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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 拗れる感情
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俺は混乱していた。
どうして上野が怒るんだ?
しかし。
俺から上野に説明する事は出来ない。
けれど、事情を説明せずに誤解を解くことなど不可能に思えた。
「加害者の立場なのに白々しい演技でか弱い被害者ぶってさ。彼女、小学校の頃からいつもそうだったし」
正直もう関わり合いになりたくないワケ、と上野は嫌なものを見るような視線を俺に向ける。
「男子はいつもそうだよね。あーしらの方が逆に悪者にされるの、もうウンザリだし」
おいおいおい、一体上野はどうしちまったって言うんだ?
上野ってこんな事言うようなヤツだったか?
困惑した俺が黙ったままなのを見た上野は、静かに続けた。
「佐藤っちがどんなに彼女のコトを好きでも、彼女は佐藤っちを大切にはしてくれないよ?」
どうして、と尋ねる俺の目を上野はじっと見つめてくる。
巫山戯たりしているようには到底思えなかった。
「彼女が口で上辺だけをどんなに取り繕っても、結局彼女が大事なのは自分だけ。自分の事しか考えてないよ?」
「どうしてそんなこと言えるんだ?」
お前こそ夢野の何を知ってるんだ?と俺はやや強い口調で言った。
俺は少しイラついていたのかもしれない。
上野は諦めたように溜息をついた。
「まだわかんないの?何も知らないのは佐藤っちの方っしょ?」
嘘だ。本当の事を知らないのは上野の方じゃねぇか。
「彼女─────自分が悩んでる時やしんどい時はさんざん水森っちに頼ってハナシ聞いてもらっといてさ。水森っちが悩んだり困ったりした時はスルーで話なんか聞いてもなかったみたいだけど?」
自分の感情は好き放題他人に吐き出しといてさ、いざその誰かが困っててもスルーって─────友達を感情のゴミ箱として利用してただけじゃん、と上野は静かに怒りの感情を滲ませた。
「それってさ、どういう意味なんだよ?」
どういうシチュだろう?
俺は女子同士の人間関係がサッパリわからない。
なんだそれ?上野は何について話してるんだ?
「あーしの家ね、窓からコンビニが見える位置にあるアパートなんだけどさ。そこで夜中の遅い時間とか水森っちがよく居たの見かけたんだ」
上野はやや俯きながら言った。
「水森っち、いつもこんなトコで何してんのかなって気になってさ。だって夜遊びするようなキャラじゃないっしょ?ある日の深夜帯に聞きに行ったワケ。そしたら『ちょっと友達の相談に乗ってて』って言うの。友達ってもうあの“彼女”しかいないっしょ?」
SNS見に行ったら案の定、彼女が死にたいみたいな病んだカキコミ上げまくっててさ、と上野は上履きの先で地面を蹴りながら呟く。
「そっか。水森って俺と同じプリペイドスマホだから─────wi-fiが使えるコンビニに行ってたって訳か」
その点に関してだけは俺は納得した。
そうだよな。
プリペイドスマホ持ちの人間がアプリで連続したメッセージのやりとりを続けるとなったら、確かにコンビニに行くしか手段がないよな。
けど、と納得いかない様子で上野は更に続けた。
「いつだったかな─────あーし、ノートのコピー取るの忘れてたから真夜中にコンビニ行ったことあってさ」
そしたら水森っちが居てさ、なんかポロポロ泣いてたの、と上野は呟いた。
え?
水森が泣いてた?いつの時期のハナシだろう。
どうして上野が怒るんだ?
しかし。
俺から上野に説明する事は出来ない。
けれど、事情を説明せずに誤解を解くことなど不可能に思えた。
「加害者の立場なのに白々しい演技でか弱い被害者ぶってさ。彼女、小学校の頃からいつもそうだったし」
正直もう関わり合いになりたくないワケ、と上野は嫌なものを見るような視線を俺に向ける。
「男子はいつもそうだよね。あーしらの方が逆に悪者にされるの、もうウンザリだし」
おいおいおい、一体上野はどうしちまったって言うんだ?
上野ってこんな事言うようなヤツだったか?
困惑した俺が黙ったままなのを見た上野は、静かに続けた。
「佐藤っちがどんなに彼女のコトを好きでも、彼女は佐藤っちを大切にはしてくれないよ?」
どうして、と尋ねる俺の目を上野はじっと見つめてくる。
巫山戯たりしているようには到底思えなかった。
「彼女が口で上辺だけをどんなに取り繕っても、結局彼女が大事なのは自分だけ。自分の事しか考えてないよ?」
「どうしてそんなこと言えるんだ?」
お前こそ夢野の何を知ってるんだ?と俺はやや強い口調で言った。
俺は少しイラついていたのかもしれない。
上野は諦めたように溜息をついた。
「まだわかんないの?何も知らないのは佐藤っちの方っしょ?」
嘘だ。本当の事を知らないのは上野の方じゃねぇか。
「彼女─────自分が悩んでる時やしんどい時はさんざん水森っちに頼ってハナシ聞いてもらっといてさ。水森っちが悩んだり困ったりした時はスルーで話なんか聞いてもなかったみたいだけど?」
自分の感情は好き放題他人に吐き出しといてさ、いざその誰かが困っててもスルーって─────友達を感情のゴミ箱として利用してただけじゃん、と上野は静かに怒りの感情を滲ませた。
「それってさ、どういう意味なんだよ?」
どういうシチュだろう?
俺は女子同士の人間関係がサッパリわからない。
なんだそれ?上野は何について話してるんだ?
「あーしの家ね、窓からコンビニが見える位置にあるアパートなんだけどさ。そこで夜中の遅い時間とか水森っちがよく居たの見かけたんだ」
上野はやや俯きながら言った。
「水森っち、いつもこんなトコで何してんのかなって気になってさ。だって夜遊びするようなキャラじゃないっしょ?ある日の深夜帯に聞きに行ったワケ。そしたら『ちょっと友達の相談に乗ってて』って言うの。友達ってもうあの“彼女”しかいないっしょ?」
SNS見に行ったら案の定、彼女が死にたいみたいな病んだカキコミ上げまくっててさ、と上野は上履きの先で地面を蹴りながら呟く。
「そっか。水森って俺と同じプリペイドスマホだから─────wi-fiが使えるコンビニに行ってたって訳か」
その点に関してだけは俺は納得した。
そうだよな。
プリペイドスマホ持ちの人間がアプリで連続したメッセージのやりとりを続けるとなったら、確かにコンビニに行くしか手段がないよな。
けど、と納得いかない様子で上野は更に続けた。
「いつだったかな─────あーし、ノートのコピー取るの忘れてたから真夜中にコンビニ行ったことあってさ」
そしたら水森っちが居てさ、なんかポロポロ泣いてたの、と上野は呟いた。
え?
水森が泣いてた?いつの時期のハナシだろう。
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