよ。そんな風にキチンと答えてくれたのは君が初めてだったからね。みんな判子で押したように同じ事ばっかり答えてくるもんだからさ」
だからちょっと意外だったんだ、と岬は少し表情を柔らかくした。
「俺の答えを秀才様がお気に召されたようで何よりだよ」
俺が皮肉混じりにそう言うと岬は肩をすくめた。
「本当に君は見かけよりも繊細な人間なんだね。だけど、そんな風に卑屈になるもんじゃないよ」
度を越した卑屈さは傲慢でしかないし、行き過ぎるとそれは暴力と変わらないからね、と岬は何かを思い出すように呟いた。
ん?
同じことを誰かから聞いたことがある気がする。
誰だったろうか?
俺が記憶の糸を手繰り寄せようとしている間に、岬は話を続けた。
「人と人との間で一番大切なもの─────僕はそれは『信頼』だと思っている」
「信頼?」
「そう。信頼。友人でも恋人でも仕事の取引相手でも─────人間関係は全て『信頼』で成り立っているとは思わないかい?」
なるほど信頼か。
俺はてっきり、『愛』だの『夢』『希望』とか言った掴み所のない概念で語って来られるかと思っていたので何か拍子抜けしてしまった。
岬ってのはモテモテの王子様でキザな奴かと思ってたんだけどさ、こういうとこは普通の感性なんだな。
俺は大きく頷いた。
「なるほどな。わかる気がするぜ」
確かに、ダチでも女でもバイト先の先輩でも─────信頼してるから持ちつ持たれつで上手くやってるって感じだもんな、と俺は相槌を打った。
「そうだよ。友人でも恋人でも取引先でも……お互いに信頼があって成り立っている関係だろう?」
だから一方的にそれを壊してくるような相手だと付き合いは続けられないよ、と岬は静かに言った。
「……それって?」
俺が聞き返すと岬は思い出したくもないといった風に答えた。
「恋人の愛情を確かめる為にそういった行動に出る者も居るってのは知っているけどね。まさか彼女が僕に対してそんなことを仕掛けて来るなんてさ」
稚拙すぎるよ、と岬は心底軽蔑するように吐き捨てた。
「先に信頼を壊してきたのは彼女の方だろう?僕は彼女に失望したんだ」
「俺は頭は良くねぇしアンタみたいに女にモテたことねぇんだ。そんなんわかる訳ねぇだろ?」
じゃあ正解ってヤツを教えてくれよ、と俺は不機嫌さを隠さずに言った。
「……そうじゃないんだ。気分を害させたなら謝るよ」
岬は心外そうに答えた。
「いや本当だよ。そんな風にキチンと答えてくれたのは君が初めてだったからね。みんな判子で押したように同じ事ばっかり答えてくるもんだからさ」
だからちょっと意外だったんだ、と岬は少し表情を柔らかくした。
「俺の答えを秀才様がお気に召されたようで何よりだよ」
俺が皮肉混じりにそう言うと岬は肩をすくめた。
「本当に君は見かけよりも繊細な人間なんだね。だけど、そんな風に卑屈になるもんじゃないよ」
度を越した卑屈さは傲慢でしかないし、行き過ぎるとそれは暴力と変わらないからね、と岬は何かを思い出すように呟いた。
ん?
同じことを誰かから聞いたことがある気がする。
誰だったろうか?
俺が記憶の糸を手繰り寄せようとしている間に、岬は話を続けた。
「人と人との間で一番大切なもの─────僕はそれは『信頼』だと思っている」
「信頼?」
「そう。信頼。友人でも恋人でも仕事の取引相手でも─────人間関係は全て『信頼』で成り立っているとは思わないかい?」
なるほど信頼か。
俺はてっきり、『愛』だの『夢』『希望』とか言った掴み所のない概念で語って来られるかと思っていたので何か拍子抜けしてしまった。
岬ってのはモテモテの王子様でキザな奴かと思ってたんだけどさ、こういうとこは普通の感性なんだな。
俺は大きく頷いた。
「なるほどな。わかる気がするぜ」
確かに、ダチでも女でもバイト先の先輩でも─────信頼してるから持ちつ持たれつで上手くやってるって感じだもんな、と俺は相槌を打った。
「そうだよ。友人でも恋人でも取引先でも……お互いに信頼があって成り立っている関係だろう?」
だから一方的にそれを壊してくるような相手だと付き合いは続けられないよ、と岬は静かに言った。
「……それって?」
俺が聞き返すと岬は思い出したくもないといった風に答えた。
「恋人の愛情を確かめる為にそういった行動に出る者も居るってのは知っているけどね。まさか彼女が僕に対してそんなことを仕掛けて来るなんてさ」
稚拙すぎるよ、と岬は心底軽蔑するように吐き捨てた。
「先に信頼を壊してきたのは彼女の方だろう?僕は彼女に失望したんだ」
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
愛娘(JS5)とのエッチな習慣に俺の我慢は限界
レディX
恋愛
娘の美奈は(JS5)本当に可愛い。そしてファザコンだと思う。
毎朝毎晩のトイレに一緒に入り、
お風呂の後には乾燥肌の娘の体に保湿クリームを塗ってあげる。特にお尻とお股には念入りに。ここ最近はバックからお尻の肉を鷲掴みにしてお尻の穴もオマンコの穴もオシッコ穴も丸見えにして閉じたり開いたり。
そうしてたらお股からクチュクチュ水音がするようになってきた。
お風呂上がりのいい匂いと共にさっきしたばかりのオシッコの匂い、そこに別の濃厚な匂いが漂うようになってきている。
でも俺は娘にイタズラしまくってるくせに最後の一線だけは超えない事を自分に誓っていた。
でも大丈夫かなぁ。頑張れ、俺の理性。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
お尻たたき収容所レポート
鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。
「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。
ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる